規格外品でどう儲ける? 「加工・訳あり販売・直販」で利益を残す方法

収穫した農産物の中には、味や品質に問題がなくても、大きさや形、色などの理由で出荷規格から外れるものがあります。これを「少しでも売上に変えたい」と考えるのは自然ですが、規格外品は売れればそのまま利益になるわけではありません。

袋詰め、箱詰め、販売手数料、送料、問い合わせ対応。加工するなら容器やラベル、委託加工費も加わります。大切なのは「いくらで売れたか」ではなく、追加の手間とコストを差し引いて、いくら残ったかです。



まず「規格外」を3つに分ける


最初にしたいのは、規格外品を一括りにしないことです。例えば、

  • 形やサイズだけが理由で、生鮮のまま売れるもの
  • 品質・安全性を確認した上で、生鮮販売ではなく加工に回せるもの
  • 品質や安全面から販売に回さないもの

と分けるだけでも、出口は見えやすくなります。

さらに重要なのが「いつ、どれくらい出るか」です。毎週少量出るのか、収穫ピークに一気に増えるのかでは、向く販路が違います。規格外品の活用は、発生量だけでなく「発生パターン」まで見て考えるのがポイントです。


訳あり販売は「値下げ」より「説明」で売る


形やサイズが主な理由なら、まず検討しやすいのが訳あり販売です。ただし、「規格外だから安くする」だけでは、通常品との価格差が必要以上に広がることがあります。

伝えたいのは、安さよりも「何が通常品と違うのか」です。

  • サイズ混合
  • 曲がりや色むらがある
  • 家庭用として味や品質には問題がない

といった違いを具体的に示せば、値引き幅だけで選ばれる商品にしなくて済みます。

もう一つのポイントは、規格外品のための選別を増やしすぎないことです。せっかく販売できても、細かな再選別や袋詰めに時間がかかれば手取りは減ります。「どこまで整えたら商品にするか」を先に決めておくと、作業を増やしすぎずに済みます。



直販は「小売の仕事を引き受ける」と考える


ECや農園販売では、自分で価格を決めやすく、生産者自身が規格外になった理由を説明できます。一方で、受注、在庫管理、梱包、発送、問い合わせ対応といった小売の仕事も農家側に移ります。

そのため、販売単価だけで直販の有利・不利を判断するのは避けたいところです。比較用の簡易な指標として、次の2つを記録すると実態が見えやすくなります。

  • 売上-資材費-手数料-送料など=「おおよその手残り」
  • おおよその手残り÷追加作業時間=「1時間あたりの手残り」

忙しい収穫期ほど、後者が重要です。高く売れていても、発送対応で本来の農作業を圧迫するなら、数量限定や予約販売にする方が、経営全体では効率的な場合があります。


加工は「廃棄リスク」を「在庫リスク」に変える


ジュース、ジャム、ソース、乾燥品などに加工すれば、生鮮より販売期間を延ばせる可能性があります。農林水産省でも、「農産加工」「農産物直売所」を農業生産関連事業として調査しています。

ただし、加工は単純な高付加価値化ではありません。日持ちする商品に変えた結果、今度は売れ残った加工品を抱えることがあります。つまり、加工は廃棄リスクをなくすというより、在庫リスクへ変える面もあるということです。

だからこそ、設備や商品を先に考えるのではなく、

  • 誰に売るのか
  • いくらなら買ってもらえるのか
  • 何個なら売り切れそうか

を先に考えます。委託加工で小ロットから試し、売れ方を見ながら数量を増やすのも選択肢です。

なお、食品加工では内容によって営業許可や営業届出が関係します。また、容器包装された加工食品には食品表示のルールがあります。商品を作ってからではなく、計画段階で管轄の保健所や食品表示の相談窓口などに確認しておきましょう。



「売らない規格」も決める


規格外品を利益につなげるというと、すべてを商品化したくなります。しかし、販売のための手間が大きいものまで無理に売る必要はありません。

まずは「1品目×1規格×1販路」で試し、販売単価だけでなく、追加コスト、作業時間、売れ残りまで記録します。その結果から、訳あり販売に回す規格、加工する規格、販売には回さない規格を決めていけば、翌年の選別そのものもシンプルになります。

規格外品活用のゴールは、廃棄をゼロにすることではありません。経営全体の作業を増やしすぎず、これまで価値になっていなかった農産物から、無理なく利益を残せる仕組みをつくることです。


参考資料
農林水産省「青果物の出荷規格を見直してみませんか?」
農林水産省「6次産業化総合調査」
厚生労働省「営業規制(営業許可、営業届出)に関する情報」
消費者庁「早わかり食品表示ガイド(事業者向け)」

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  1. 福田浩一
    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
  2. 北島芙有子
    北島芙有子
    トマトが大好きなトマト農家。大学時代の農業アルバイトをきっかけに、非農家から新規就農しました。ハウス栽培の夏秋トマトをメインに、季節の野菜を栽培しています。最近はWeb関連の仕事も始め、半農半Xの生活。
  3. 柏木智帆
    柏木智帆
    米・食味鑑定士/お米ライター/ごはんソムリエ神奈川新聞の記者を経て、福島県の米農家と結婚。年間400種以上の米を試食しながら「お米の消費アップ」をライフワークに、執筆やイベント、講演活動など、お米の魅力を伝える活動を行っている。また、4歳の娘の食事やお弁当づくりを通して、食育にも目を向けている。プロフィール写真 ©杉山晃造
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    鈴木かゆ
    1993年生まれ、お粥研究家。「おかゆ好き?嫌い?」の問いを「どのおかゆが好き?」に変えるべく活動中。お粥の研究サイト「おかゆワールド.com」運営。各種SNS、メディアにてお粥レシピ/レポ/歴史/文化などを発信中。JAPAN MENSA会員。
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    田牧一郎
    日本で15年間コメ作りに従事した後、アメリカに移り、精米事業、自分の名前をブランド化したコメを世界に販売。事業売却後、アメリカのコメ農家となる。同時に、種子会社・精米会社・流通業者に、生産・精米技術コンサルティングとして関わり、企業などの依頼で世界12カ国の良質米生産可能産地を訪問調査。現在は、「田牧ファームスジャパン」を設立し、直接播種やIoTを用いた稲作の実践や研究・開発を行っている。