AI潅水施肥システム「ゼロアグリ」が養液栽培に対応

AI搭載型の潅水制御システム「ゼロアグリ」を提供する株式会社ルートレック・ネットワークスは、いちごの高設栽培やトマトのポット栽培に使用できる排液流量自動制御技術を搭載した「ゼロアグリ for 養液栽培」をリリースした。


「ゼロアグリ」は、各種センサーで取得した情報や気象情報をAIが分析して農作物の水やり作業や施肥作業を自動で実行するシステム。スマートフォン等のデバイスを使用して、栽培情報をモニタリングしながら、潅水・施肥量を手動で調整することもできる。

ゼロアグリの仕組み
ゼロアグリの管理画面
導入の効果例
・トマト収量10%向上・A品率27%向上・販売額35%増
・キュウリ A品率25%向上・肥料コスト50%削減・労力40%削減


肥料コスト削減や環境へのリスクが課題に


高設栽培やポット栽培は、土耕栽培と比較して「病気が発生しにくい」、「作業がしやすい」、「新規就農者でも栽培ノウハウを習得しやすく成果を出しやすい」等のメリットがあるといわれている。

一般的に高設栽培やポット栽培で実施する潅水・施肥作業は、 点滴チューブ等を使用した養液栽培を主流としているが、最適な供給量を判断することは難しく、過剰給液や化成肥料を含んだ培養液を排液として排出してしまうなど環境面へのリスクも指摘されてきた。

「ゼロアグリ for 養液栽培」は、 排液のモニタリング情報と日射情報を参考に給液量をコントロールする排液流量自動制御技術を搭載した潅水制御システム。特長は以下の3つである。

「ゼロアグリ for 養液栽培」の特徴
  1. ゼロアグリに搭載されたAIに排液量をフィードバック。予め設定した目標の排液量に自動で調整。
  2. スマートフォンを使用して排液量をリアルタイムに確認。排液量が多い場合には手動でも調整可能。
  3. 農作物の成長に必要な土壌水分量や土壌中の塩分濃度を示すEC値も測定。排液量の目標設定に役立てられる。

排液量を検知するセンサー
目標排液量の設定イメージ
農林水産省は2015年に策定した「みどりの食料システム戦略」の中で、2050年までに温室効果ガスや土壌汚染の原因となる化学肥料の使用量を30%低減する目標を掲げている。同社は、「ゼロアグリ for 養液栽培」の提供を通じて、肥料コストの削減と環境負荷の軽減に取り組むことで、持続可能な農業生産を実現したい考えだ。


株式会社ルートレック・ネットワークス
https://www.routrek.co.jp/
AI搭載型潅水制御システム「ゼロアグリ」
https://www.zero-agri.jp/product.html
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  1. 福田浩一
    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
  2. 北島芙有子
    北島芙有子
    トマトが大好きなトマト農家。大学時代の農業アルバイトをきっかけに、非農家から新規就農しました。ハウス栽培の夏秋トマトをメインに、季節の野菜を栽培しています。最近はWeb関連の仕事も始め、半農半Xの生活。
  3. 柏木智帆
    柏木智帆
    米・食味鑑定士/お米ライター/ごはんソムリエ神奈川新聞の記者を経て、福島県の米農家と結婚。年間400種以上の米を試食しながら「お米の消費アップ」をライフワークに、執筆やイベント、講演活動など、お米の魅力を伝える活動を行っている。また、4歳の娘の食事やお弁当づくりを通して、食育にも目を向けている。プロフィール写真 ©杉山晃造
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    鈴木かゆ
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    田牧一郎
    日本で15年間コメ作りに従事した後、アメリカに移り、精米事業、自分の名前をブランド化したコメを世界に販売。事業売却後、アメリカのコメ農家となる。同時に、種子会社・精米会社・流通業者に、生産・精米技術コンサルティングとして関わり、企業などの依頼で世界12カ国の良質米生産可能産地を訪問調査。現在は、「田牧ファームスジャパン」を設立し、直接播種やIoTを用いた稲作の実践や研究・開発を行っている。
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