スマート農業技術を活用した「果樹の根域制限栽培」、相模原市でスタート

梨や桃、ブドウなどの果樹栽培を中心にスマート農業技術を活用した根域制限栽培に取り組むGitobi合同会社は、自社開発の根域制限栽培システムを活用した果樹生産を神奈川県相模原市で開始する。

果樹の根域制限栽培の様子
根域制限栽培とは、農業用ポットなど根の動きを制限する培地を利用して、潅水や施肥など農作物の成長に必要な作業を効率的に実施するというもの。2020年11月30日に政府が発表した「農林水産物・食品の輸出拡大実行戦略」にも組み込まれ注目を集める栽培方法のひとつである。

根域制限栽培のメリット

土壌水分の管理や潅水作業を効率化


同社が開発した根域制限栽培システムは、スマート潅水装置、 スマート日射計、 スマート土壌水分計の3つのIoTデバイスとクラウド栽培管理システムを使用して、根域制限栽培に必要な土壌水分の管理や潅水作業を効率化するもの。

同社が開始したスマート日射計
2017年に開始した試験栽培では、約1000万円の初期費用を投資して7個の梨を初収穫。
現在は、栃木県農業試験場ほか3つの企業・団体が試験導入している。

試験栽培で初収穫された梨(2018年)
今後は、相模原市および同市の地権者と締結した三者協定を基に借り受けた約2000平米の農地を利用して、梨・桃・ブドウ・ポポー・アケビ・アンズ・ラズベリーなど14品種(合計200本)の栽培に取り組む予定とのこと。

相模原市および同市の地権者と締結した三者協定で借り受けた農地

同社は、スマート農業技術を活用した根域制限栽培システムの普及を推進することで、日本の農産物の販路拡大に貢献しながら、農業人口の減少や高齢化など日本農業が抱える課題を解決していきたい考えだ。


Gitobi合同会社
https://www.gitobi.com/
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  1. 田牧一郎
    田牧一郎
    日本で15年間コメ作りに従事した後、アメリカに移り、精米事業、自分の名前をブランド化したコメを世界に販売。事業売却後、アメリカのコメ農家となる。同時に、種子会社・精米会社・流通業者に、生産・精米技術コンサルティングとして関わり、企業などの依頼で世界12カ国の良質米生産可能産地を訪問調査。現在は、「田牧ファームスジャパン」を設立し、直接播種やIoTを用いた稲作の実践や研究・開発を行っている。
  2. 福田浩一
    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
  3. 石坂晃
    石坂晃
    1970年生まれ。千葉大学園芸学部卒業後、福岡県の農業職公務員として野菜に関する普及指導活動や果樹に関する品種開発に従事する一方、韓国語を独学で習得(韓国語能力試験6級)。退職後、2024年3月に玄海農財通商合同会社を設立し代表に就任、日本進出を志向する韓国企業・団体のコンサルティングや韓国農業資材の輸入販売を行っている。会社HP:https://genkai-nozai.com/home/個人のブログ:https://sinkankokunogyo.blog/
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    川島礼二郎
    1973年神奈川県生まれ。筑波大学第二学群農林学類卒業。フリーラインスの編集ライターとして、テクノロジーをキーワードに、農業雑誌・自動車雑誌などで執筆・編集活動中。
  5. 堀口泰子
    堀口泰子
    栄養士、食アスリートシニアインストラクター、健康・食育シニアマスター。フィットネスクラブ専属栄養士を経て独立。アスリートの食事指導や栄養サポートの他、離乳食から介護予防まで食を通じて様々な食育活動を行う。料理家としても活動し、レシピ提案、商品開発も担う。食事は楽しく、気負わず継続できる食生活を伝えることを信条とする。スポーツの現場ではジュニアの育成、競技に向き合うための心と体の成長に注力している。HP:https://eiyoushiyakko.jimdofree.com/
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