白鶴ファーム、スマート農業技術を活用した酒米生産の実証実験を実施

白鶴酒造の農業法人である白鶴ファーム株式会社は、農業用ドローンICT技術を活用して高品質な酒米を生産する実証実験を実施している。


日本の酒米生産は、農業従事者の高齢化や担い手不足等の課題を背景に、深刻な人手不足に悩まされている。
白鶴ファームは、兵庫県の酒造メーカーである白鶴酒造株式会社が日本酒の生産に必要な酒米の安定的確保を目的に設立した農業法人。兵庫県丹波篠山市に点在する33ヘクタールの農場を拠点に、白鶴酒造の出向社員らが酒米の生産に取り組んでいる。

ドローン農薬散布と圃場データの取得を実施


実験では、白鶴酒造の日本酒銘柄である白鶴錦や五百万石に使用する高品質な酒米生産を目的に、農業用ドローンを用いた農薬散布とICT技術を活用した圃場データの取得を実施して、作業の効率化や省力化を検証している。

内容は以下の通りだ。

1.農業用ドローンの活用


いもち病の防除やカメムシ等の害虫予防を目的に農薬散布を実施。
総重量約30kgの背負い動力散布機を用いて行っていた従来の方法と比較して人的負担を大幅軽減。
所要時間を約3分の1程度まで短縮できたほか、農業用ドローンの特徴である均一な散布にも成功したそうだ。

2.ICT技術の活用


水田の水温・水位データを取得。
水田に設置したセンサーで水温・水位のデータを自動取得。
収穫後に品質や収量との相関関係を調査する予定とのこと。

日本の農業は、まだまだ人の手に頼る作業が多く、新規就農するためには、高度な栽培技術の修得が必要といわれている。同社は、今回の実証実験で得た成果を参考に、高品質な酒米生産に取り組みながら、日本農業の課題である農業生産の省力化に貢献したい考えだ。


白鶴酒造会社
https://www.hakutsuru.co.jp/
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  1. 福田浩一
    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
  2. さとうまちこ
    さとうまちこ
    宮城県の南の方で小さな兼業農家をしています。りんご農家からお米と野菜を作る農家へ嫁いで30余年。これまで「お手伝い」気分での農業を義母の病気を機に有機農業に挑戦すべく一念発起!調理職に長く携わってきた経験と知識、薬膳アドバイザー・食育インストラクターの資格を活かして安心安全な食材を家族へ、そして消費者様に届けられるよう日々奮闘中です。
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    北島芙有子
    トマトが大好きなトマト農家。大学時代の農業アルバイトをきっかけに、非農家から新規就農しました。ハウス栽培の夏秋トマトをメインに、季節の野菜を栽培しています。最近はWeb関連の仕事も始め、半農半Xの生活。
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    川島礼二郎
    1973年神奈川県生まれ。筑波大学第二学群農林学類卒業。フリーラインスの編集ライターとして、テクノロジーをキーワードに、農業雑誌・自動車雑誌などで執筆・編集活動中。
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    柏木智帆
    米・食味鑑定士/お米ライター/ごはんソムリエ神奈川新聞の記者を経て、福島県の米農家と結婚。年間400種以上の米を試食しながら「お米の消費アップ」をライフワークに、執筆やイベント、講演活動など、お米の魅力を伝える活動を行っている。また、4歳の娘の食事やお弁当づくりを通して、食育にも目を向けている。プロフィール写真 ©杉山晃造
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