農林水産省、国産抹茶需要に応えるための「茶被覆適期コンソーシアム」始動

農林水産省は、高品質茶生産拡大のための適期被覆技術体系の確立「茶被覆適期コンソーシアム」を開始した。これは2019年(令和元年)度の戦略的プロジェクト研究推進委託事業のひとつである。

「茶被覆適期コンソーシアム」とは

日本の抹茶の需要は年々増加の傾向にあり、原料となるてん茶の生産拡大を図る農業者の増加が見込まれている。

しかし、現状は生産者数の減少・高齢化の問題など、被覆適時の判断や病害虫への対策、肥培管理に関する知見や対処技術の不足が不安視されている。

加えて、高品質のお茶を生産するために必要な被覆作業は、多大な労力を伴うため、現状の技術では増産することが難しいのも事実だ。


その課題解決のために発足したのが「茶被覆適期コンソーシアム」だ。

農林水産省が農林水産政策上重要な研究のうち、農林水産分野及び関連分野の研究勢力を挙げて取り組むべき課題への戦略的プロジェクト研究推進事業と位置付けられたものである。

同プロジェクトには、農業のIoT化を推進する株式会社システムフォレストをはじめ、静岡大学や山口大学、⿅児島県農業開発総合センターや児島県南薩地域振興局農政普及課、静岡県農林技術研究所茶業研究センターや福岡県農林業総合試験場八女分場ら、1社、2大学、1行政機関、3県の研究機関が参加している。

茶の被覆管理体系の高度化技術を確立することを目的に、2024年(令和5年)度までに技術体系が異なる地域での実証を進め、システム化・マニュアル化を目標に研究推進・技術開発を推進していく。

今後は、日本の多様な茶産地で実装可能な被覆茶栽培体系の効率化と高度化を目指し、付加価値の高いてん茶の栽培及び生産の拡大を進めていく考えだ。


<参考URL>
農林水産省
国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構
株式会社システムフォレスト
静岡大学
山口大学
⿅児島県農業開発総合センター
鹿児島県南薩地域振興局農政普及課
静岡県農林技術研究所茶業研究センター
福岡県農林業総合試験場八女分場
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  1. 福田浩一
    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
  2. 北島芙有子
    北島芙有子
    トマトが大好きなトマト農家。大学時代の農業アルバイトをきっかけに、非農家から新規就農しました。ハウス栽培の夏秋トマトをメインに、季節の野菜を栽培しています。最近はWeb関連の仕事も始め、半農半Xの生活。
  3. 柏木智帆
    柏木智帆
    米・食味鑑定士/お米ライター/ごはんソムリエ神奈川新聞の記者を経て、福島県の米農家と結婚。年間400種以上の米を試食しながら「お米の消費アップ」をライフワークに、執筆やイベント、講演活動など、お米の魅力を伝える活動を行っている。また、4歳の娘の食事やお弁当づくりを通して、食育にも目を向けている。プロフィール写真 ©杉山晃造
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    鈴木かゆ
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    田牧一郎
    日本で15年間コメ作りに従事した後、アメリカに移り、精米事業、自分の名前をブランド化したコメを世界に販売。事業売却後、アメリカのコメ農家となる。同時に、種子会社・精米会社・流通業者に、生産・精米技術コンサルティングとして関わり、企業などの依頼で世界12カ国の良質米生産可能産地を訪問調査。現在は、「田牧ファームスジャパン」を設立し、直接播種やIoTを用いた稲作の実践や研究・開発を行っている。
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