岡山大学、ウェアラブルカメラで田植え作業を記録 地域農業の暗黙知を可視化

国立大学法人岡山大学と岡山理科大学の研究者で構成するプロジェクトチームは、岡山県久米郡久米南町で行われた田植え作業の模様をウェアラブルカメラで収録したと発表した。

この取り組みは、トヨタ財団の助成事業「地域若手実践者・学術研究者の共創による人口減少地域を支える新たな事業体モデル構築」の一環として実施したもの。同プロジェクトでは、人口減少や高齢化が進む中山間地域において、地域資源管理や農業生産、生活基盤の維持に必要な作業・知識・担い手構造を把握し、それらを支える新たな事業体モデルの構築を目指している。


地域農業で蓄積されてきた実践知を動画収録


田植え作業は、地域農業を支える基礎的な営みである一方、作業の段取り、機械操作、圃場の状態に応じた判断、複数人での役割分担など、経験に基づく多くの実践知によって成り立っている。こうした知識や技術は、口頭や紙の資料だけでは十分に伝えにくく、担い手の減少が進む地域においては、次世代への継承が重要な課題となっているという。

今回の動画収録は、作業者の視点や身体の動き、周囲とのやり取りを映像として記録することで、地域農業に蓄積されてきた暗黙知を可視化することを目的としている。

今後、研究者チームでは、前回実施したため池・水路管理活動の記録とあわせて、地域資源管理や農作業のデジタルアーカイブ化、作業マニュアル化、担い手育成への活用可能性について検討を進める。

田植え機による作業を動画収録

作業者視点を記録

当日は、岡山大学学術研究院共通教育・グローバル領域の大仲克俊准教授、学術研究院環境生命自然科学学域の駄田井久准教授が参加し、地域の協力を得ながら、田植機を用いた作業の様子を収録した。

作業者は、視線に近い映像を記録できるウェアラブルカメラに加え、背面に装着した360度カメラ等を活用し、苗の運搬、田植機への苗の積み込み、操作、圃場内での動線、周囲の確認、作業中の判断などを多角的に記録。収録した映像データは、今後、岡山理科大において解析し、作業者の動きや視線、周囲との関係性、作業工程の特徴などを把握するために活用される。

田植えの模様

久米南町の位置

今回の取り組みは、地域課題の現場に大学の知を接続し、持続可能な地域社会の実現に向けた実践知の継承と新たな担い手形成を進めるためのもの。岡山大学が地域中核・特色ある研究大学強化促進事業(J-PEAKS)で掲げる、「地域と地球の未来を共創し、世界の革新に寄与する研究大学」の実現にも資する活動だという。

今後も同学は、久米南町や地域関係者と連携しながら、人口減少地域における持続可能な農業・地域資源管理のあり方と、それを支える新たな担い手・事業体モデルの構築に取り組んでいく。


国立大学法人岡山大学
https://www.okayama-u.ac.jp/
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  1. 福田浩一
    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
  2. 北島芙有子
    北島芙有子
    トマトが大好きなトマト農家。大学時代の農業アルバイトをきっかけに、非農家から新規就農しました。ハウス栽培の夏秋トマトをメインに、季節の野菜を栽培しています。最近はWeb関連の仕事も始め、半農半Xの生活。
  3. 柏木智帆
    柏木智帆
    米・食味鑑定士/お米ライター/ごはんソムリエ神奈川新聞の記者を経て、福島県の米農家と結婚。年間400種以上の米を試食しながら「お米の消費アップ」をライフワークに、執筆やイベント、講演活動など、お米の魅力を伝える活動を行っている。また、4歳の娘の食事やお弁当づくりを通して、食育にも目を向けている。プロフィール写真 ©杉山晃造
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    鈴木かゆ
    1993年生まれ、お粥研究家。「おかゆ好き?嫌い?」の問いを「どのおかゆが好き?」に変えるべく活動中。お粥の研究サイト「おかゆワールド.com」運営。各種SNS、メディアにてお粥レシピ/レポ/歴史/文化などを発信中。JAPAN MENSA会員。
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    田牧一郎
    日本で15年間コメ作りに従事した後、アメリカに移り、精米事業、自分の名前をブランド化したコメを世界に販売。事業売却後、アメリカのコメ農家となる。同時に、種子会社・精米会社・流通業者に、生産・精米技術コンサルティングとして関わり、企業などの依頼で世界12カ国の良質米生産可能産地を訪問調査。現在は、「田牧ファームスジャパン」を設立し、直接播種やIoTを用いた稲作の実践や研究・開発を行っている。
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