姫路市、将来の農業人材を育むための「令和2年度農業版STEAM教育事業」を実施

子ども向けSTEAMプログラミング教育を展開する株式会社プロキッズと姫路市は、後継者不足やIT人材の不足などさまざまな人的課題を抱える農業分野へ向けた取り組みとして「令和2年度農業版STEAM教育事業」を開始した。

この事業は、内閣府が推進する「地方創生推進交付金事業」として採択されたものだ。プロキッズは事業を通じて「姫路市と連携して、ロボットやAIなどスマート農業を活用した新しいビジネスの創出や、SDGsの達成に貢献するアグリテック(スマート農業)人材を輩出したい」としている。

株式会社プロキッズ(左)、 兵庫県姫路市(右)
プロキッズは、子ども向けのプログラミングスクールやイベント事業等を手がける企業。人工知能やIoTなど最先端技術を中心としたSTEAM教育事業を展開する。

STEAM教育とは、科学や技術、工学など21世紀型のスキルを育成するための教育手法。科学(Science)・技術(Technology)・工学(Engineering)・芸術(Art)・数学(Mathematics)の頭文字をとった言葉だという。

姫路市の地域課題を解決できるアグリテック人材の育成を目指す


2015年の「農業センサス」によれば、姫路市の農業者の平均年齢は71歳で、全体の約82%が65歳以上という結果が報告されている。姫路市では、農業者の高齢化に伴う後継者不足や農村の過疎化、限界集落の増加、耕地利用の低下など、さまざまな地域課題を抱えているが、これらの課題を解決できる人材育成のプロセスは持っていなかった。

「令和2年度農業版STEAM教育事業」は、プロキッズが展開するSTEAMプログラミング教育を応用した教育事業である。事業では、情報通信技術(ICT)を活用した農業の実践など、姫路市が抱える地域課題に対して、最新のテクノロジーを用いて解決できるアグリテック人材の育成を目指すそうだ。

「FarmBot Genesis XL v1.5 (CNC家庭菜園組立キット)」を使った自動水やりのイメージ※4
プロキッズと姫路市では、「農業に関する最新技術を活用する体験を通して、農業と新たな技術に対する興味喚起を促す」としており、事業を単なる農業体験で終わらせないよう、最新の農業ロボット技術やIT技術を組み合わせた新たな農業体験を提供していく考えとのこと。

両者は、事業の開始にあたり「障がいのある人たちや高齢者でも取り組むことができる新たな農業を考える機会も提供していきたい」と述べた。


株式会社プロキッズ
https://prokids.jp/
姫路市
https://www.city.himeji.lg.jp/
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  1. 福田浩一
    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
  2. さとうまちこ
    さとうまちこ
    宮城県の南の方で小さな兼業農家をしています。りんご農家からお米と野菜を作る農家へ嫁いで30余年。これまで「お手伝い」気分での農業を義母の病気を機に有機農業に挑戦すべく一念発起!調理職に長く携わってきた経験と知識、薬膳アドバイザー・食育インストラクターの資格を活かして安心安全な食材を家族へ、そして消費者様に届けられるよう日々奮闘中です。
  3. 北島芙有子
    北島芙有子
    トマトが大好きなトマト農家。大学時代の農業アルバイトをきっかけに、非農家から新規就農しました。ハウス栽培の夏秋トマトをメインに、季節の野菜を栽培しています。最近はWeb関連の仕事も始め、半農半Xの生活。
  4. 川島礼二郎
    川島礼二郎
    1973年神奈川県生まれ。筑波大学第二学群農林学類卒業。フリーラインスの編集ライターとして、テクノロジーをキーワードに、農業雑誌・自動車雑誌などで執筆・編集活動中。
  5. 柏木智帆
    柏木智帆
    米・食味鑑定士/お米ライター/ごはんソムリエ神奈川新聞の記者を経て、福島県の米農家と結婚。年間400種以上の米を試食しながら「お米の消費アップ」をライフワークに、執筆やイベント、講演活動など、お米の魅力を伝える活動を行っている。また、4歳の娘の食事やお弁当づくりを通して、食育にも目を向けている。プロフィール写真 ©杉山晃造
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