Agrihub、農薬適正使用管理システム「アグリハブクラウド」をリリース

個人農家向け栽培管理アプリ「アグリハブ」を提供する株式会社Agrihubは、農産物販売事業者向けの農薬適正使用管理システム「アグリハブクラウド」をリリースした。

アグリハブクラウドは、 アグリハブを利用する農業者の農薬データをJA等の農産物販売事業者がリアルタイムで確認できるシステム。同社はアグリハブクラウドの提供を通じて、「農薬の検閲業務に係わる時間の大幅削減と農薬の誤使用防止に貢献したい」としている。


アグリハブは、ITベンチャー企業に勤務していた元エンジニアの現役農家が開発した農作業専門のアプリ。
農薬情報の検索や散布の管理、農業日誌への書き込みなど、農作物の栽培管理に必要な情報を一元管理できるのが特徴で、現在の登録者数は1万人を越えるという。

その中でも、農薬情報の検索機能や散布の管理機能は、農薬の使用回数や適正量を定めた農薬取締法に基づく散布に役立つとして、JAなど農業関係団体の職員からも多くの支持を集めているそうだ。

現在は、日本の農業や地域社会が抱えるさまざまな課題解決を目的に、JAグループが保有する施設や店舗ネットワーク、農業者との接点等の資産を活用できるJAアクセラレーター第二期の採択も受けている。



農薬の誤使用と使用履歴の検閲に関する農業現場の課題


日本の農業現場では、農業生産の安定化や品質の維持・向上を目的に、農薬や化学肥料を使用した慣行栽培が行われている。その中でも、農薬は収量や品質に直接影響を及ぼす病害虫の発生や駆除、雑草等への対策に役立つことから適正な使用が奨められている。

農業者は、使用回数や適正量など農薬取締法が定める規定の基、厳格なルールで農薬を使用しているが、使用回数の誤りや適正量の超過など誤使用に関する課題が度々指摘されてきた。

一方で、JA等の農産物販売事業者も、農産物の販売にあたり、農薬の使用履歴を検閲しているが、複雑に定められた使用基準を人間の目で完全に確認することは難しく、 膨大な作業時間が費やされているそうだ。

1件あたり10分程度の検閲時間を1分程度まで短縮


アグリハブクラウドは、 農産物販売事業者の職員や農業者の労働環境を改善することで、消費者に安心・安全な農作物を届けるシステムである。

JAアクセラレーター第二期のプログラムとして実施された栃木県内のJAとの実証実験では、農薬の使用履歴の管理および検閲に関する業務時間を9割削減。1件あたり10分程度を要していた検閲時間を1分程度まで短縮できたという。

利用した職員からは、 「JAと農家の双方の視点でつくられている」、「すぐに利用したい」等の声が寄せられたそうだ。

アグリハブとアグリハブクラウドを通じて農業のDX化を推進


JA等の農産物販売事業者では、これまでも農薬の適正使用管理に利用できる業務管理システムの導入を進めてきたが、農業者のデータ入力の負担や職員の代行入力による業務量の増加など運用面の課題から、実際の利用までは至らなかった。

しかし、アグリハブクラウドは、1万人を越えるユーザーが利用するアグリハブと連携したシステムのため、農業者への導入をスムーズに進めることができるほか、利用者の声を反映した新しい機能も無料で追加できる

Agrihubは、 アグリハブとアグリハブクラウドを農業の基幹システムにすることで、農業のDX化(デジタルトランスフォーメーション)を推進したい考えだ。


個人農家向け栽培管理アプリ アグリハブ
https://cloud.agrihub-solution.com/
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  1. 田牧一郎
    田牧一郎
    日本で15年間コメ作りに従事した後、アメリカに移り、精米事業、自分の名前をブランド化したコメを世界に販売。事業売却後、アメリカのコメ農家となる。同時に、種子会社・精米会社・流通業者に、生産・精米技術コンサルティングとして関わり、企業などの依頼で世界12カ国の良質米生産可能産地を訪問調査。現在は、「田牧ファームスジャパン」を設立し、直接播種やIoTを用いた稲作の実践や研究・開発を行っている。
  2. 福田浩一
    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
  3. 石坂晃
    石坂晃
    1970年生まれ。千葉大学園芸学部卒業後、九州某県の農業職公務員として野菜に関する普及指導活動や果樹に関する品種開発に従事する一方で、韓国語を独学で習得する(韓国語能力試験6級取得)。2023年に独立し、日本進出を志向する韓国企業・団体のコンサル等を行う一方、自身も韓国農業資材を輸入するビジネスを準備中。HP:https://sinkankokunogyo.blog/
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    川島礼二郎
    1973年神奈川県生まれ。筑波大学第二学群農林学類卒業。フリーラインスの編集ライターとして、テクノロジーをキーワードに、農業雑誌・自動車雑誌などで執筆・編集活動中。
  5. 堀口泰子
    堀口泰子
    栄養士、食アスリートシニアインストラクター、健康・食育シニアマスター。フィットネスクラブ専属栄養士を経て独立。アスリートの食事指導や栄養サポートの他、離乳食から介護予防まで食を通じて様々な食育活動を行う。料理家としても活動し、レシピ提案、商品開発も担う。食事は楽しく、気負わず継続できる食生活を伝えることを信条とする。スポーツの現場ではジュニアの育成、競技に向き合うための心と体の成長に注力している。HP:https://eiyoushiyakko.jimdofree.com/
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