マゼックス、54万円からの低価格・高性能農業用ドローン「飛助mini」を発売

農林水産航空協会が認定するドローン機種を製造する株式会社マゼックスは、1つのバッテリーで既存製品の2倍の面積を散布できる農薬散布用ドローン「飛助mini」を発売した。価格は54万円(税抜き)から。

「飛助mini」は、軽量かつ低燃費な農業用ドローンで散布性にも優れた国産品という。日本の国土面積の内、およそ7割を占めるとされる中山間地域での活用が見込まれている。

農業用ドローン「飛助mini」
マゼックスは、農林水産航空協会認定の国内ドローンメーカー。農業用など産業向けのドローンを開発する企業で、ドローンの製造・販売ほかメンテンス等を展開する。

ドローン開発は主に海外企業が中心となって進めている現状から、日本の農業現場で使用されるドローンの多くが海外企業が開発した製品となっている。

しかし、海外企業が開発した農業用ドローンは、国土の約7割を中山間地域が占める日本農業において決して最適なものとはいえず、以前から日本の農業に適した実用性の高い国産ドローンの開発が望まれている。

日本の農業環境に適した純国産の農業用ドローン


「飛助mini」は、日本の農業現場に適した実用性の高い農業用ドローン。特徴は以下の6つだ。

1.バッテリーひとつで既存製品の2倍の面積を飛行。低燃費・低価格も実現

最新の制御装置による安全性に優れた性能と低価格を実現。多種多様な作物を生産する中山間地農業に適している。


2.軽量化を実現

総重量は6kg。4本のアームを折りたためば車の助手席にも置けるコンパクトな設計になっている。


3.コンパクトながらも高い散布性を実現

ドローンは、機体重量を軽くすればするほど、 ダウンウォッシュ(降下気流)が弱くなり、 風の影響を受けやすい特性があるという。「飛助mini」は、フレーム構造を一般的な「X」の形状ではなく、 小型でも十分なダウンウォッシュを確保できる「十」構造へと改良されている。


4.散布面積の向上を実現

薬液タンクの容量は5Lだが、1フライトで約60aの圃場をカバー。発売に先立ち行われた試験では1回のフライトで62.5aまで散布できたそうだ。



5.農業現場の声を反映した機能を搭載


・タフで信頼できる推進部品により、 長時間フライト可能でメンテナンス性も向上

動力になるブラスレスモーターやESCは、 農薬や水、 ほこりなどの過酷な労働条件でも最高のパフォーマンスを発揮できるよう防水防塵加工や内部冷却機構が施されている。
高強度炭素繊維で製造された24inchプロペラは、 薬剤を積載した状態でも消費電力を削減できるため、長時間のフライトも可能。


・複数の散布装置を簡単に交換できる。
液剤農薬のみならず粒剤散布装置や肥料・豆粒散布装置も現場ですぐに交換できる。


・農林水産航空協会の認定機である「飛助MG」と同じノズルを使用
農林水産省航空協会の認定機で既存製品である「飛助MG」同じノズルを使用しているため、1分間の吐出量に対して適切な角度と粒形で散布できる。ノズルの交換ほかアフターパーツにも優れた対応を持つ。


・薬剤投入口が大きい
投入口は残留農薬を削減できるよう円錐形に模られているほか、大型ストレーナーも標準で付属されるため不純物の除去や清掃も容易な構造になっている。


・機体のステータスを一目で確認
キャノピーの背面には一目で機体の状態が確認できるようLEDモジュールが備えられている。
横面からの視認性が向上しているため準備作業の確認も行いやすい。


6.中山間地で便利なモードを搭載(ベーシックタイプを除く)


自動飛行モード
タブレットやモニターを使用することなく直感のみで自動散布飛行が可能。全方向移動や散布装置のON・OFFもすべて自動で行える。散布装置は前後の移動時のみONになる仕組みになっている。


・直進アシストモード
初心者でも散布できるようGPSで経路を補正しながら飛行できる。
速度は時速15kmで緑色に印された線だけを散布する仕組みとなっており、横移動や散布装置のON・OFFも自動で行えるため、作業者が変わっても正確な散布幅を継続できる。


・優れた頭脳
液体が揺れても瞬時の判断で安定飛行を継続できるよう最新の制御装置を備える。 仮にセンサーに不具合が生じても2つの気圧計とコンパスがフライトを維持する。
高度・位置・スピードは自動制御により一定に保たれ、 送信機から手を離せば自動でブレーキをかけてホバリングを開始する。


マゼックスでは、ドローンの製造・販売のほか、国土交通省への申請や許可書の発行手続き、機体登録、報告作業等を行う代行申請の無料サービスも展開しているという。
ドローンの製造・販売およびサポートを通じて、今後も農薬散布ドローンの「本質」である散布性能にこだわり、進化と発展を追求していきたい考えだ。

「飛助mini」スペック概要


【機体】
・対角モータベース900mm
・寸法(プロペラ含まず)990×990×548(広げた状態)515×585×548(折りたたんだ状態)
・モーター外径70mm
・プロペラ24inch
・LED 高輝LED 前(赤) 後(緑) 横(白)
・バッテリーサイズ165×120×55
・バッテリー重量2.4kg
・バッテリー容量178wh 22.2V 35C Li-Po ×2

【液剤散布装置】
・タンク容量5L
・動作ペイロード5kg
・ノズルチップ(レヒラー社製)ST ボタン落ち防止弁付き
・タンク材質ポリエチレン
・ノズル数2個
・散布幅4m
・最大散布量1L/分
・ポンプ最大流量4L/分
・1回散布最大面積62.5a

【飛行パラメータ】
・総重量(バッテリー含まず)6.2kg
・総重量(バッテリー含む)8.6kg
・最大離陸重量13.6kg
・最大ホバリング時間18分
・最大搭載重量5kg
・最大使用風速8m/s
・最大飛行速度30km/h
・最大到達高度50m
・最大飛行距離300m
・電波到達距離1000m
・使用可能温度5~40℃

【送信機】
・送信機機種ベーシック FUTABA10J/ アドバンス・プロFUTABA12K
・動作周波数2.4GHz
・最大伝送距離1000m

【受信機】
・R3008SBモニター128X64ドット
・充電器272×202×118.6mm
・重量4.88kg
・入力電源100ー240V
・総出力電力1080W
・最大充電電流20A
・充電時間20~40分


株式会社マゼックス
https://mazex.jp/
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  1. 田牧一郎
    田牧一郎
    日本で15年間コメ作りに従事した後、アメリカに移り、精米事業、自分の名前をブランド化したコメを世界に販売。事業売却後、アメリカのコメ農家となる。同時に、種子会社・精米会社・流通業者に、生産・精米技術コンサルティングとして関わり、企業などの依頼で世界12カ国の良質米生産可能産地を訪問調査。現在は、「田牧ファームスジャパン」を設立し、直接播種やIoTを用いた稲作の実践や研究・開発を行っている。
  2. 福田浩一
    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
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    石坂晃
    1970年生まれ。千葉大学園芸学部卒業後、九州某県の農業職公務員として野菜に関する普及指導活動や果樹に関する品種開発に従事する一方で、韓国語を独学で習得する(韓国語能力試験6級取得)。2023年に独立し、日本進出を志向する韓国企業・団体のコンサル等を行う一方、自身も韓国農業資材を輸入するビジネスを準備中。HP:https://sinkankokunogyo.blog/
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    川島礼二郎
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    堀口泰子
    栄養士、食アスリートシニアインストラクター、健康・食育シニアマスター。フィットネスクラブ専属栄養士を経て独立。アスリートの食事指導や栄養サポートの他、離乳食から介護予防まで食を通じて様々な食育活動を行う。料理家としても活動し、レシピ提案、商品開発も担う。食事は楽しく、気負わず継続できる食生活を伝えることを信条とする。スポーツの現場ではジュニアの育成、競技に向き合うための心と体の成長に注力している。HP:https://eiyoushiyakko.jimdofree.com/
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