木下工務店、水耕栽培システムを備えた「都市型農園の家」モデルハウスを池袋にオープン

株式会社木下工務店は、“都市型農園の家”をコンセプトとした3階建ての新モデルハウス「池袋展示場」を池袋・千川ハウジングギャラリー内にオープンした。水耕栽培(ハイドロポニック)システムの菜園や植物育成LEDライトを備え、都市部の住宅内でも農業ができる住まいとなっている。


家の中で農業ができる仕組みで“家産家消”を目指す


世界情勢の悪化による物価高騰や、自然災害、天候不順、世界人口の増加による食料需要ひっ迫のリスクが年々高まっている。また、家庭菜園にしても、都市部では敷地面積の確保や、建物が近接する中で必要な日当たりの確保が難しい。

こうした背景の下、同社は自分が必要とし消費する食料はできるだけ自分の家で生産する“家産家消”をテーマに掲げ、家の中で農業ができる仕組みを持つ“都市型農園の家”を提案した。


今回オープンしたモデルハウスでは各フロアに「育成室」が配置され、太陽光発電を利用した植物育成LEDライトや、雨水を利用した自動追肥装置付きの水耕栽培システムの菜園が備えられている。

水耕栽培は、栽培に適した土が不要で収穫後も土を処理する必要がないほか、土を使わないため虫がつきにくい、作物が養液によって効率よく栄養を吸収できるため成長スピードが早く、大きく育つなど、自宅内での農業に有利な点がある。

水耕栽培の方法は、協和株式会社の「ハイポニカ」を採用。従来の農業技術では人間が植物をコントロールして栽培するが、ハイポニカでは植物が持つ潜在能力を最大限に発揮できる環境を整えることにより、生産性が上がるという。また、養液や温度・湿度など安定した環境で世話するため、農業経験を問わずに栽培管理が行え、再現性の高い収穫に繋がる。


間取りは、あくまでも住宅で植物工場ではないことから、住空間としての質の高さと栽培機能を両立。1階は道路からも室内栽培している様子が見えるように計画され、軒先を地域とのコミュニケションスペースにできるほか、2階のダイニング+キッチンではピクチャーウィンドウ越しに見える育成室をインテリアに取り込んでいる。

さらに、地域社会との関係が希薄になっている現代社会において、野菜を介して近隣との新しいコミュニケーションが生まれることも期待できるとしている。


木下工務店
https://www.kinoshita-koumuten.co.jp/

協和株式会社 ハイポニカ事業本部
https://kyowajpn.co.jp/hyponica/
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  1. 福田浩一
    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
  2. さとうまちこ
    さとうまちこ
    宮城県の南の方で小さな兼業農家をしています。りんご農家からお米と野菜を作る農家へ嫁いで30余年。これまで「お手伝い」気分での農業を義母の病気を機に有機農業に挑戦すべく一念発起!調理職に長く携わってきた経験と知識、薬膳アドバイザー・食育インストラクターの資格を活かして安心安全な食材を家族へ、そして消費者様に届けられるよう日々奮闘中です。
  3. 北島芙有子
    北島芙有子
    トマトが大好きなトマト農家。大学時代の農業アルバイトをきっかけに、非農家から新規就農しました。ハウス栽培の夏秋トマトをメインに、季節の野菜を栽培しています。最近はWeb関連の仕事も始め、半農半Xの生活。
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    川島礼二郎
    1973年神奈川県生まれ。筑波大学第二学群農林学類卒業。フリーラインスの編集ライターとして、テクノロジーをキーワードに、農業雑誌・自動車雑誌などで執筆・編集活動中。
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    柏木智帆
    米・食味鑑定士/お米ライター/ごはんソムリエ神奈川新聞の記者を経て、福島県の米農家と結婚。年間400種以上の米を試食しながら「お米の消費アップ」をライフワークに、執筆やイベント、講演活動など、お米の魅力を伝える活動を行っている。また、4歳の娘の食事やお弁当づくりを通して、食育にも目を向けている。プロフィール写真 ©杉山晃造
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