玄米に足りない栄養とは? 補えるレシピもご紹介

栄養豊富な玄米ですが、実は不足する栄養素も。管理栄養士の山口真弓が、玄米に不足する栄養を補ってくれるアレンジレシピをご紹介します。

白米よりも栄養豊富な玄米


玄米は、白米よりもビタミン・ミネラル・食物繊維を豊富に含んでいます。

とりわけ、ビタミンB群は、炭水化物を体の中でエネルギーにかえるために必要な栄養素です。どんなに炭水化物を摂取してもビタミンB群が不足してしまうと効率よくエネルギーにかえられず、疲労物質がたまってだるさや疲れなどの原因になり、これからの時期ですと夏バテの原因になってしまいます。

白ごはん・麺類・パンなどで炭水化物を取る場合は、おかずでビタミンB群を一緒に取らなければ栄養になってくれませんが、玄米ごはんであれば、それだけでもビタミンB群を補給できるのです。

また、玄米には白米の約6倍もの食物繊維が豊富に含まれています。便のカサを増やしてぜんどう運動を促し、排便をスムーズにするはたらきや、腸内細菌のエサとなり腸内環境を良くし、整腸効果を高めるはたらきがあります。元々、日本人は食物繊維が不足しがちですが、主食を白米から玄米にかえることで食物繊維を補うことができます。

他にも、鉄やマグネシウムなどの日本人に不足しがちな栄養素も白米よりも多く含まれています。

玄米に不足する栄養とは?


ただ、こんなに栄養価の高い玄米にも(多く)含まれていない栄養素があります。それが、ビタミンA、ビタミンD、ビタミンK、ビタミンB12、ビタミンCです。

玄米に不足する栄養素のはたらき


ビタミンA
・皮膚や目・鼻・のど・胃腸などの粘膜を正常に保ち、免疫力を維持する。強い抗酸化力をもつβカロテンは体内で必要に応じてビタミンAに変わる。
・不足すると、胎児・小児の発育阻害や感染症にかかりやすくなったり、夜盲症などに。

ビタミンD
・免疫調整にかかわる。免疫力を高める。
・カルシウムやリンの吸収をよくし、骨や歯への沈着を助ける。
・血中や筋肉のカルシウム濃度を一定に保つ。

ビタミンK
・出血時に血を固める。
・コラーゲンの働きを活性化する。
・骨にカルシウムが沈着するのを助ける。骨の破壊を防ぐ。

ビタミンB12
・神経や血液細胞を健康に保ち、全細胞の遺伝物質であるDNAの生成を助ける。
・巨赤芽球性貧血の予防に役立つ。

ビタミンC
・炎症を抑え、免疫細胞を助ける。
・たんぱく質と一緒に取ることでコラーゲンの合成を助ける。
・鉄の吸収を高める。
・抗ストレス作用の持つホルモンの合成を助ける。
・抗酸化作用で体を守る。
・通常の食事では不足しにくいが、喫煙やストレスにより、ビタミンCの消費量が高まる。


各栄養素をバランスよく……と難しく考えがちですが、基本の食事は「玄米ごはん+味噌汁」で十分。それらに納豆や魚料理をおかずでプラスすることで栄養を補うことができ、心も体も満足できる献立になります。

でも、毎日こんなメニューだと飽きがきてしまうかも……そんな方へ今回は、1品で足りない栄養素を補え、満足感も得られるメニューをご紹介します。

玄米のシーフードトマトリゾット



1つめは玄米のシーフードトマトリゾットです。先に述べた不足する栄養素をすべて補うことができます。

さらに、玄米やトマトには、興奮を抑え、リラックス作用をもたらすGABAが多く含まれています。一時的・心理的なストレスの低減機能があるとも報告されており、脳内の血流を活発にし、酸素供給量を高め、脳の疲れをサポートするはたらきもあります。

コロナ禍においてストレスがさらに多くなりがちですが、玄米×トマトはストレス軽減には最高の組み合わせなのです。


材料

玉ねぎ:1/2個
しめじ:50g
にんにく:1片
オリーブオイル:大さじ2
A トマトジュース(無塩):400ml
A 昆布水:200ml※昆布を一晩(6~8時間)水に浸した水出し昆布だしです。乾燥昆布3cm角と水でもOK
A 味噌:大さじ1
ツナ缶:1缶
シーフードミックス:200g
玄米ごはん:1.5~2合分
塩、こしょう:少々
乾燥パセリ:適宜

作り方

1.玉ねぎとにんにくはみじん切りにする。しめじはこまかく刻む。

2.深めのフライパンか鍋にオリーブオイル、(1)を入れ、中火で玉ねぎが透き通るまで炒める。

3.Aを加え、10分ほど煮込む。

4.ツナ缶、シーフードミックス、玄米ごはんを加えてさらに5分ほど煮込む。

5.塩・こしょうで味をととのえる。盛り付け後、彩りで乾燥パセリをかける。

ポイント
・玄米ごはんはお好みの量を加えてください。煮る時間やごはんを加える量によってリゾットのかたさが異なります。
・作ってから時間をおくとごはんが水分を吸ってさらにかたくなるため、時間をおく場合はやわらかめに作ると良いでしょう。
・ビタミンCが少なめなので、パプリカやブロッコリー、じゃがいもを加えるとさらに食感と栄養価をアップさせることができます。

【参考】玄米の炊き方
玄米(2合)はさっと洗って1、2回水を替え、浮いているごみや玄米を取り除いて浸水させる。6~8時間は浸水させるのがベター。水気を切り、水を替えて炊飯器や土鍋、圧力鍋などで、塩(小さじ1/4)を加えて炊く。
▼こちらもチェック
玄米の炊き方~炊飯器・圧力鍋~

玄米の味噌炊き込みごはん



2つ目は玄米の味噌炊き込みごはん。

食物繊維が豊富な玄米ですが、その効果をよりアップさせるためには腸内を善玉菌優位にして腸内環境を整える手助けをしてくれる「発酵食品」を一緒に取りたいところです。

今回は、お肉の下味、そして炊き込みごはん自体の味付けに、発酵食品である「味噌」を使って、炊き込みごはん1品でも腸内環境アップにつながるメニューに仕上げました。

材料

玄米:2合(浸水後、水気を切っておく)
昆布水:2合の目盛りより少なめ(玄米用目盛り)
鶏もも肉:小1枚(200g)
A 味噌、みりん:各大さじ1/2
しめじ:50g
にんじん:5~6cm
油揚げ:1/2枚
B 味噌、清酒:各大さじ2
小松菜:1株
塩:適宜

作り方

1.鶏もも肉は皮を取り除き1cm角に切り、ビニール袋にいれてAをもみ込んでおく。

2.しめじ・にんじん・油揚げは食べやすい大きさに切る。Bは混ぜ合わせておく。小松菜は2~3cmの長さに切っておく。

3.炊飯器の内釜に混ぜ合わせたBを全体に敷き、その上に洗った米を入れる。

4.静かに昆布水を注ぎ、しめじ、にんじん、油揚げ、(1)をのせ、炊く。十分に浸水してあれば通常の炊飯モードでOK。浸水が不十分であれば玄米モードで炊くのがおすすめ。

5.炊き上がったら、刻んだ小松菜を加え混ぜ合わせ、5分ほど余熱で蒸らして完成。※小松菜は加熱してから刻んで、仕上げに加えてもOK。


いかがでしたか。玄米に不足する栄養を補うアレンジレシピをご紹介しました。

小さなお子さんでも食べやすい味付け・形状にしています。便秘気味なお子さん、おかずよりもごはんが好き!! なお子さんにもおすすめの1品です。

食べづらいイメージのある「玄米」ですが、少しでも身近に感じてもらえたら嬉しいです。


■気になる農薬。安心な玄米を選ぼう!


栄養豊富で健康によい玄米ですが、気になるのが農薬の問題です。

お米に残留農薬がある場合、農薬は油に溶けやすい性質があるため、7割〜8割は脂質が多いぬかや胚芽の部分にたまるとされています。ぬかや胚芽は精米すれば取り除かれる部分ですが、それらが残ったままの玄米で食べる時には少し気をつけたいところ。

玄米を購入する際は、「農薬残留検査」をしっかりした商品を選びたいものです。

全国各地のこだわりの農家さんと、スマート農業でお米づくりをしている「スマート米」は、AI・ドローンなどを用いて農薬の使用量を減らした、農家にも消費者にもやさしいお米です。

玄米でも安心してお召し上がりいただけます。
お求めはスマート米オンラインショップ SMART AGRI FOOD  からどうぞ。

【コラム】今日から始める玄米生活
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  1. 田牧一郎
    田牧一郎
    日本で15年間コメ作りに従事した後、アメリカに移り、精米事業、自分の名前をブランド化したコメを世界に販売。事業売却後、アメリカのコメ農家となる。同時に、種子会社・精米会社・流通業者に、生産・精米技術コンサルティングとして関わり、企業などの依頼で世界12カ国の良質米生産可能産地を訪問調査。現在は、「田牧ファームスジャパン」を設立し、直接播種やIoTを用いた稲作の実践や研究・開発を行っている。
  2. 福田浩一
    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
  3. 石坂晃
    石坂晃
    1970年生まれ。千葉大学園芸学部卒業後、九州某県の農業職公務員として野菜に関する普及指導活動や果樹に関する品種開発に従事する一方で、韓国語を独学で習得する(韓国語能力試験6級取得)。2023年に独立し、日本進出を志向する韓国企業・団体のコンサル等を行う一方、自身も韓国農業資材を輸入するビジネスを準備中。HP:https://sinkankokunogyo.blog/
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    川島礼二郎
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    堀口泰子
    栄養士、食アスリートシニアインストラクター、健康・食育シニアマスター。フィットネスクラブ専属栄養士を経て独立。アスリートの食事指導や栄養サポートの他、離乳食から介護予防まで食を通じて様々な食育活動を行う。料理家としても活動し、レシピ提案、商品開発も担う。食事は楽しく、気負わず継続できる食生活を伝えることを信条とする。スポーツの現場ではジュニアの育成、競技に向き合うための心と体の成長に注力している。HP:https://eiyoushiyakko.jimdofree.com/
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