埼玉県の下水汚泥燃焼灰を使用した循環型肥料「クマムシくん888」販売開始

埼玉県は、全国の自治体で初めて菌体りん酸肥料に登録した下水汚泥燃焼灰肥料「荒川クマムシくん1号」を、肥料会社に肥料原料として販売している。今回、朝日アグリア株式会社より、「荒川クマムシくん1号」を原料の一部に使用した循環型肥料「クマムシくん888」の販売が開始された。


埼玉県の下水汚泥燃焼灰を活用


下水汚泥の燃焼灰はりん酸全量を多く含むことから、肥料原料としての利用が期待できる。このため、埼玉県下水道局では、2024年4月に下水汚泥燃焼灰を菌体りん酸肥料「荒川クマムシくん1号」として登録し、肥料原料として利用する取り組みを行っている。

菌体りん酸肥料とは、国内資源である下水汚泥から作られる肥料の利用促進のために、2023年10月にできた新しい肥料規格。農林水産大臣の確認を得た品質管理計画の下で肥料生産するもので、肥料成分が保証され、肥料会社が肥料の原料として利用することができる。

今回、朝日アグリア株式会社より販売が開始された「クマムシくん888」は、「荒川クマムシくん1号」と、埼玉県の鶏ふん堆肥を原料に使用した循環型肥料で、保証成分は窒素全量8%、りん酸全量8%、カリ全量8%となっている。

下水道由来のりん酸を肥料原料として回収し活用しているため、環境にやさしく、資源循環型農業に貢献。埼玉県産国内資源を活用しており、国際情勢の影響を受けにくいため、安定的に供給できるという。

県農業技術研究センターや肥料会社と連携して「クマムシくん888」の栽培試験を行った結果、肥料効果、土壌・作物中の肥料法で定められている有害成分について、一般的な肥料と同程度であることが確認されている。

栽培試験結果

左:荒川クマムシくん1号(下水汚泥燃焼灰肥料) 右:クマムシくん888(下水汚泥燃焼灰肥料入り肥料)

「クマムシくん888」は、埼玉県内の各JAで販売されており、農業者以外の人が購入することも可能となっている。


埼玉県
https://www.pref.saitama.lg.jp/
朝日アグリア株式会社
https://www.asahi-agria.co.jp/
SHARE

最新の記事をFacebook・メールで
簡単に読むことが出来ます。

RANKING

WRITER LIST

  1. 福田浩一
    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
  2. 北島芙有子
    北島芙有子
    トマトが大好きなトマト農家。大学時代の農業アルバイトをきっかけに、非農家から新規就農しました。ハウス栽培の夏秋トマトをメインに、季節の野菜を栽培しています。最近はWeb関連の仕事も始め、半農半Xの生活。
  3. 柏木智帆
    柏木智帆
    米・食味鑑定士/お米ライター/ごはんソムリエ神奈川新聞の記者を経て、福島県の米農家と結婚。年間400種以上の米を試食しながら「お米の消費アップ」をライフワークに、執筆やイベント、講演活動など、お米の魅力を伝える活動を行っている。また、4歳の娘の食事やお弁当づくりを通して、食育にも目を向けている。プロフィール写真 ©杉山晃造
  4. 鈴木かゆ
    鈴木かゆ
    1993年生まれ、お粥研究家。「おかゆ好き?嫌い?」の問いを「どのおかゆが好き?」に変えるべく活動中。お粥の研究サイト「おかゆワールド.com」運営。各種SNS、メディアにてお粥レシピ/レポ/歴史/文化などを発信中。JAPAN MENSA会員。
  5. 田牧一郎
    田牧一郎
    日本で15年間コメ作りに従事した後、アメリカに移り、精米事業、自分の名前をブランド化したコメを世界に販売。事業売却後、アメリカのコメ農家となる。同時に、種子会社・精米会社・流通業者に、生産・精米技術コンサルティングとして関わり、企業などの依頼で世界12カ国の良質米生産可能産地を訪問調査。現在は、「田牧ファームスジャパン」を設立し、直接播種やIoTを用いた稲作の実践や研究・開発を行っている。