クボタ、北海道十勝地方で大規模畑作農業のスマート化に向けた実証実験を実施

株式会社クボタは、北海道十勝地方の農業生産者や農協、十勝農業協同組合連合会などの社外パートナーと連携し、営農支援システム間のデータ連携とその活用によるユーザーの利便性向上に関する2カ年の実証実験を行っていると発表した。

自動操舵ガイダンスシステムを搭載する農業機械の走行履歴の位置情報の取り込みや、データ活用方法の検討などを行い、スマート農業の推進を通じた地域農業への貢献を目指すとしている。

データ連携のイメージ

システム連携で作業記録の作成を軽労化


クボタは、2014年に営農支援システム「KSAS(クボタスマートアグリシステム)」のサービスを開始し、農地情報や作業履歴、収穫実績、農業機械の稼働時間などをデジタル管理するシステムを提供してきた。

このシステムは、国内で約9000軒の農業生産者によって利用され、農業の効率化だけでなく、農作物の高付加価値化やコスト競争力の強化に貢献しているという。

一方、十勝農協連は、スマートフォンやタブレット、パソコンなどの端末で過去の作付作物や土壌分析結果、生産履歴等の生産に必要な情報を管理・閲覧できる「TAF(十勝地域組合員総合支援システム)」の提供を2017年に開始した。

十勝地方の農業生産者の約85%が利用登録しており、生産者と農協がデータを共有することで、農協による栽培技術の改善指導や作業支援にも活用されている。

北海道十勝地方は、日本有数の食糧基地であり、農業生産者当たりの平均耕地面積は約46haとなっている。この広大な農地での作業を省力化かつ高精度化するため、トラクタ等の農業機械に後付けできる自動操舵ガイダンスなど、GNSS(衛星測位システム)の活用が進んでいるという。

十勝地方では4年間を1サイクルとして一つの畑で栽培する作物を毎年変えていく輪作が主流であることから、作付けした作物や作業の履歴をほ場・時期ごとに正確に記録することが欠かせない。しかし、高齢化や人手不足という課題を抱えているため、最小限の手間で記録できる営農支援システムが求められている。

2023年度には、十勝地方の農業生産者の協力のもと、株式会社トプコンおよび株式会社ニコン・トリンブル製の自動操舵ガイダンスに蓄積した農業機械の走行履歴を「KSAS」へ取り込み、そのデータを活用した作業日誌作成に関する技術的な検証と導入効果測定を実施した。

また、農業生産者と共に、自動操舵ガイダンスから取得する高精度な位置情報の活用方法の検討を行ったほか、上記の結果に基づき、自動操舵ガイダンスから取り込むデータを利用した「KSAS」上での日誌作成サービスの提供に向けたシステム開発に着手している。

今回の取り組みでは、自動操舵ガイダンスから得られる農業機械の走行履歴の位置情報を「KSAS」や「TAF」上で活用し、作業履歴管理の効率化を図ることで、更なる規模拡大をめざす農業生産者に貢献していく考えだ。

具体的には、農業生産者がより精密なほ場・作業履歴管理をする際に必要とされる、作業速度や高低差等のデータの「KSAS」上のマップへの反映など、サービス提供に向けたシステム開発を検討する。

また、「KSAS」を経由して「TAF」上に取り込んだ走行履歴の位置情報を活用し、地域単位での情報共有の強化・円滑化の可能性を検証していく。

実証実験の概要は以下の通りだ。

【期間】
2023年6月~2025年3月
【場所】
北海道十勝地方(帯広市、更別村)
【参加・協力機関と主な役割】
株式会社クボタ

・実証実験の全体統括
・自動操舵ガイダンスから取り込んだデータを活用した「KSAS」の新機能の企画・開発
・「KSAS」と「TAF」の連携方法の検討
JA帯広かわにし/JAさらべつ/更別村
・農業生産者の選定、営農指導
十勝農業協同組合連合会
・「KSAS」と「TAF」の連携方法の検討
・「KSAS」を経由して取り込み可能なデータの確認と「TAF」での活用方法の検討
株式会社トプコン/株式会社ニコン・トリンブル
自動操舵ガイダンスから「KSAS」へのデータ取り込みをサポート

クボタは、十勝地方の農業が直面する人手不足や高齢化という課題に対して、技術的解決策を提供し、地域農業の持続可能な発展に貢献していきたいとしている。


株式会社クボタ
https://www.kubota.co.jp/
株式会社北海道クボタ
https://www.hokkaido-kubota.co.jp/

JA帯広かわにし
https://www.jaobihirokawanisi.or.jp/
JAさらべつ
https://ja-sarabetsu.jp/
更別村
https://www.sarabetsu.jp/
十勝農業協同組合連合会
https://www.nokyoren.or.jp/
株式会社トプコン
https://www.topcon.co.jp/about/
株式会社ニコン・トリンブル
https://www.nikon-trimble.co.jp/
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  1. 田牧一郎
    田牧一郎
    日本で15年間コメ作りに従事した後、アメリカに移り、精米事業、自分の名前をブランド化したコメを世界に販売。事業売却後、アメリカのコメ農家となる。同時に、種子会社・精米会社・流通業者に、生産・精米技術コンサルティングとして関わり、企業などの依頼で世界12カ国の良質米生産可能産地を訪問調査。現在は、「田牧ファームスジャパン」を設立し、直接播種やIoTを用いた稲作の実践や研究・開発を行っている。
  2. 福田浩一
    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
  3. 石坂晃
    石坂晃
    1970年生まれ。千葉大学園芸学部卒業後、福岡県の農業職公務員として野菜に関する普及指導活動や果樹に関する品種開発に従事する一方、韓国語を独学で習得(韓国語能力試験6級)。退職後、2024年3月に玄海農財通商合同会社を設立し代表に就任、日本進出を志向する韓国企業・団体のコンサルティングや韓国農業資材の輸入販売を行っている。会社HP:https://genkai-nozai.com/home/個人のブログ:https://sinkankokunogyo.blog/
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    川島礼二郎
    1973年神奈川県生まれ。筑波大学第二学群農林学類卒業。フリーラインスの編集ライターとして、テクノロジーをキーワードに、農業雑誌・自動車雑誌などで執筆・編集活動中。
  5. 堀口泰子
    堀口泰子
    栄養士、食アスリートシニアインストラクター、健康・食育シニアマスター。フィットネスクラブ専属栄養士を経て独立。アスリートの食事指導や栄養サポートの他、離乳食から介護予防まで食を通じて様々な食育活動を行う。料理家としても活動し、レシピ提案、商品開発も担う。食事は楽しく、気負わず継続できる食生活を伝えることを信条とする。スポーツの現場ではジュニアの育成、競技に向き合うための心と体の成長に注力している。HP:https://eiyoushiyakko.jimdofree.com/
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