ドローンと圃場監視システムを活用したジャンボタニシ対策実験を実施

ドローンを活用したソリューションを提供するTEAD株式会社は、農業用ドローンとリアルタイム圃場監視システムを用いて、水田に繁殖するスクミリンゴガイ(ジャンボタニシ)を防除する実験を神奈川県伊勢原市で実施した。


この実験は、神奈川県が推進する「ドローン前提社会の実現に向けたモデル事業」のひとつ「スクミリンゴガイ被害対策ドローン粒剤散布実験と防除散布効果の経過観察」テーマに行われたものである。

スクミリンゴガイ(ジャンボタニシ)とは


スクミリンゴガイ(ジャンボタニシ)は、水田や用水路に繁殖する東南アジア由来の外来生物である。

田植え直後の柔らかい稲を好んで食すことから、環境省の要注意外来生物にも指定されているが、寒冷地では生息できないため、冬の時期になるとそのほとんどが死滅していると考えられてきた。

しかし、近年は温暖化の影響もあり、成長した個体が越冬してしまうケースが急増。その生息域は、沖縄から関東全域まで広がっている。

総合的なスクミリンゴガイ対策を実施


実験では、神奈川県農業技術センター助言の下、スクミリンゴガイの被害を受けた水田を含む約2ヘクタールの隣接する圃場を対象に、農業用ドローンを使用した防除剤の広域散布とリアルタイム圃場監視システムを使用した圃場管理の2つを実施。

その結果、今シーズンはスクミリンゴガイによる被害を最小限に抑えることに成功したほか、稲の生育状況のリアルタイム確認など、スクミリンゴガイ対策以外の有益な成果が得られたそうだ。

実験の内容は以下の通り。

農業用ドローンによる防除剤の広域散布


スクミリンゴガイは、圃場から圃場へ移動しながら繁殖するため、広域で対策を行う必要があったという。
実験では、粒剤対応型の農薬散布ドローン「TA408」を使用して、スクミリンゴガイの防除に効果がある防除剤を広域に散布した。

農業用ドローンに防除剤を入れる様子

リアルタイム圃場監視システムによる圃場管理


スクミリンゴガイは、用水路など水田の外からも侵入してくるため、スクミリンゴガイの移動を制限する浅水管理が必要だったという。
実験では、インターネットを利用して圃場の状況を遠隔から確認できる「リアルタイム圃場監視システム」を設置して、水田の水位や稲の被害状況を監視した。

実験に使用されたリアルタイム圃場監視システム
同社は、今回の実験で得た成果を基に、スクミリンゴガイ(ジャンボタニシ)の被害を軽減する効果的な対策方法を確立したい考えだ。


TEAD株式会社
https://www.tead.co.jp/
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  1. 福田浩一
    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
  2. さとうまちこ
    さとうまちこ
    宮城県の南の方で小さな兼業農家をしています。りんご農家からお米と野菜を作る農家へ嫁いで30余年。これまで「お手伝い」気分での農業を義母の病気を機に有機農業に挑戦すべく一念発起!調理職に長く携わってきた経験と知識、薬膳アドバイザー・食育インストラクターの資格を活かして安心安全な食材を家族へ、そして消費者様に届けられるよう日々奮闘中です。
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    北島芙有子
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    川島礼二郎
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    柏木智帆
    米・食味鑑定士/お米ライター/ごはんソムリエ神奈川新聞の記者を経て、福島県の米農家と結婚。年間400種以上の米を試食しながら「お米の消費アップ」をライフワークに、執筆やイベント、講演活動など、お米の魅力を伝える活動を行っている。また、4歳の娘の食事やお弁当づくりを通して、食育にも目を向けている。プロフィール写真 ©杉山晃造
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