農水省と経産省、AI潅水施肥システム「ゼロアグリ」の「農業競争力強化支援法」参入を認定

株式会社ルートレック・ネットワークスは、農林水産省と経済産業省が支援する農業競争力強化支援法に基づく農業機械分野の事業として、AI潅水施肥システム「ゼロアグリ」を活用した新事業を開始した。

事業の実施機関は2020年5月~2025年4月末日まで。今回の事業は「良質かつ低廉な農業資材の供給」を目的に、ハウス栽培における労働時間の短縮と収量の向上および生産コストの低減を目指したものである。


農業競争力強化支援法とは、農業および農業生産関連事業の持続的発展や支援を目的に定められた法律を指す。
同法では、農業者のみの努力では解決できない構造的な問題について、国が為すべき責務や講ずべき施策等を示しているほか、企業による事業参入に係る要件なども規定する。

生産者が土壌水分量や養分濃度を設定できるよう改良


ゼロアグリとは、農作物に必要な水分量をAIが算出し、潅水や施肥作業を自動で行う「AI潅水施肥システム」。

「土壌の保水力は粘土質か砂質かによって異なる」という性質を元に、48時間の準備潅水を行ったあと、AIシステムが圃場の土壌条件を認識し、土壌水分量を一定に保つように潅水を制御する。

しかし、土壌水分量は周辺水田の入水や降雨など外的要因によって変化することがあり、このような状況下で土壌水分量を一定に保つように潅水を制御すると「土中の養分が足りなくなる」といった課題もあったという。

今回の事業で使用されるゼロアグリは、ルートレック・ネットワークスがこれらの課題を解決できるよう改良を加えたもので、生産者が土壌水分量や養分濃度を設定できるのが特徴だ。

出典:農林水産省 https://www.maff.go.jp/j/press/seisan/sizai/attach/pdf/200529-1.pdf
改良されたゼロアグリは、日射や土壌水分等の情報を発信する本体と、それを受信し土壌環境に応じた培養液供給を指示するゼロアグリクラウドで構成される。

システムは、本体に接続された日射センサーと土壌センサーが土壌情報を10分単位で送信する仕組みで、それを受けたゼロアグリが生産者の設定条件になるよう、環境に応じた潅水量や培養液濃度を自動計算し本体に指示する。

目標の水分値や施肥量は、スマートフォンやPC等の端末からでも設定でき、生産者が設定したデータはクラウド上に保存される。

ゼロアグリは、主にトマトやキュウリ、イチゴなどの果菜類を中心に導入が進んでおり、過去に行われたトマトの慣行栽培での比較実験では、収量が約27%アップし労働時間も9割削減できたという。

事業では、代理店を通じた販路拡大や月額サービスであるサブスクリプションの導入も計画されている。同社では、事業が終了する2025年4月までに累計国内導入台数1800台を達成したい考えだ。


農業競争力強化支援法に基づく事業参入計画の認定(農業機械分野)について|農林水産省
https://www.maff.go.jp/j/press/seisan/sizai/200529.html
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  1. 福田浩一
    ふくだこういち。東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。現在は主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。http://www.ijas.co.jp/
  2. 中村圭佑
    なかむらけいすけ。明治大学農学部卒業後、日本農薬株式会社に約7年勤務。その後、大手経営コンサルティング会社を経て、FOOD BOX(現在登記準備中)を2019年7月に起業。Facebook:https://www.facebook.com/foodboxjp/、Instagram:https://www.instagram.com/foodbox_jp/
  3. 百花繚乱
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    2児の父。あるきっかけにより農業のイメージを変えたいと考え、16年間のサラリーマン生活にピリオドを打つことを決意。2020年春、家族で田舎に移住し、新規就農を目指す。自身が「移住×就農のモデルケース」となるために、いろんな方面へ向けて奮闘中。
  5. 藤本一志
    ふじもとかずし。大学・大学院の6年間を通して地域づくりと農業の活動に関わる。1年間のサラリーマン生活の後、学生時代から活動していた地域に移住し、2拠点居住を開始する。移住支援を通じた地域づくり活動に取り組む傍ら、兼業農家として稲作に取り組む。