千葉県でナシ栽培の省力化や気候変動に対応するスマート農業の実証開始

千葉県が代表機関を務めるコンソーシアム「千葉県ナシ栽培スマ農コンソ」は、ロボットやAI、ICT等のスマート農業技術を活用して、ナシ栽培の労働負荷軽減や気候変動に対応した体系づくりに取り組む実証事業を市川市・成田市のナシ農園で開始した。

3つのテーマで実証事業を実施


千葉県は、全国1位の栽培面積と産出額を誇るニホンナシの名産地。二ホンナシは、海外での需要も高い人気の農作物だが、近年は気候変動の影響による生育ステージのばらつきや生産者の高齢化、後継者不足等の課題を背景に、生産量が年々減少している状況という。

今回の実証事業では、ニホンナシ栽培の具体的課題である、生産量の向上、環境配慮型農業への転換、栽培技術の継承を目的に、「収穫作業」、「薬剤防除」、「生育予測」の3つをテーマにした実証実験を実施していく。


実証事業の内容


1.ヒト自動追従ロボット作業車の開発・実証
除草剤散布モジュールを搭載した自動追従型のロボット作業車を導入して、収穫・せん定枝回収・結束作業を実施。作業者が装着したウェアラブル端末を使用して心拍変化など軽労化の効果を検証する。


2.ほ場ごとの気象データに基づく病害発生予測と農薬散布適正化ナビゲーション
アメダス等では取得できない詳細な微気象データを広範囲に収集するセンサネットワークを構築して、栽培支援用スマホアプリ「梨なび」に反映。黒星病の発生予測と防除適期をナビゲーションする仕組みをつくることで使用する農薬の種類を削減する。


3.ナシの棚下から自動で画像を収集し、AIが生育解析を行うシステム
ロボット作業車に搭載したカメラで棚下から生育途中のニホンナシを撮影。葉の茂り方をAIが解析して生育ステージを診断するほか、撮影した画像をクラウド上に保存してリモートによる栽培指導や生産者同士の情報共有に役立てる。


コンソーシアムのメンバーとその役割

千葉県農林総合研究センター 担い手支援課 東葛飾農業事務所
・実証全体の推進・実証フィールドのとりまとめ
・ホームページによる広報およびICT技術利用研修の受講者等に向けた普及活動

有限会社ヤマニ果樹農園
・スマート農業技術のほ場実証
・実証技術における経営データの収集

株式会社NTTデータ経営研究所
・事業全般の管理・統括・軽労化の検証
・ビジネスモデルの検討

株式会社NTTデータCCS
・ナシの棚下から撮影した画像からAIが生育解析を行うシステムの開発

アイ・イート株式会社
・ロボット作業車の開発

株式会社イーエスケイ
・病害虫防除ナビゲーションシステムの開発・改良

東日本電信電話株式会社
・微気象データを取得するためのセンサネットワークの設置と効率的なデータ収集方法の検証

市川市農業協同組合
・輸出に関するデータの取得、生産者との連絡調整および実証技術への改良・開発および普及に向けての助言

全国農業協同組合連合会千葉県本部
・開発する実証技術への改良・開発および普及に向けての助言

千葉県果樹園芸組合連合会なし部会
・実証に関する調査への協力、農家の意見のとりまとめ、普及フェーズでの広報等

市川市
・市川市のナシ生産に係るスマート農業の推進


令和3年度スマート農業実証プロジェクト(果樹)
https://www.affrc.maff.go.jp/docs/smart_agri_pro/pamphlet/r3/kaju/index.htm#toc_mark
千葉県「スマート農業の推進について」
https://www.pref.chiba.lg.jp/nousui/nourinsuisan/smartnougyousuishin.html#smartkennaijoho
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WRITER LIST

  1. 堀口泰子
    栄養士、食アスリートシニアインストラクター、健康・食育シニアマスター。フィットネスクラブ専属栄養士を経て独立。アスリートの食事指導や栄養サポートの他、離乳食から介護予防まで食を通じて様々な食育活動を行う。料理家としても活動し、レシピ提案、商品開発も担う。食事は楽しく、気負わず継続できる食生活を伝えることを信条とする。スポーツの現場ではジュニアの育成、競技に向き合うための心と体の成長に注力している。HP:https://eiyoushiyakko.jimdofree.com/
  2. 大槻万須美
    管理栄養士・フードスタイリスト。楽しく食べて健康に。食の大切さを伝えるため、料理教室、バレエダンサーやアスリートのパーソナル栄養サポート、レシピ・コラムの提供など幅広く活動。子どもの頃の毎年の米作り経験から、身近な食体験の重要性についても実感し、おとなと子どもの食育サポートにも力を注いでいる。
  3. 田牧一郎
    たまきいちろう。68歳。日本で15年間コメ作りに従事した後、アメリカに移り、精米事業、自分の名前をブランド化したコメを世界に販売。事業売却後、アメリカのコメ農家となる。同時に、種子会社・精米会社・流通業者に、生産・精米技術コンサルティングとして関わり、企業などの依頼で世界12カ国の良質米生産可能産地を訪問調査。現在は、「田牧ファームスジャパン」を設立し、直接播種やIoTを用いた稲作の実践や研究・開発を行っている。
  4. 田中克樹
    たなかかつき。32年間の農業出版社勤務を経て、2020年末、故郷の八ヶ岳南麓に帰郷。仲間と共に農業・福祉系NPOを立ち上げ、遊休農地・耕作放棄地を再生し、心身の癒しや健康づくりにつながる有機無農薬の体験型農園づくりに取り組む。NPOでは田んぼ除草にホバークラフトを活用したスマート技術を開発中。農と風土(フード)を愛する人たち向けのブックカフェ・居酒屋を開くのが夢。
  5. 山田正美
    大阪工業大学大学院修了。福井県職員として、農業試験場研究員、専門技術員、農業技術経営課長、農林水産部技幹を経て退職。現在、日本生産者GAP協会常務理事、日本農業サポート研究所主席コンサルタント。
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