広島産キャベツを100ヘクタール栽培する、スマート農業実証実験がスタート

2019年11月25日に、広島県および県の農業関係機関が「キャベツの大規模経営モデル」に位置付けている広島県庄原市内の農場で、『広島産キャベツの100ヘクタール栽培』を目指した、スマート農業の実証実験が行われた。


プロジェクト名は「広島型キャベツ100ha経営スマート農業化プロジェクト」

広島産キャベツの「100ヘクタール栽培」を目指して

今回の実験は、広島県の名物である「広島風お好み焼き」に欠かせない食材であるキャベツの100ヘクタール栽培を目指し実施したもの。当日は県立広島大学の三苫好治(みとまよしはる)教授が代表を務め、庄原商工会議所が進行管理を担当した。

農業生産法人である株式会社Vegetaが保有する75ヘクタールのキャベツ農場が使用され、ドローンによる農薬散布のほか、機械化が難しいとされてきたキャベツの自動収穫機など、AIやIoTを駆使したさまざまな実証実験が行われた。

さらに、スマート農業に使う機器や、システムを解説するパネル等も展示されたほか、農場で生産したキャベツを使った「焼きそば」や、イノシシの肉を使った「猪汁」など
を販売。農場近くの集会所では、キャベツの機械化栽培やスマート農業を取り巻く環境など、実証内容に関する説明会も開催された。

スマート農業で広島県産キャベツの生産拡大を目指す

広島県では、スマート農業の推進による農産物の生産量拡大を目指し「農林水産業アクションプログラム」を作成。重点品目の一つにキャベツを掲げている。

広島県は、4分の3が中山間地域で占めており,狭小な農場が多数点在している。標高差が大きい「地の利」を活用したキャベツの安定供給を目指しており、他の生産地の閑散期に出荷することが可能になれば、飛躍的な供給量の拡大に期待できるそうだ。

さらに、同県のソウルフード・広島風お好み焼きで親しまれているキャベツは、県内の需要に対し、地場産の流通量が圧倒的に不足している。実験に使用された株式会社Vegetaのキャベツ農場は、法人化から約5年で中国地方最大規模の農場に成長しており、広島県では2020年を目標に、県内需要の総量にあたる約4万トンの内、約2万2000トンの供給を目指す考えを示している。

<参考リンク>

株式会社Vegeta facebookページ
公立大学法人 県立広島大学
庄原商工会議所
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  1. 福田浩一
    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
  2. さとうまちこ
    さとうまちこ
    宮城県の南の方で小さな兼業農家をしています。りんご農家からお米と野菜を作る農家へ嫁いで30余年。これまで「お手伝い」気分での農業を義母の病気を機に有機農業に挑戦すべく一念発起!調理職に長く携わってきた経験と知識、薬膳アドバイザー・食育インストラクターの資格を活かして安心安全な食材を家族へ、そして消費者様に届けられるよう日々奮闘中です。
  3. 北島芙有子
    北島芙有子
    トマトが大好きなトマト農家。大学時代の農業アルバイトをきっかけに、非農家から新規就農しました。ハウス栽培の夏秋トマトをメインに、季節の野菜を栽培しています。最近はWeb関連の仕事も始め、半農半Xの生活。
  4. 川島礼二郎
    川島礼二郎
    1973年神奈川県生まれ。筑波大学第二学群農林学類卒業。フリーラインスの編集ライターとして、テクノロジーをキーワードに、農業雑誌・自動車雑誌などで執筆・編集活動中。
  5. 柏木智帆
    柏木智帆
    米・食味鑑定士/お米ライター/ごはんソムリエ神奈川新聞の記者を経て、福島県の米農家と結婚。年間400種以上の米を試食しながら「お米の消費アップ」をライフワークに、執筆やイベント、講演活動など、お米の魅力を伝える活動を行っている。また、4歳の娘の食事やお弁当づくりを通して、食育にも目を向けている。プロフィール写真 ©杉山晃造
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