東都興業、露地果樹向けスマート防災網システム「ロジシェード」の試験販売を開始

東都興業株式会社は、露地果樹園における気象リスク対策と作業負担軽減を目的とした、スマート防災網システム「ロジシェード」の試験販売を2026年7月1日より開始した。

プロトタイプ実証試験の様子

気象災害によるリスク軽減と作業の省力化が可能に


果樹生産の現場では、近年の気候変動により、高温や強日射による果実の日焼け、突発的な降ひょう、晩霜、鳥害など、複合的なリスクへの対応が求められている。天候の影響を直接受けやすい露地果樹栽培にも、施設園芸と同じような環境制御の概念が必要な状況になりつつあるという。

一方で、防災資材の展張・収納作業には多くの労力が必要となる。特に果樹園では高所作業を伴う場合もあり、作業者の安全確保や省力化は重要な課題となっている。

東都興業株式会社は、農業用施設資材メーカーとして培ってきた開閉機構・制御技術を活用し、露地果樹園における防災対策の自動化・省力化を実現する新たなシステムとして「ロジシェード」の開発を進めてきた。

同システムの開発・実証は、国内唯一のりんごを中心とした研究機関である地方独立行政法人・青森県産業技術センターりんご研究所および、全国のりんご流通における20%のシェアを持つ民間卸売市場・弘前中央青果株式会社のグループ会社である弘果総合研究開発株式会社との共同研究によって進められ、さらに日本ワイドクロス株式会社と独自の遮光ネットを共同開発するなど官民一体となって産地の課題に取り組んできた。

今回試験販売が開始される「ロジシェード」は、りんご・なし・ももなどの露地果樹園に設置する防災網を、タイマーや気象条件に応じて自動開閉するシステム。果実の日焼け、高温障害、降ひょうなどのリスク軽減を支援するとともに、高所でのネット展張・開閉作業、冬季の収納作業の省力化、安全性向上に貢献するとしている。製品の特徴は以下のとおり。

1. 多目的な気象リスク対策を支援

防災網を必要なタイミングで展張・収納することで、果実の日焼け、高温障害、降ひょう、など、露地果樹で発生する複数のリスク軽減を支援。従来の単一目的の資材活用にとどまらず、気象条件や栽培状況に応じて柔軟に運用できる多目的防災網のシステムとなっている。

2. 防災網の自動開閉・越冬仕様の収納構造により作業負担を軽減

防災網の開閉作業を自動化することで、生産者の作業負担を軽減。特に、脚立や高所作業を伴う園地では、作業安全性の向上にもつながる。急な天候変化への対応を省力化することで、限られた人員でも効率的な園地管理を行いやすくなる。

また、シーズン後の冬季・降雪時期における防災網の取り外しが不要なため、保守管理の手間を軽減できる。



3. スマート農業に対応した制御システム

時刻設定によるタイマー制御により、防災網の開閉を効率的に管理できる。将来的には、ウェザーニュース社の気象情報とAPI通信し、日焼け果の発生条件となる気温、雹害警報といった予測に基づいた制御を行うことで、発生を未然に防ぐ高度な露地果樹向け環境制御システム・スマート農業への展開を目指す。


4. 露地果樹園に適した構造設計

園地の棚構造や栽培方式に応じて設置できるよう、現地条件に合わせた提案を行う。



青森県産業技術センターりんご研究所 栽培部長 後藤氏のコメント
現在、りんご生産においては、労働力不足と地球温暖化、特に高温による日焼け果の発生が大きな問題となっています。日焼け果の発生を軽減するためには、樹上への遮光資材の設置が最も効果的ですが、設置に労力を要することや、長期間遮光した際の果実品質への影響等が懸念されていました。 「ロジシェード」は、電動式でタイマーによる制御ができるため、広い園地でも自動で遮光資材を開閉することが可能です。さらに、今後は各種センサーや気象情報と連携することにより、リアルタイムで気象状況に対応する自動開閉の実現を目指しています。日焼け果等の発生軽減と高品質生産を両立できる、世界に先駆けたスマート防災網システムとして今後の普及に期待しています。

弘果総合研究開発株式会社 部長 吉崎氏のコメント
今後ますます増加することが予想される気象災害や鳥害などのリスクについて軽減が期待される上、タイマーや気象条件に応じて自動開閉が可能であることから、労働力不足やスマート農業への対応としても普及が望まれます。 さらに、りんご高密植栽培には設置がしやすいことから、早期多収×安定生産という足腰の強い経営が可能となり、一年一作の果樹栽培にとって強い味方となると思います。

東都興業は、今回の試験販売を通じて、生産現場での使用感、設置性、耐候性、制御条件、作業削減効果、経済合理性などを検証していく。今後は、正式販売に向けたコスト適正化、各種センサーによる自動制御、気象データとの連動制御を進め、露地果樹における気象リスク管理の高度化に貢献する。また、園地電源として太陽電池モジュール導入を模索し、インフラ整備型の装置を目指すとしている。

同社は今後も、地方の労働人口減少・果樹産地の担い手確保という課題へのソリューションとして省力樹形の普及、それに伴う労働力集約型の営農体系の確立に不可欠なスマート農業の実装を、農業現場の課題に寄り添い、各パートナー企業と連携して気候変動時代・労働人口減少時代の安定生産と省力化を支える製品開発に取り組んでいく。





東都興業株式会社
https://www.toto-vp.com/
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  1. 福田浩一
    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
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    北島芙有子
    トマトが大好きなトマト農家。大学時代の農業アルバイトをきっかけに、非農家から新規就農しました。ハウス栽培の夏秋トマトをメインに、季節の野菜を栽培しています。最近はWeb関連の仕事も始め、半農半Xの生活。
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    柏木智帆
    米・食味鑑定士/お米ライター/ごはんソムリエ神奈川新聞の記者を経て、福島県の米農家と結婚。年間400種以上の米を試食しながら「お米の消費アップ」をライフワークに、執筆やイベント、講演活動など、お米の魅力を伝える活動を行っている。また、4歳の娘の食事やお弁当づくりを通して、食育にも目を向けている。プロフィール写真 ©杉山晃造
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    鈴木かゆ
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    田牧一郎
    日本で15年間コメ作りに従事した後、アメリカに移り、精米事業、自分の名前をブランド化したコメを世界に販売。事業売却後、アメリカのコメ農家となる。同時に、種子会社・精米会社・流通業者に、生産・精米技術コンサルティングとして関わり、企業などの依頼で世界12カ国の良質米生産可能産地を訪問調査。現在は、「田牧ファームスジャパン」を設立し、直接播種やIoTを用いた稲作の実践や研究・開発を行っている。