自治体向け「害獣捕獲情報システム いのしかレコード」の利用者受付が開始

Forex Robotics株式会社は、農作物に被害を出すシカやイノシシなどの有害鳥獣の捕獲確認事務作業をデジタル化する自治体向けサービス「有害獣捕獲情報システム いのしかレコード」の全国での利用者受付を開始した。また、問い合わせのあった自治体に対して半年間無料試用のキャンペーンも実施する。


申請作業の軽労化やコスト削減が可能に


Forex Roboticsは、2015年に日本で設立されたソフトウェア会社で、「先端技術をすべての人に」をミッションに、金融やロボット、機械学習をベースとした製品・サービスの提供を行っている。

2022年度の野生鳥獣による農作物被害額は、約156億円と言われている。各市町村から認定を受けた有害鳥獣の捕獲従事者が国や自治体の報奨金を受け捕獲事業等を行っているが、紙ベースでの申請手続きの手間やコスト、捕獲従事者の高齢化、市町での集計処理の煩雑さなどの課題があるという。

これらの課題を解決するため、ForexRoboticsは2年前から栃木県と共同でデジタル化のIT実証を行ってきた。2023年度には、「いのしかレコード」をサービスとして提供するための開発を手がけ、現在は栃木県内で先行リリースされている。


「いのしかレコード」は、スマートフォンアプリとクラウドの管理システムで構成されたデジタルサービス。

アプリでは従事者向けの機能として、写真撮影などによる捕獲申請機能や出猟時の目撃記録機能、わな猟の設置・撤去記録機能を提供している。高齢者用のスマートフォン向けにデザインされており、誰でもわかりやすいインターフェイスになっているという。

管理システムは、市町の担当者向けに従事者IDの管理機能や捕獲申請のステータス管理機能、市町から県への予算申請機能、捕獲情報などの集計機能などが搭載されている。

これらの機能により、30分かかっていた従事者の申請が5分程度となり、現場での申請も行えるようになった。また、自治体においても県への予算申請をペーパレス化することで、再入力の省力化や紙資源のコスト削減に寄与するとしている。

サービスの料金は、年額13万2000円(税込)からとなっており、クラウド初期費用や年間データ保管料、クラウド使用料が含まれている。

基本料金内で行える捕獲申請処理は50件までで、追加50件につき別途4万4000円(税込)がかかる。ただし、従事者用スマートフォンアプリ(Android版・iPhone版)の利用料は無料だ。

代表取締役社長 髙橋一行氏のコメント
デスクワークと違い、フィールドでのデジタル化はさまざまな課題があります。携帯電波の届かない場所や、高齢の方にも使っていただけるように2年間工夫を重ねてきました。DXの意識のある自治体と一体となってサービスを作っていきたい。


いのしかレコード
https://www.forexrobotics.jp/inoshika
Forex Robotics株式会社 
https://www.forexrobotics.jp/
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  1. 福田浩一
    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
  2. 北島芙有子
    北島芙有子
    トマトが大好きなトマト農家。大学時代の農業アルバイトをきっかけに、非農家から新規就農しました。ハウス栽培の夏秋トマトをメインに、季節の野菜を栽培しています。最近はWeb関連の仕事も始め、半農半Xの生活。
  3. 柏木智帆
    柏木智帆
    米・食味鑑定士/お米ライター/ごはんソムリエ神奈川新聞の記者を経て、福島県の米農家と結婚。年間400種以上の米を試食しながら「お米の消費アップ」をライフワークに、執筆やイベント、講演活動など、お米の魅力を伝える活動を行っている。また、4歳の娘の食事やお弁当づくりを通して、食育にも目を向けている。プロフィール写真 ©杉山晃造
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    鈴木かゆ
    1993年生まれ、お粥研究家。「おかゆ好き?嫌い?」の問いを「どのおかゆが好き?」に変えるべく活動中。お粥の研究サイト「おかゆワールド.com」運営。各種SNS、メディアにてお粥レシピ/レポ/歴史/文化などを発信中。JAPAN MENSA会員。
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    田牧一郎
    日本で15年間コメ作りに従事した後、アメリカに移り、精米事業、自分の名前をブランド化したコメを世界に販売。事業売却後、アメリカのコメ農家となる。同時に、種子会社・精米会社・流通業者に、生産・精米技術コンサルティングとして関わり、企業などの依頼で世界12カ国の良質米生産可能産地を訪問調査。現在は、「田牧ファームスジャパン」を設立し、直接播種やIoTを用いた稲作の実践や研究・開発を行っている。
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