農研機構、着脱式可搬バッテリーを利用した「ハクサイ頭部結束機」を初公開

農研機構は、越冬ハクサイの結束作業を軽労化する「ハクサイ頭部結束機」について、動力源に市販の着脱式可搬バッテリーを利用した開発機を、2024年3月8日に開催される「令和5年度農業機械技術クラスター総会」で初公開する。

作業試験の様子
出典:https://www.naro.go.jp/publicity_report/press/laboratory/iam/161802.html


越冬ハクサイ頭部結束機の電動化へ


越冬ハクサイの頭部結束作業は、冬期の霜害や凍害から結球部を守るため、人手で複数枚の外葉を持ち上げて結球部を包み、わらやポリプロピレン製ひもで頭頂部をまとめて結束する作業のこと。長時間狭い所で腰や膝を曲げた姿勢で行うことから、作業者の軽労化が求められている。

農研機構は、2021年5月に農業機械技術クラスター事業において、メーカーや公設試験研究機関と共同で歩行型のハクサイ頭部結束機を開発。1畝1条栽培のハクサイを対象に、1本のPPひもで頭頂部を連続して結束する機械で、小型エンジン発電機で稼働するものだ。

同年12月には、モニター販売を開始したが、小型エンジン発電機で稼働していたため、生産現場等からは低コスト化や燃油を使わない発電手段への転換による環境負荷の低減が求められたという。

そこで農研機構は、2023年6月に東海漬物株式会社からの研究寄附を受け、「越冬ハクサイ頭部結束機の電動化に関する研究」に着手した。

この研究では、異分野の機械も含めたバッテリーシェアリング社会の実現を目指し、二輪業界で仕様が共通化されている市販の着脱式可搬バッテリー(Honda Mobile Power Pack e:)を内蔵したポータブル電源を活用し、ハクサイ頭部結束機を稼働させる実証試験を実施している。

ポータブル電源(左)と着脱式可搬バッテリー(右)
出典:https://www.naro.go.jp/publicity_report/press/laboratory/iam/161802.html

3月8日に開催される農業機械技術クラスター総会では、動力源に市販の着脱式可搬バッテリーを利用したハクサイ頭部結束機とともに、自動運転スピードスプレーヤ、高機動畦畔草刈機、遠隔操作式高能率法面草刈機といった開発機の展示が行われるとのこと。


農研機構
https://www.naro.go.jp
SHARE

最新の記事をFacebook・メールで
簡単に読むことが出来ます。

RANKING

WRITER LIST

  1. 福田浩一
    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
  2. さとうまちこ
    さとうまちこ
    宮城県の南の方で小さな兼業農家をしています。りんご農家からお米と野菜を作る農家へ嫁いで30余年。これまで「お手伝い」気分での農業を義母の病気を機に有機農業に挑戦すべく一念発起!調理職に長く携わってきた経験と知識、薬膳アドバイザー・食育インストラクターの資格を活かして安心安全な食材を家族へ、そして消費者様に届けられるよう日々奮闘中です。
  3. 北島芙有子
    北島芙有子
    トマトが大好きなトマト農家。大学時代の農業アルバイトをきっかけに、非農家から新規就農しました。ハウス栽培の夏秋トマトをメインに、季節の野菜を栽培しています。最近はWeb関連の仕事も始め、半農半Xの生活。
  4. 川島礼二郎
    川島礼二郎
    1973年神奈川県生まれ。筑波大学第二学群農林学類卒業。フリーラインスの編集ライターとして、テクノロジーをキーワードに、農業雑誌・自動車雑誌などで執筆・編集活動中。
  5. 柏木智帆
    柏木智帆
    米・食味鑑定士/お米ライター/ごはんソムリエ神奈川新聞の記者を経て、福島県の米農家と結婚。年間400種以上の米を試食しながら「お米の消費アップ」をライフワークに、執筆やイベント、講演活動など、お米の魅力を伝える活動を行っている。また、4歳の娘の食事やお弁当づくりを通して、食育にも目を向けている。プロフィール写真 ©杉山晃造
パックごはん定期便