NTT西日本ら、果樹栽培におけるマルチオミクス解析で共同研究

NTT西日本は、株式会社前川総合研究所、国立研究開発法人理化学研究所、地方独立行政法人大阪府立環境農林水産総合研究所、福島大学、北海道大学、筑波大学、東京大学大学院農学生命科学研究科と共同で、「果樹栽培を対象にした農業生態系のデジタルデータ化およびマルチオミクス解析に関する研究」を開始する。

土壌中の微生物機能に着目


「果樹栽培を対象にした農業生態系のデジタルデータ化およびマルチオミクス解析に関する研究」は、果樹生産の安定化と環境再生型農業の推進を目的に、土壌マイクロバイオーム(特定の環境に生息する微生物叢の遺伝物質)を活用した新たな精密診断手法を確立して、農業生態系のデジタルデータ化に必要な技術を開発する産学連携の取り組みである。

研究では、有機栽培、特別栽培、慣行栽培の3つの方法で栽培された温州ミカンを対象に日本全国の土壌を収集・分析して数値化。高品質な作物が栽培される土壌条件の発見と温室効果ガスの発生など環境負荷の定量化を目的に、土壌マイクロバイオームを対象にした分析を実施して収量、糖度、酸度、香り成分等の品質を多角的に評価する。

その後、これらの解析データを取りまとめ、主成分分析と相関ネットワーク解析を統合したマルチオミクス解析を実施。果樹の収量・品質に及ぼす影響の主要因子を明らかにした後、土壌および微生物叢と作物のデジタルデータを格納した土壌データベース・土壌AIエンジンを作成して新たな精密診断手法を確立していく。

出典:https://www.ntt-west.co.jp/news/2202/220221a.html#a5
出典:https://www.ntt-west.co.jp/news/2202/220221a.html#a5
現在世界では、化学肥料や化学農薬を使用した農業生産が行われているが、土壌劣化や水質汚染、温室効果ガスの発生など環境面の課題から、生物多様性の保全に配慮した環境再生型農業への転換が求められている。

同社は今回の共同研究を通じ、農業生態系の各層(土壌・微生物叢・作物)の相互作用を解明することで、誰もが自然環境に配慮した持続可能な農業を実現できる世界を目指すという。


NTT西日本
https://www.ntt-west.co.jp/
株式会社前川総合研究所
http://www.mayekawa-ri.co.jp/
国立研究開発法人理化学研究所
https://www.riken.jp/
地方独立行政法人大阪府立環境農林水産総合研究所
http://www.kannousuiken-osaka.or.jp/
福島大学
https://www.fukushima-u.ac.jp/
北海道大学
https://www.hokudai.ac.jp/
筑波大学
https://www.tsukuba.ac.jp/
東京大学大学院農学生命科学研究科
https://www.a.u-tokyo.ac.jp/
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  1. 福田浩一
    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
  2. さとうまちこ
    さとうまちこ
    宮城県の南の方で小さな兼業農家をしています。りんご農家からお米と野菜を作る農家へ嫁いで30余年。これまで「お手伝い」気分での農業を義母の病気を機に有機農業に挑戦すべく一念発起!調理職に長く携わってきた経験と知識、薬膳アドバイザー・食育インストラクターの資格を活かして安心安全な食材を家族へ、そして消費者様に届けられるよう日々奮闘中です。
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    北島芙有子
    トマトが大好きなトマト農家。大学時代の農業アルバイトをきっかけに、非農家から新規就農しました。ハウス栽培の夏秋トマトをメインに、季節の野菜を栽培しています。最近はWeb関連の仕事も始め、半農半Xの生活。
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    川島礼二郎
    1973年神奈川県生まれ。筑波大学第二学群農林学類卒業。フリーラインスの編集ライターとして、テクノロジーをキーワードに、農業雑誌・自動車雑誌などで執筆・編集活動中。
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    柏木智帆
    米・食味鑑定士/お米ライター/ごはんソムリエ神奈川新聞の記者を経て、福島県の米農家と結婚。年間400種以上の米を試食しながら「お米の消費アップ」をライフワークに、執筆やイベント、講演活動など、お米の魅力を伝える活動を行っている。また、4歳の娘の食事やお弁当づくりを通して、食育にも目を向けている。プロフィール写真 ©杉山晃造
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