農研機構、AIを利用した温州みかんの新しい糖度予測方法を開発

農研機構は温州みかんを対象に行った糖度予測に関する研究により、AIを利用した新しい糖度予測の方法を開発した。同機構は新技術を生産・出荷に活用していくことで、品質の向上や生産農家の収益向上を目指す方針だ。



温州みかんの産地では、出荷品質の安定を図る目的から、現在に至るまでの糖度や酸度など膨大なデータが蓄積されている。温州みかんの糖度は10~13度程度が適正とされており、予測方法の精度としては誤差0.5度以下が望まれてきた。これまでも気象データを用いた方法や、生育初期と出荷時の相関から推定する方法などが提案されてきたが、いずれも1度程度の誤差があったという。

一方、今回の「AIを利用した新しい糖度予測」では、より精度の高い予測を可能にしたと発表。この予測方法は過去の糖度データと気象データを利用したAIの機械学習によって数値を導き出すもので、地区ごと品種・系統別の予測を可能にしたという。


同研究は、温州みかんの主要産地の一つである、JAながさき西海と長崎県の協力で進められた。

JA支部14地区における2009年~2019年までの糖度データと気象データを使用し、予測誤差0.47度の高精度判定を取得。同時に実際の気象データを使用した実証実験も行い、予測誤差0.61度の判定も得ている。

今回の開発を通じ農研機構では、この方法による測定のシステム化を進め、産地が栽培に活用できるよう、今後も研究を継続していきたい考えだ。


農研機構
http://www.naro.affrc.go.jp/index.html
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  1. 福田浩一
    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
  2. 北島芙有子
    北島芙有子
    トマトが大好きなトマト農家。大学時代の農業アルバイトをきっかけに、非農家から新規就農しました。ハウス栽培の夏秋トマトをメインに、季節の野菜を栽培しています。最近はWeb関連の仕事も始め、半農半Xの生活。
  3. 柏木智帆
    柏木智帆
    米・食味鑑定士/お米ライター/ごはんソムリエ神奈川新聞の記者を経て、福島県の米農家と結婚。年間400種以上の米を試食しながら「お米の消費アップ」をライフワークに、執筆やイベント、講演活動など、お米の魅力を伝える活動を行っている。また、4歳の娘の食事やお弁当づくりを通して、食育にも目を向けている。プロフィール写真 ©杉山晃造
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    鈴木かゆ
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    田牧一郎
    日本で15年間コメ作りに従事した後、アメリカに移り、精米事業、自分の名前をブランド化したコメを世界に販売。事業売却後、アメリカのコメ農家となる。同時に、種子会社・精米会社・流通業者に、生産・精米技術コンサルティングとして関わり、企業などの依頼で世界12カ国の良質米生産可能産地を訪問調査。現在は、「田牧ファームスジャパン」を設立し、直接播種やIoTを用いた稲作の実践や研究・開発を行っている。
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