スマート農業推進にIT人材派遣 こゆ財団とコード・フォー・ジャパンが協力

IT技術やビッグデータを活用し農業課題を解決へ。コード・フォー・ジャパンとスマート農業 (アグリテック)を推進
〜スマート農業研究チーム「儲かる農業研究会」参画。持続可能な農業の実現に貢献〜

一般財団法人こゆ地域づくり推進機構(こゆ財団)は、地域課題の解決に向けたコミュニティづくりの支援や、自治体への民間人材派遣を行っている一般社団法人コード・フォー・ジャパンと連携協定を締結した。こゆ財団が宮崎県新富町で進めているスマート農業の拡大を目的とし、コード・フォー・ジャパンがこゆ財団に専門知識を有する人財を派遣。こゆ財団は地元の若手農家らで組織するスマート農業研究チーム「儲かる農業研究会」の一員として迎え、技術開発を加速させる。

「儲かる農業研究会」は、圃場にITを導入。生産環境を見える化し、メンバーで共有することで町の農業全体の生産性や品質の向上の実現を目指す

こゆ財団は、町の農業を持続可能にすることを目的として2018年6月にスマート農業の研究チーム「儲かる農業研究会」を発足。町の主要産業である農業を持続可能にすることを目的とした組織で、20代〜40代までの7名の地元農家が参加し、研究会のパートナーである農業ベンチャー、テラスマイル株式会社(新富町)が開発した農業支援システム「RightARM」を各自が圃場に導入し、データを共有し農業の見える化を進めている。

新富町のキュウリ農家、猪俣太一さんは若手農家を中心にスマート農業を研究するチーム「儲かる農業研究会」に所属。農業の見える化に取り組んでいる

また、2018年3月には連携協定を締結している都城工業高等専門学校の学生とも共同研究を実施し、学生が圃場の課題解決に向けたサービスのプロトタイプを作成した。

都城高専の学生は「儲かる農業研究会」所属の農家と共同研究を実施。キュウリやピーマンといった作物の生産効率化、省力化につながるプロトタイプを3月に発表している

こゆ財団では、こうした活動をさらに加速させるIT、IoT人財の獲得を計画しており、実績のあるコード・フォー・ジャパンとの連携が最も有効であると考え、協定締結に至ったという。

コード・フォー・ジャパンは、複雑化する地域課題の解決をはかるために、さまざまな企業から人財を受入。短期研修プログラムとして人財を地域に派遣し、市民協働やIT活用といった視点で活動できる人財の育成を行っている。これまでに福井県鯖江市、兵庫県神戸市などに大手企業の人財を派遣しており、地域とのつながりや、地方創生に資する新たな事業・サービスのヒントが得られるとして、地域と企業の双方にメリットを生んでいる。

こゆ財団は、この仕組みを通じて、ビッグデータ活用や農業の見える化を推進できる人財を確保。新富町内へのスマート農業の普及をはかる。コード・フォー・ジャパンの派遣対象は通常は自治体だが、今回は民間企業である「こゆ財団」と連携。派遣される人財は、民間ならではのスピードと自由度をもって事業に取り組めるという。

今後は、「儲かる農業研究会」として、2019年4月よりコード・フォー・ジャパンの派遣人財が都城高専のプロトタイプサービスに参画し、共同で研究を進めていく。さらに、「儲かる農業研究会」の活動を通じて得た知見や技術を、町内の農家に還元。全国から新規就農者が集まる、スマート農業先進地として地域ブランドを確立していく考えだ。

<参考URL>
地域商社こゆ財団
コード・フォー・ジャパン
儲かる農業研究会

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  1. 田牧一郎
    田牧一郎
    日本で15年間コメ作りに従事した後、アメリカに移り、精米事業、自分の名前をブランド化したコメを世界に販売。事業売却後、アメリカのコメ農家となる。同時に、種子会社・精米会社・流通業者に、生産・精米技術コンサルティングとして関わり、企業などの依頼で世界12カ国の良質米生産可能産地を訪問調査。現在は、「田牧ファームスジャパン」を設立し、直接播種やIoTを用いた稲作の実践や研究・開発を行っている。
  2. 福田浩一
    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
  3. 石坂晃
    石坂晃
    1970年生まれ。千葉大学園芸学部卒業後、九州某県の農業職公務員として野菜に関する普及指導活動や果樹に関する品種開発に従事する一方で、韓国語を独学で習得する(韓国語能力試験6級取得)。2023年に独立し、日本進出を志向する韓国企業・団体のコンサル等を行う一方、自身も韓国農業資材を輸入するビジネスを準備中。HP:https://sinkankokunogyo.blog/
  4. 川島礼二郎
    川島礼二郎
    1973年神奈川県生まれ。筑波大学第二学群農林学類卒業。フリーラインスの編集ライターとして、テクノロジーをキーワードに、農業雑誌・自動車雑誌などで執筆・編集活動中。
  5. 堀口泰子
    堀口泰子
    栄養士、食アスリートシニアインストラクター、健康・食育シニアマスター。フィットネスクラブ専属栄養士を経て独立。アスリートの食事指導や栄養サポートの他、離乳食から介護予防まで食を通じて様々な食育活動を行う。料理家としても活動し、レシピ提案、商品開発も担う。食事は楽しく、気負わず継続できる食生活を伝えることを信条とする。スポーツの現場ではジュニアの育成、競技に向き合うための心と体の成長に注力している。HP:https://eiyoushiyakko.jimdofree.com/
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