TOPPANデジタルら、スマート農業実現に向け東アフリカで衛星データを活用した実証実験を開始

TOPPANデジタル株式会社、OS Trading & Investments Pte. Ltd.(以下、OSTI)、サグリ株式会社の3社は、ルワンダとタンザニアの農園において、スマート農業実現に向けた実証実験を2024年4月より開始した。

衛星観測データを用いた農地の生育・土壌分析や、気象データのセンシングなど、テクノロジーを活用して現地のニーズに適合したスマート農業ソリューションの開発を目指す。

農場のイメージ
(出典:https://www.holdings.toppan.com/ja/news/2024/03/newsrelease240315_1.html)

スマート農業ソリューションの開発を目指す


TOPPANデジタルは、TOPPANグループのDX事業戦略策定やDX事業の創出・推進・研究開発、ITインフラ提供を行う企業。

OSTIはシンガポールに本社を置き、東アフリカにおける農園事業「Smart Village Project」を推進する企業。ルワンダやタンザニアにおいて、農業ビジネスや環境を改善しながら持続的な成長を目指すグリーンビジネスを展開している。

サグリは、岐阜大学発のインパクトスタートアップで、衛星データ・機械学習・区画技術を掛け合わせて農業や環境における課題解決を目指す。生育状況や土壌解析データを用いて圃場の状態を見える化する圃場管理アプリ「サグリ」を提供している。

TOPPANデジタルとOSTIは、2023年に資本業務提携を締結し、TOPPANグループのDX・SXソリューションを活用してアフリカ地域における現地ニーズや実態に即したスマート農業ソリューションの開発を進めてきた。

このような中、さらなるスマート農業ソリューションの強化のため、TOPPANデジタルとサグリが業務提携契約を締結した。これを受け、3社共同でアフリカ地域におけるスマート農業ソリューションの開発に向けた実証実験を開始する。

アフリカ地域の農園は、広大な土地で多くの作物を栽培できる一方で、インフラが整備されていないことや経済状況が不安定であるという特性がある。

今回は、余分な電源インフラの確保や高価な機器設置が不要な衛星観測データを活用し、現地農園での栽培状況に関する情報を効率的に収集・分析することで、データドリブンな農園運営の実現を目指す。

実証期間は2024年4月~2025年3月の予定で、OSTIが運営するルワンダとタンザニアの農園で実施される。

具体的には、衛星観測データを活用した農園の土壌分析(水分量、ph、CEC、NPKなど)、LPWAネットワーク技術を活用した現地農園での土壌データや気象データの収集・分析、収穫後の精製条件や加工後のコーヒー豆の品質のデータ分析が行われる。

また、これらの分析結果を踏まえた収量アップや品質向上に向けた取り組みも行うという。

【各社の役割】
TOPPANデジタル:全体コーディネート、LPWAネットワーク技術を活用したZETAソリューションの提供
OSTI:実証環境提供、農園活動記録の提供、比較テストの実施、収穫したコーヒー豆のデータ分析
サグリ:衛星観測データ活用ソリューションの提供等

3社は、2026年に東アフリカのプランテーション型農園向けスマート農業ソリューションを開発し、他の国や地域・農園に提供することを目指すとしている。


TOPPANデジタル株式会社
https://www.digital.toppan.com/ja/
OS Trading & Investments Pte. Ltd.
https://www.ostiglobal.com/
サグリ株式会社
https://sagri.tokyo/
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  1. 田牧一郎
    田牧一郎
    日本で15年間コメ作りに従事した後、アメリカに移り、精米事業、自分の名前をブランド化したコメを世界に販売。事業売却後、アメリカのコメ農家となる。同時に、種子会社・精米会社・流通業者に、生産・精米技術コンサルティングとして関わり、企業などの依頼で世界12カ国の良質米生産可能産地を訪問調査。現在は、「田牧ファームスジャパン」を設立し、直接播種やIoTを用いた稲作の実践や研究・開発を行っている。
  2. 福田浩一
    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
  3. 石坂晃
    石坂晃
    1970年生まれ。千葉大学園芸学部卒業後、福岡県の農業職公務員として野菜に関する普及指導活動や果樹に関する品種開発に従事する一方、韓国語を独学で習得(韓国語能力試験6級)。退職後、2024年3月に玄海農財通商合同会社を設立し代表に就任、日本進出を志向する韓国企業・団体のコンサルティングや韓国農業資材の輸入販売を行っている。会社HP:https://genkai-nozai.com/home/個人のブログ:https://sinkankokunogyo.blog/
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    川島礼二郎
    1973年神奈川県生まれ。筑波大学第二学群農林学類卒業。フリーラインスの編集ライターとして、テクノロジーをキーワードに、農業雑誌・自動車雑誌などで執筆・編集活動中。
  5. 堀口泰子
    堀口泰子
    栄養士、食アスリートシニアインストラクター、健康・食育シニアマスター。フィットネスクラブ専属栄養士を経て独立。アスリートの食事指導や栄養サポートの他、離乳食から介護予防まで食を通じて様々な食育活動を行う。料理家としても活動し、レシピ提案、商品開発も担う。食事は楽しく、気負わず継続できる食生活を伝えることを信条とする。スポーツの現場ではジュニアの育成、競技に向き合うための心と体の成長に注力している。HP:https://eiyoushiyakko.jimdofree.com/
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