HarvestX、イチゴ栽培を完全自動化する植物工場向けロボット「XC1」を開発中

植物工場における果菜類の完全自動栽培を目指すHarvestX株式会社は、イチゴ栽培を完全自動化する植物工場向けの農業用ロボット「自動授粉・収穫実証試験ロボットXV1」の研究・開発を推進する方針を固めた。

「自動授粉・収穫実証試験ロボットXV1」は、イチゴ栽培に必要な受粉作業や収穫作業を自動で実行する植物工場向けの農業用ロボットだ。同社は、の研究・開発を通じて、「農業の人手不足を解決したい」としている。

HarvestXが研究・開発を進める「自動授粉・収穫実証試験ロボットXV1」

HarvestXは、2020年8月に設立されたアグリスタートアップ企業。東京大学が主催する「本郷テックガレージ」の支援プログラムにて事業をスタートさせ、South by Southwest(SXSW)のTrade Show出展を目指す「Todai To Texas」や未踏IT人材発掘・育成事業を通じて、ロボットによる授粉・収穫技術の基礎となるプロトタイプの開発を推進してきた。

同社をはじめ多くのアグリテック企業が取り組む屋内型栽培施設の野菜工場は、高度な環境制御と生育予測を可能とし、農作物の周年・計画生産に対応できることから、農業人口の減少や食料問題、新型コロナウイルス感染症の影響など世界が直面する農業課題の解決にも役立つと注目されている。

現在はレタス等の葉物類を中心に栽培が進められているものの、虫媒受粉に依存するイチゴ等の果物類については、受粉作業の安定化、飼育管理の低コスト化が課題とされてきた。

イチゴ栽培に必要な受粉作業を完全自動で実行する農業用ロボット


同社が研究・開発を進める「自動授粉・収穫実証試験ロボットXV1」は、奥行きの画像情報が取得できる深度センサーを内蔵したデプスカメラと、同社が開発した画像処理アルゴリズムを用いて、イチゴ栽培に必要な授粉作業および収穫作業を完全自動で実行する農業用ロボットだ。


同社は、「XV1」の研究・開発を加速させ、植物工場におけるイチゴ栽培の完全自動化を早期に実現したい考えを示している。

なお、HarvestX株式会社は今回、独立系ベンチャーキャピタル「ANRI 4号投資事業有限責任組合」、東京大学協創プラットフォーム開発株式会社が運営するオープンイノベーション推進1号投資事業有限責任組合、河合聡一郎、曾川景介、田中邦裕から、総額5000万円の資金を調達している。


HarvestX株式会社
https://harvestx.jp/
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  1. 福田浩一
    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
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    北島芙有子
    トマトが大好きなトマト農家。大学時代の農業アルバイトをきっかけに、非農家から新規就農しました。ハウス栽培の夏秋トマトをメインに、季節の野菜を栽培しています。最近はWeb関連の仕事も始め、半農半Xの生活。
  3. 柏木智帆
    柏木智帆
    米・食味鑑定士/お米ライター/ごはんソムリエ神奈川新聞の記者を経て、福島県の米農家と結婚。年間400種以上の米を試食しながら「お米の消費アップ」をライフワークに、執筆やイベント、講演活動など、お米の魅力を伝える活動を行っている。また、4歳の娘の食事やお弁当づくりを通して、食育にも目を向けている。プロフィール写真 ©杉山晃造
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    鈴木かゆ
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    田牧一郎
    日本で15年間コメ作りに従事した後、アメリカに移り、精米事業、自分の名前をブランド化したコメを世界に販売。事業売却後、アメリカのコメ農家となる。同時に、種子会社・精米会社・流通業者に、生産・精米技術コンサルティングとして関わり、企業などの依頼で世界12カ国の良質米生産可能産地を訪問調査。現在は、「田牧ファームスジャパン」を設立し、直接播種やIoTを用いた稲作の実践や研究・開発を行っている。
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