静岡大学とヤマハ、ワインブドウの花を高精度にカウントするAIを開発

国立大学法人静岡大学 峰野研究室は、ヤマハ発動機株式会社と実施した共同研究で、屋外の農地で栽培するワインブドウの花を高精度にカウントするAIを開発した。


現在、静岡県では伊豆市、御殿場市、浜松市、富士宮市を中心に耕作放棄地等を活用したワインブドウの生産が行われているが、果実を多く結実させ過ぎてしまうと品質が落ちる可能性があるため、開花の段階で咲く多数の小さな花を把握して余分な花を取り除く必要があるという。

カウンティング性能が90%まで向上


両者が開発したAIは、高精細カメラを搭載した小型移動車両と照明を使用して撮影したワインブドウの夜間映像の中から、房に咲く小さな花を検出して高精度にカウントするもの。

データ収集の様子(中伊豆ワイナリーヒルズ)

具体的な仕組みは、オーバーラップするようなパッチ画像を切り出して、花を含む領域を特定し、個々の花を検出するというもの。さまざまな加工を加えることでデータ量を増幅させ精度を向上させる技術を推論時にも適用し、薄暗い画像やぼやけた画像でも高精度な検出が可能になった。

検出方法の概要図

検出結果

カウントの精度は、75%程度だった既存技術を大きく上回る90%で、メルロー、ソーヴィニヨン・ブラン、ジンファンデルなどさまざまな品種に対応するとのこと。

カウンティング精度の比較

今後はこの技術の実用化を視野に、研究を重ねていく予定だ。


国立大学法人静岡大学 峰野研究室
https://wwp.shizuoka.ac.jp/minelab/
ヤマハ発動機株式会社
https://global.yamaha-motor.com/jp/
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  1. 福田浩一
    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
  2. さとうまちこ
    さとうまちこ
    宮城県の南の方で小さな兼業農家をしています。りんご農家からお米と野菜を作る農家へ嫁いで30余年。これまで「お手伝い」気分での農業を義母の病気を機に有機農業に挑戦すべく一念発起!調理職に長く携わってきた経験と知識、薬膳アドバイザー・食育インストラクターの資格を活かして安心安全な食材を家族へ、そして消費者様に届けられるよう日々奮闘中です。
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    北島芙有子
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    川島礼二郎
    1973年神奈川県生まれ。筑波大学第二学群農林学類卒業。フリーラインスの編集ライターとして、テクノロジーをキーワードに、農業雑誌・自動車雑誌などで執筆・編集活動中。
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    柏木智帆
    米・食味鑑定士/お米ライター/ごはんソムリエ神奈川新聞の記者を経て、福島県の米農家と結婚。年間400種以上の米を試食しながら「お米の消費アップ」をライフワークに、執筆やイベント、講演活動など、お米の魅力を伝える活動を行っている。また、4歳の娘の食事やお弁当づくりを通して、食育にも目を向けている。プロフィール写真 ©杉山晃造
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