農家数は10年で約55万件減少、大規模化も進む ~5年に1度の統計「農林業センサス2025」概数値が公表
農林水産省は、5年ごとに実施している農林業の実態を明らかにするための統計調査「農林業センサス」の概数値を2025年11月28日に公表した。農業を営む「農業経営体」のうち、個人経営体(農家)は5年前よりも24万8000件(23.9%)減少した一方、団体経営体(会社、農事組合法人など)は1000件(2.9%)の増加となった。
「農林業センサス」は1950年より5年ごとに実施されている基幹統計調査。農林業の生産・就業構造や、農山村地域の現状、農山村の実態を明らかにすることを目的としている。
今回の調査は2021年~2025年にかけての推移。新型コロナウイルスによる社会への影響、ウクライナ紛争をきっかけにした農業資材の輸入価格の問題、さらに国内では令和の米騒動による米不足と価格高騰など、さまざまな出来事が起きた5年間を踏まえたデータとなっている点に注目したい。
農業を営む「農業経営体」全体は2025年で82万8000件となり、5年前から24万7000経営体、10年前からは実に54万9000経営体も減少している。家族経営や中小規模の農家への経済的打撃が大きく、高齢化、人手不足、収益性の悪化などにより経営が困難になった経営体が多かったと思われる。
一方、団体経営体は5年ごとに1000経営体ずつ増加しており、特に法人については10年間で5000経営体も増加。会社法人の増加が顕著に表れた。さまざまな形態で農業に携わる企業が増えているのに加え、法人化する農家の増加もこの数字の中に含まれている。
農家の減少に伴い、これまで栽培されてきた耕地の行方も気になるところだが、ひとつの経営体あたりの耕地面積は3.7haと5年前よりも19.4%も増加している。担い手となっている現役農家・農業法人の経営面積の拡大は、農家の大規模化を意味する。
そのうち、日本最大の耕地面積を誇る北海道を見てみると、100ha未満の経営体は軒並み減少しているが、100ha以上の経営体はむしろ7.7%も増加しており、大規模法人がさらに大きくなっていることを示唆している。
また、都府県を見てみても、10ha以上の経営体がかなり増加しており、100ha以上の経営体は45.8%もの増加率に。急速に大規模化と農地の集約化が進んできたとも言える。
同様に、農産物販売金額規模別でみてみると、大規模化に伴って年収3000万円以上の層の経営体は増加している。販売していない層が最も減少しており、平均年収と言われる約400万円台(100万円~500万円)の層は19.9%もの現象と、売上が少なめな経営体ほど厳しい状況で廃業を選んできたことがうかがえる。
気象状況、市況、農作業履歴、生育状況の情報といったデータを活用した農業緒行っているのは33万1000経営体と実に4割の経営体が何らかのデータ活用に取り組んでいると回答している。
さらに、団体経営体に限定すると63%にもなり、データの大小などはあるものの、経験と勘に頼る農業から、データを活用した農業へと変化しつつあることが見て取れる。
なお、このデータは概数値であり、農林水産省の公式ページにて、さらに詳細な情報が発表される予定だ。
「2025年農林業センサス結果の概要(概数値)」の公表について
https://www.maff.go.jp/j/press/tokei/census/251128.html
農林業センサスの概要
https://www.maff.go.jp/j/tokei/kouhyou/noucen/gaiyou/index.html
「農林業センサス」は1950年より5年ごとに実施されている基幹統計調査。農林業の生産・就業構造や、農山村地域の現状、農山村の実態を明らかにすることを目的としている。
今回の調査は2021年~2025年にかけての推移。新型コロナウイルスによる社会への影響、ウクライナ紛争をきっかけにした農業資材の輸入価格の問題、さらに国内では令和の米騒動による米不足と価格高騰など、さまざまな出来事が起きた5年間を踏まえたデータとなっている点に注目したい。
企業の農業参入が加速
農業を営む「農業経営体」全体は2025年で82万8000件となり、5年前から24万7000経営体、10年前からは実に54万9000経営体も減少している。家族経営や中小規模の農家への経済的打撃が大きく、高齢化、人手不足、収益性の悪化などにより経営が困難になった経営体が多かったと思われる。
一方、団体経営体は5年ごとに1000経営体ずつ増加しており、特に法人については10年間で5000経営体も増加。会社法人の増加が顕著に表れた。さまざまな形態で農業に携わる企業が増えているのに加え、法人化する農家の増加もこの数字の中に含まれている。
20ha以上の大規模農家・法人が5割を超える
農家の減少に伴い、これまで栽培されてきた耕地の行方も気になるところだが、ひとつの経営体あたりの耕地面積は3.7haと5年前よりも19.4%も増加している。担い手となっている現役農家・農業法人の経営面積の拡大は、農家の大規模化を意味する。
そのうち、日本最大の耕地面積を誇る北海道を見てみると、100ha未満の経営体は軒並み減少しているが、100ha以上の経営体はむしろ7.7%も増加しており、大規模法人がさらに大きくなっていることを示唆している。
また、都府県を見てみても、10ha以上の経営体がかなり増加しており、100ha以上の経営体は45.8%もの増加率に。急速に大規模化と農地の集約化が進んできたとも言える。
同様に、農産物販売金額規模別でみてみると、大規模化に伴って年収3000万円以上の層の経営体は増加している。販売していない層が最も減少しており、平均年収と言われる約400万円台(100万円~500万円)の層は19.9%もの現象と、売上が少なめな経営体ほど厳しい状況で廃業を選んできたことがうかがえる。
スマート農業の導入割合は4割程度
気象状況、市況、農作業履歴、生育状況の情報といったデータを活用した農業緒行っているのは33万1000経営体と実に4割の経営体が何らかのデータ活用に取り組んでいると回答している。
さらに、団体経営体に限定すると63%にもなり、データの大小などはあるものの、経験と勘に頼る農業から、データを活用した農業へと変化しつつあることが見て取れる。
なお、このデータは概数値であり、農林水産省の公式ページにて、さらに詳細な情報が発表される予定だ。
「2025年農林業センサス結果の概要(概数値)」の公表について
https://www.maff.go.jp/j/press/tokei/census/251128.html
農林業センサスの概要
https://www.maff.go.jp/j/tokei/kouhyou/noucen/gaiyou/index.html
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