東京都と農工大、「都市型農業の新たなモデル」構築に向け協定を締結

東京都と国立大学法人東京農工大学は、「都市型農業の新たなモデル」の構築に向けた協働事業実施に係る協定を2025年7月18日(金)に締結した。これにより、東京の地域特性や国際的な動向を踏まえた新たな事業モデルの構築を目指すという。

左:東京農工大学学長 千葉一裕氏、右:産業労働局局長 田中慎一氏

DXを活用した農業の事業性を調査


今回の協定は、アグリテックを推し進め、東京都ならではの都市型農業の新たなモデルづくりを進めることを目的としたもの。協働事業の内容としては、事業性の検証に関する調査研究。以下の観点を中心に東京農工大学が調査研究を行い、東京都が経費を負担する。また関係機関や民間事業者、学識経験者など、産学公の知見を集約する会議等を開催する。

主な観点
・ステークホルダー(行政、企業等)へのヒアリングおよびニーズ把握
・国内外の関連制度
・政策・技術の動向調査・事業モデル(仮説)の構築および社会実装可能性の検証
・収支モデル(仮説)の構築および資金調達手法の検討
・イノベーション・技術開発動向(国内外)の整理
・特許・知的財産の棚卸と戦略的活用の可能性整理

東京都産業労働局長 田中 慎一氏のコメント
「東京の農業従事者の数は年々減少、また、平均年齢は65歳を超えている状況であり、今後も農業を持続可能とするためには担い手の確保はもとより、生産性の向上につながるデジタル技術の活用が不可欠です。 都はこれまでも『スマート農業』の推進に力を入れ、テクノロジーの力で農業の効率化と省力化を図る取組について後押ししてきました。 今回さらに、食の安全・安心を支える重要な産業である農業を次世代へとつなげていくために、この協定締結を契機とし東京が強みとする最先端技術なども取り入れた『都市型農業の新たなモデル』の検討を進めます」

東京農工大学学長 千葉 一裕氏のコメント

「東京都とともに、都市型農業の新たなモデルづくりに取り組めることを大変うれしく思います。 気候変動や生物多様性の喪失など地球規模の課題が深刻化する中、都市における持続可能な食料生産の仕組みを構築することは、重要かつ喫緊のテーマです。 本学は、農学、工学、生命科学をはじめとした多様な専門分野が連携する学際的研究に強みを有しており、本協定を契機に『東京モデル』と呼べる先進的な都市農業のあり方を創出し、その成果を国内外に発信してまいります」


東京都
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国立大学法人東京農工大学
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  1. 福田浩一
    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
  2. 北島芙有子
    北島芙有子
    トマトが大好きなトマト農家。大学時代の農業アルバイトをきっかけに、非農家から新規就農しました。ハウス栽培の夏秋トマトをメインに、季節の野菜を栽培しています。最近はWeb関連の仕事も始め、半農半Xの生活。
  3. 柏木智帆
    柏木智帆
    米・食味鑑定士/お米ライター/ごはんソムリエ神奈川新聞の記者を経て、福島県の米農家と結婚。年間400種以上の米を試食しながら「お米の消費アップ」をライフワークに、執筆やイベント、講演活動など、お米の魅力を伝える活動を行っている。また、4歳の娘の食事やお弁当づくりを通して、食育にも目を向けている。プロフィール写真 ©杉山晃造
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    鈴木かゆ
    1993年生まれ、お粥研究家。「おかゆ好き?嫌い?」の問いを「どのおかゆが好き?」に変えるべく活動中。お粥の研究サイト「おかゆワールド.com」運営。各種SNS、メディアにてお粥レシピ/レポ/歴史/文化などを発信中。JAPAN MENSA会員。
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    田牧一郎
    日本で15年間コメ作りに従事した後、アメリカに移り、精米事業、自分の名前をブランド化したコメを世界に販売。事業売却後、アメリカのコメ農家となる。同時に、種子会社・精米会社・流通業者に、生産・精米技術コンサルティングとして関わり、企業などの依頼で世界12カ国の良質米生産可能産地を訪問調査。現在は、「田牧ファームスジャパン」を設立し、直接播種やIoTを用いた稲作の実践や研究・開発を行っている。
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