ニチリウ永瀬と九州大学、AIを活用した「キュウリの自動栽培システム」の開発に着手

株式会社ニチリウ永瀬と九州大学大学院農学研究院は共同で「キュウリの自動栽培システム」の開発に着手した。

プロジェクトのメンバー(九州大学農学部附属農場で撮影)

AIによりキュウリの収穫量減少の原因を特定


現在、日本の農業は2015年に約137万件あった農業経営体の数が2020年には約107万件まで減少するなど、農業人口の減少や高齢化、担い手不足が急速に進んでいる。

このような状況を背景に、農林水産省では、助成金の交付など新規就農希望者を支援するさまざまな施策を講じているが、生活に必要な十分な所得を確保していくのは難しく、新規就農者の約4割が5年以内に離農してしまう状況という。

両者が行う研究では、キュウリの収穫量を現在の平均反収よりも倍増させることを目標に、AIが収穫量が減少する要因を特定して、ハウス内の空調管理や水やり・施肥作業を自動で実行する自動栽培システムを構築。

その後、ナス、ピーマン、メロン、イチゴなど、施設栽培の野菜全般へと対象を広げ、令和5年度にはAIへのラーニングを開始する。

福岡県福岡市西区今津に建設されるニチリウ永瀬研究農場(2022年9月末完成予定)

両者は今回の研究を通じ、労働力を軽減しながら農作物を安定的に生産できる新たな自動栽培システムを開発することで、新規就農者の離農を未然に防いでいく考えだ。


株式会社ニチリウ永瀬
https://www.nichiryunagase.co.jp/
九州大学農学部
https://www.agr.kyushu-u.ac.jp/
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  1. 加藤拓
    加藤拓
    筑波大学大学院生命環境科学研究科にて博士課程を修了。在学時、火山噴火後に徐々に森が形成されていくにつれて土壌がどうやってできてくるのかについて研究し、修了後は茨城県農業総合センター農業研究所、帯広畜産大学での研究を経て、神戸大学、東京農業大学へ。農業を行う上で土壌をいかに科学的根拠に基づいて持続的に利用できるかに関心を持って研究を行っている。
  2. 槇 紗加
    槇 紗加
    1998年生まれ。日本女子大卒。レモン農家になるため、大学卒業直前に小田原に移住し修行を始める。在学中は、食べチョクなど数社でマーケティングや営業を経験。その経験を活かして、農園のHPを作ったりオンライン販売を強化したりしています。将来は、レモンサワー農園を開きたい。
  3. 沖貴雄
    沖貴雄
    1991年広島県安芸太田町生まれ。広島県立農業技術大学校卒業後、県内外の農家にて研修を受ける。2014年に安芸太田町で就農し2018年から合同会社穴ファームOKIを経営。ほうれんそうを主軸にスイートコーン、白菜、キャベツを生産。記録を分析し効率の良い経営を模索中。食卓にわくわくを地域にウハウハを目指し明るい農園をつくりたい。
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    田牧一郎
    日本で15年間コメ作りに従事した後、アメリカに移り、精米事業、自分の名前をブランド化したコメを世界に販売。事業売却後、アメリカのコメ農家となる。同時に、種子会社・精米会社・流通業者に、生産・精米技術コンサルティングとして関わり、企業などの依頼で世界12カ国の良質米生産可能産地を訪問調査。現在は、「田牧ファームスジャパン」を設立し、直接播種やIoTを用いた稲作の実践や研究・開発を行っている。
  5. 福田浩一
    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
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