テラスマイルが「出荷予測実証サービス」をスタート 農業情報基盤「RightARM」を活用」

テラスマイル株式会社は、農産物の集出荷場や管理システムに蓄積されているデータを体系的に解析し、スマート農業戦略の立案を支援する「出荷予測実証サービス」を2020年4月1日に開始した。

同サービスは、同社が株式会社エムスクエア・ラボと共同で開発した農業情報基盤「RightARM(ライトアーム)」を活用した営農支援サービスを分離独立させたもの。農産物の出荷予測に特化したサービスを展開することで、産地経営の強化を図る農業経営者の支援を行いたい考えだ。


図1. 農業情報基盤 RightARM


テラスマイルは、地方創生の優良事例地域である宮崎県児湯郡新富町が設立した、食と農のシリコンバレー「新富アグリバレー」に本拠を構える農業ベンチャー企業。同社が提供する「RightARM」は、農林水産省が2017年に実施した「人工知能未来農業創造プロジェクト」を通じて開発された農業用の情報基盤で、農業経営の見える化やAIによる出荷予測などを行う。

同社は「RightARMを活用することは、スマート農業におけるコストの軽減や蓄積データの見える化、効果的な分析につながる」としており、主に南九州を中心に民間による営農支援を実施してきた。

現在は19万件以上の出荷量データと1億レコード以上のセンサーデータを預かり「出荷・集荷データ」の見える化や分析・解析を行うほか、農林水産省が実施するスマート農業実証プロジェクトにも参画している。

参考資料2. スマート農業実証プロジェクト同社のRightARMが使用されている3つのスマート農業実証プロジェクト

「予測準備型」と「予測開始型」の2つのメニューを用意


テラスマイルの「出荷予測実証サービス」は、農業経営者が蓄積してきたデータを用いて出荷予測を判定・解析する「予測準備型」と、実際にモデルを構築し実証と要因調整を行っていく「予測開始型」の2つのメニューで構成されている。

図2.出荷予測実証サービス-1
サービスは、目標設定を行った後、現状分析経て開始する流れで、価格は予測準備型が150万円、予測開始型が300~600万円(準備型の結果によって変動)、実証後における次年度の年間保守金額が60万円となっている。
経過報告や状況分析を行う「営農研究会」や「農業経営塾」の開催もオプションとして用意されている。

図3. 導入の流れ「出荷予測実証サービス」導入の流れ

参考資料3. 事例 営農研究会「営農研究会」参考図

農業生産の現場では、栽培管理システムや環境モニタリング、環境制御システム、自動選果ラインなどスマート農業技術の普及が進む一方、これらの蓄積データを活用したシステムによる産地経営の強化が望まれてきた。

テラスマイルでは、農業データの解析技術を独立したサービスとして展開することで、「過去のデータが活用できない」「活用に時間を要する」といった課題を解決し、「スマート農業の導入および実証へのコスト軽減を図りたい」としている。
今後は、活動の幅を全国に広げ、3年間で50プロジェクト、5年間で100プロジェクトを目標にサービスの利用を促進していく方針だ。


農業情報基盤「RightARM(ライトアーム)」
http://rightarm.jp/
テラスマイル株式会社
https://www.terasuma.jp/
新富アグリバレー
https://agri-valley.jp/
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  1. 田牧一郎
    田牧一郎
    日本で15年間コメ作りに従事した後、アメリカに移り、精米事業、自分の名前をブランド化したコメを世界に販売。事業売却後、アメリカのコメ農家となる。同時に、種子会社・精米会社・流通業者に、生産・精米技術コンサルティングとして関わり、企業などの依頼で世界12カ国の良質米生産可能産地を訪問調査。現在は、「田牧ファームスジャパン」を設立し、直接播種やIoTを用いた稲作の実践や研究・開発を行っている。
  2. 福田浩一
    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
  3. 石坂晃
    石坂晃
    1970年生まれ。千葉大学園芸学部卒業後、九州某県の農業職公務員として野菜に関する普及指導活動や果樹に関する品種開発に従事する一方で、韓国語を独学で習得する(韓国語能力試験6級取得)。2023年に独立し、日本進出を志向する韓国企業・団体のコンサル等を行う一方、自身も韓国農業資材を輸入するビジネスを準備中。HP:https://sinkankokunogyo.blog/
  4. 川島礼二郎
    川島礼二郎
    1973年神奈川県生まれ。筑波大学第二学群農林学類卒業。フリーラインスの編集ライターとして、テクノロジーをキーワードに、農業雑誌・自動車雑誌などで執筆・編集活動中。
  5. 堀口泰子
    堀口泰子
    栄養士、食アスリートシニアインストラクター、健康・食育シニアマスター。フィットネスクラブ専属栄養士を経て独立。アスリートの食事指導や栄養サポートの他、離乳食から介護予防まで食を通じて様々な食育活動を行う。料理家としても活動し、レシピ提案、商品開発も担う。食事は楽しく、気負わず継続できる食生活を伝えることを信条とする。スポーツの現場ではジュニアの育成、競技に向き合うための心と体の成長に注力している。HP:https://eiyoushiyakko.jimdofree.com/
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