パソナグループのGM7、宮城県丸森町で農業生産をサポート タピオカ原料のキャッサバなどを栽培

宮城県丸森町の地域商社事業や観光推進事業を展開する、株式会社GM7(本社:宮城県丸森町、代表取締役 齊藤良太)は、2019年9月からの本格的な農業生産事業への参入を表明した。ヒマワリやリコリス、キャッサバの栽培を通じ同町の活性化を図り、2020年3月までに農業生産法人の設立を目指す考えだ。

ヒマワリの栽培風景ヒマワリの栽培風景

農業を通じた地域活性事業を目指し

株式会社VISIT東北(パソナグループ)の子会社である株式会社GM7は、宮城県丸森町の地域商社事業や観光推進事業を展開する企業だ。丸森町での農業の現状は決して明るいものではない。担い手不足や休耕地の増加、鳥獣害被害の拡大が指摘されており、同町にとって農業振興は欠かすことのできない取り組みとなっている。
同社はこれまでも、地域資源を活用した特産品の販路拡大や観光コンテンツ開発など、丸森町の魅力発信を目的とした、さまざまな事業に取り組んできたが、本格的な農業事業への参入は今回が初めて。

今回の地域活性事業では、2020年3月までに農業生産法人を設立し、丸森町が有する良質な農産物の生産体制をサポートする考えだ。「自社の商社事業を通じて市場の需要を先取りし、消費者ニーズの視点から作物を選定。さらに原料となる作物を栽培することで、将来性のある農業の実現を目指す」としている。

具体的には、ヒマワリの種やルートビアをはじめ、同社が新規飲食事業として7月に丸森町等にオープンした生タピオカ専門店『どっと堂(dot do)』のタピオカなど、インバウンド(訪日外国人旅行)向けとしても需要がある作物の栽培を今年9月より開始する。

タピオカの原料となるキャッサバタピオカの原料となるキャッサバ

農業生産事業の概要

同社が9月よりスタートさせる、具体的な事業内容は以下の通りだ。

農業生産事業(1)『ヒマワリプロジェクト』概要

場所: 丸森町大張羽出庭地区

内容:
1)食用ヒマワリの栽培
2)観賞用ヒマワリの栽培支援
3)インバウンド向け商品開発
4)ECサイトやふるさと納税での販売・マーケティング
5)観光地としての情報発信

特長:
(1)丸森町羽出庭地区では、「笠松」がある大張大蔵の棚田に景観作物としてヒマワリを作付けしており、その一画を食用ヒマワリの栽培にあてる。管理は同地区の住民と一緒に行う。
(2)ヒマワリの種は主に、中国やアメリカで一般的なおやつとして消費されているが国産品として商品化し、インバウンド向けのお土産品として販売。
(3)丸森町の特産品である、えごまや桑の葉同様、ヒマワリの種は機能性食品であり、スポーツシーンでの摂取やアウトドア・レジャー時のおつまみとしての展開が期待されることから、他の自社製品とセットでの販売を行う
(4)商品のプロモーションにあわせて、「大張羽出庭のヒマワリ」として、丸森町の天然記念物に指定されている幹周り3mを超えるアカマツの古木「笠松」ととともに景観を多くの人にPRし、観光へ繋げる。


農業生産事業(2)丸森町産リコリスを使った『ルートビアプロジェクト』概要

場所: 丸森町舘山

内容:
1)ルートビアの原料「リコリス(スペイン甘草)」の栽培
2)リコリス栽培の普及
3)インバウンド向け商品開発
4)EC・ふるさと納税を活用したマーケティング

特長:
(1)2018年度から丸森町の企業と連携し、リコリスの試験栽培を行っており、順調に生育していることから、苗を再生産し、その量を増やしていく。
(2)自社で栽培管理を行うとともに、栽培に興味がある町内の農家に普及させ、町内での生産を増やしていく。
(3)インバウンド向けの飲料製品「ルートビア」を開発し、丸森町の特産品の一つとする。特に、ECサイトやふるさと納税での販売の他、首都圏の飲食店でのPRを行い、国産ルートビアを周知させる。

農業生産事業(3)生タピオカ専門店『どっと堂・キャッサバ プロモーション』概要

場所: 丸森町大内

内容:
1)キャッサバの栽培
2)タピオカの原料生産

特長:
(1)関東地方が北限と言われるキャッサバの栽培を行い、タピオカの原料生産を試みる。
(2)キャッサバは、食害を受けにくく、遊休農地等でも作付けが可能なため、丸森町での栽培が可能であれば、継続的な栽培も検討。
(3)GM7が今年7月に丸森町にオープンした生タピオカ専門店『どっと堂』で提供するタピオカの原料として利用。

<参考リンク>
株式会社GM7
宮城県丸森町HP
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  1. 田牧一郎
    田牧一郎
    日本で15年間コメ作りに従事した後、アメリカに移り、精米事業、自分の名前をブランド化したコメを世界に販売。事業売却後、アメリカのコメ農家となる。同時に、種子会社・精米会社・流通業者に、生産・精米技術コンサルティングとして関わり、企業などの依頼で世界12カ国の良質米生産可能産地を訪問調査。現在は、「田牧ファームスジャパン」を設立し、直接播種やIoTを用いた稲作の実践や研究・開発を行っている。
  2. 福田浩一
    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
  3. 石坂晃
    石坂晃
    1970年生まれ。千葉大学園芸学部卒業後、九州某県の農業職公務員として野菜に関する普及指導活動や果樹に関する品種開発に従事する一方で、韓国語を独学で習得する(韓国語能力試験6級取得)。2023年に独立し、日本進出を志向する韓国企業・団体のコンサル等を行う一方、自身も韓国農業資材を輸入するビジネスを準備中。HP:https://sinkankokunogyo.blog/
  4. 川島礼二郎
    川島礼二郎
    1973年神奈川県生まれ。筑波大学第二学群農林学類卒業。フリーラインスの編集ライターとして、テクノロジーをキーワードに、農業雑誌・自動車雑誌などで執筆・編集活動中。
  5. 堀口泰子
    堀口泰子
    栄養士、食アスリートシニアインストラクター、健康・食育シニアマスター。フィットネスクラブ専属栄養士を経て独立。アスリートの食事指導や栄養サポートの他、離乳食から介護予防まで食を通じて様々な食育活動を行う。料理家としても活動し、レシピ提案、商品開発も担う。食事は楽しく、気負わず継続できる食生活を伝えることを信条とする。スポーツの現場ではジュニアの育成、競技に向き合うための心と体の成長に注力している。HP:https://eiyoushiyakko.jimdofree.com/
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