JAXA認定ベンチャー天地人と神明ホールディングスが業務提携 「宇宙ビッグデータ米」の開発へ

宇宙航空研究開発機構(JAXA)認定の宇宙ベンチャー企業、株式会社天地人と、米卸で国内大手の株式会社神明ホールディングスは、宇宙技術を活用した農業の確立を目的に、2019年12月20日に業務提携契約を締結した。天地人の衛星データによる土地評価エンジンを活用して収量を見込める圃場での米栽培を進め、神明ホールディングスの販売網を用いて展開する。




業務提携の背景


天地人は、内閣府主催の宇宙ビジネスアイデアコンテスト、S-Booster 2018での受賞をきっかけに、JAXA職員と農業IoT分野に知見のある開発者が設立した宇宙ベンチャーだ。
これまで地球観測衛星のデータを活用した独自開発の土地評価エンジン「天地人コンパス」を使って、目に見えない気候風土の情報を解析し、果物をより美味しく育てより収量も見込める新たな場所(ポテンシャル名産地)を発掘するプロジェクトなどを行ってきた。

一方、神明ホールディングスは「私たちはお米を通じて、素晴らしい日本の水田、文化を守り、おいしさと幸せを創造して、人々の明るい食生活に貢献します。」という企業理念のもと、基幹事業である米穀事業に加え、無菌包装米飯・炊飯米等の加工食品の製造販売、水産品や青果流通への参入、外食事業の展開など、食に関わる多彩なビジネスを展開している。

天地人と神明ホールディングスは、共通意識として米が足りなくなるという危機感を持っている。日本の農業は生産者の高齢化、人口減少にともない今後の供給力への懸念が叫ばれているが、農林水産省が行った調査では、農業就業人口は2018年に175万人。これは2017年より6万人減っていて、1976年と比べると573万人減っていることになり、この減少は今後も続いていくことが予想されている。

そこで、天地人と神明ホールディングスは、将来的なコメの生産増につながる農業施策として、宇宙の技術を活用した農業を確立するプロジェクトを立ち上げた。
衛星データで収穫量が増える圃場やより美味しく育つ品種などを見つける、年々増加している耕作放棄地の有効活用、品種に応じて最適な気象条件の場所や自然災害が少ない場所を見つける、といったプロジェクトを行う予定だ。

宇宙ビッグデータ米の栽培・収穫

過去から現在に至るまで膨大に蓄積された衛星データを「天地人コンパス」で解析し、収穫量が増える圃場や、より美味しく育つ可能性のある圃場を見つけ、米農家と協力し米の栽培を行う。
この米を「宇宙ビッグデータ米」と名付け、2020年9月頃の収穫を予定している。収穫後は神明ホールディングス傘下の飲食店で提供する考えだ。

天地人は、JAXA認定の宇宙ベンチャーであり、天地人を介して宇宙技術をより身近なものにし、もっと宇宙を利用できるような社会の実現、宇宙が持つ魅力を日本の農業へと転換していくことも目指す。
神明ホールディングスは、スマート農業で効率化した大規模水稲生産を実現する「デジタルアグリ」や、2020年4月からはアグリビジネススクール「お米未来塾」の開校も予定しており、日本の農業の未来について真剣に取り組んでいる。

特許技術の土地評価エンジン「天地人コンパス」

宇宙では絶えず膨大な地球のデータ集めているが、「天地人コンパス」はそのビッグデータの中をナビゲートしたいという思いが込められている。
今後、ビジネスにおいて最適な土地を宇宙から見つけることを提案していく。

天地人の土地評価エンジン「天地人コンパス」デモデータ


<参考URL>
株式会社神明ホールディングス
株式会社天地人
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  1. 田牧一郎
    田牧一郎
    日本で15年間コメ作りに従事した後、アメリカに移り、精米事業、自分の名前をブランド化したコメを世界に販売。事業売却後、アメリカのコメ農家となる。同時に、種子会社・精米会社・流通業者に、生産・精米技術コンサルティングとして関わり、企業などの依頼で世界12カ国の良質米生産可能産地を訪問調査。現在は、「田牧ファームスジャパン」を設立し、直接播種やIoTを用いた稲作の実践や研究・開発を行っている。
  2. 福田浩一
    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
  3. 石坂晃
    石坂晃
    1970年生まれ。千葉大学園芸学部卒業後、福岡県の農業職公務員として野菜に関する普及指導活動や果樹に関する品種開発に従事する一方、韓国語を独学で習得(韓国語能力試験6級)。退職後、2024年3月に玄海農財通商合同会社を設立し代表に就任、日本進出を志向する韓国企業・団体のコンサルティングや韓国農業資材の輸入販売を行っている。会社HP:https://genkai-nozai.com/home/個人のブログ:https://sinkankokunogyo.blog/
  4. 川島礼二郎
    川島礼二郎
    1973年神奈川県生まれ。筑波大学第二学群農林学類卒業。フリーラインスの編集ライターとして、テクノロジーをキーワードに、農業雑誌・自動車雑誌などで執筆・編集活動中。
  5. 堀口泰子
    堀口泰子
    栄養士、食アスリートシニアインストラクター、健康・食育シニアマスター。フィットネスクラブ専属栄養士を経て独立。アスリートの食事指導や栄養サポートの他、離乳食から介護予防まで食を通じて様々な食育活動を行う。料理家としても活動し、レシピ提案、商品開発も担う。食事は楽しく、気負わず継続できる食生活を伝えることを信条とする。スポーツの現場ではジュニアの育成、競技に向き合うための心と体の成長に注力している。HP:https://eiyoushiyakko.jimdofree.com/
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