サグリ、衛星データを活用して農地の作付け調査を行うAIモデルを開発

農業と環境課題の解決を目指すサグリ株式会社は、衛星データを活用して農地ごとの作付け状況を高精度で判定するAIモデルを開発した。


現在、日本では麦や大豆、野菜など米以外の作物に転作した農業者を対象に交付金を交付する制度を設けているが、交付金を受け取る要件のひとつに、栽培する作物や面積等の情報を記した営農計画書の提出を義務づけている。

提出された営農計画書は、現地の自治体担当者とその地区に詳しい地元の案内人が1件ずつ訪問して、計画書の内容と一致しているかの調査が行われているが、農地によっては足場の悪い道など危険を伴う場所も多く、労力をかけて移動しても実際の作付け状況を確認できずに再度の訪問を余儀なくされるケースが増えているという。
営農計画書

80%~90%以上の精度で判別


同社が開発したAIモデルは、山口県が推進する「シビックテックチャレンジ YAMAGUCHI」の一環で実施した実証実験「衛星・ドローンを活用し、農地の作付状況をスマートに把握したい!」の成果を基に開発した技術である。

実証実験では、同社が提供する耕作放棄地検出アプリケーション「ACTABA」に採用している衛星データ技術とAI技術を参考に、農地ごとの作付け状況を判別するAIモデルを開発。

山口県農業振興課協力の下、山口県内の4つの地域を対象に、農地ごとの作付け状況を「野菜」・「水稲その他」・「穀類」・「豆類」・「飼料作物」・「麦」の6つの分類に分けて解析した結果、80%~90%以上の精度で判別できたそうだ。


耕作放棄地検出アプリケーション「ACTABA」

実証実験の内容とイメージ

実証実験の成果を表したグラフ
横軸が衛星データの撮影時点・縦軸がAIの解析結果

今後は、このAIモデルを実装したアプリケーションの開発を進めると同時に、より多くの地域への展開と判別対象の拡大を目指していく予定だ。


サグリ株式会社
https://sagri.tokyo/
衛星・ドローンを活用し、農地の作付状況をスマートに把握したい!
https://cc-yamaguchi.jp/project/smart-agri/
シビックテックチャレンジ YAMAGUCHI
https://cc-yamaguchi.jp/
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  1. 田牧一郎
    田牧一郎
    日本で15年間コメ作りに従事した後、アメリカに移り、精米事業、自分の名前をブランド化したコメを世界に販売。事業売却後、アメリカのコメ農家となる。同時に、種子会社・精米会社・流通業者に、生産・精米技術コンサルティングとして関わり、企業などの依頼で世界12カ国の良質米生産可能産地を訪問調査。現在は、「田牧ファームスジャパン」を設立し、直接播種やIoTを用いた稲作の実践や研究・開発を行っている。
  2. 福田浩一
    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
  3. 石坂晃
    石坂晃
    1970年生まれ。千葉大学園芸学部卒業後、福岡県の農業職公務員として野菜に関する普及指導活動や果樹に関する品種開発に従事する一方、韓国語を独学で習得(韓国語能力試験6級)。退職後、2024年3月に玄海農財通商合同会社を設立し代表に就任、日本進出を志向する韓国企業・団体のコンサルティングや韓国農業資材の輸入販売を行っている。会社HP:https://genkai-nozai.com/home/個人のブログ:https://sinkankokunogyo.blog/
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    川島礼二郎
    1973年神奈川県生まれ。筑波大学第二学群農林学類卒業。フリーラインスの編集ライターとして、テクノロジーをキーワードに、農業雑誌・自動車雑誌などで執筆・編集活動中。
  5. 堀口泰子
    堀口泰子
    栄養士、食アスリートシニアインストラクター、健康・食育シニアマスター。フィットネスクラブ専属栄養士を経て独立。アスリートの食事指導や栄養サポートの他、離乳食から介護予防まで食を通じて様々な食育活動を行う。料理家としても活動し、レシピ提案、商品開発も担う。食事は楽しく、気負わず継続できる食生活を伝えることを信条とする。スポーツの現場ではジュニアの育成、競技に向き合うための心と体の成長に注力している。HP:https://eiyoushiyakko.jimdofree.com/
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