【2026年5月上期 農業ニュースPICK UP】 病害虫情報の第一報が公表 遠隔操作可能な農機の法整備が進む
4月下期〜5月上期にかけては、春作の農産物の生育回復が見え始める一方で、病害虫の初動対応や暑熱対策、作業の前倒し判断が重要になる時期です。特に病害虫は、温暖な気候の九州から傾向が他の地域でも参考になります。
今回は、農林水産省の公表資料から、5月上期に備えた情報をピックアップしました。

まず確認しておきたいのが、4月15日に公表された「令和8年度病害虫発生予報第1号」です。
今回の予報では、麦の赤かび病が東海、四国、北九州の一部地域で多くなると見込まれたほか、野菜・花きではいちごのハダニ類、果樹では果樹カメムシ類、そのほかかんきつのハダニ類やきゅうりのべと病などについて、地域によって発生量が多くなる可能性が示されました。
5月上期は、圃場によって生育の進み方に差が出やすく、病害虫の発生タイミングもばらつきやすい時期。だからこそ、発生してから対応するのではなく、巡回頻度を上げながら、地域の予察情報とあわせて早めに手を打てるかがポイントになります。防除が遅れると、その後の管理や収穫にも影響しやすいため、今の時期は「様子見」より「初動確認」を優先していきましょう。

次に注目したいのが、高温や異常気象の傾向です。3月27日に公表された「令和7年地球温暖化影響調査レポート(速報)」では、2025年夏の日本の平均気温偏差が+2.36℃となり、1898年以降で最も高かったことが示されました。レポートでは、高温が農作物に与えた影響だけでなく、現場で有効だった適応策や、農作業時の熱中症対策についても整理されています。
水稲に関しては、高温による白未熟粒の発生割合(作付面積)は3〜4割、西日本では5〜6割、東日本では3〜4割の地域に影響が見られました。また、夏季のカメムシ被害は、北日本の2〜3割の地域で影響が出ました。
白未熟粒の発生対策としては、高温耐性品種の導入が有効とされています。実際、水稲の高温耐性品種の作付面積は24.8万haとなり、主食用米に占める割合が18.2%に上昇したことも紹介されています。高温リスクは一時的な話ではなく、品種や作業体系の見直しが着実に進んでいることがわかります。
同時に、肥培管理、水管理などが最も効果が上がったとも言われています。4月下旬は真夏ほどの暑さではないとはいえ、ハウス内作業、防除、定植、除草など、日中の負荷が上がりやすい場面が増えてきます。昨年の高温傾向を踏まえると、今年も「暑くなってから対策する」のでは遅く、今のうちから作業時間の見直し、水分補給、休憩動線、無理のない人員配置を考えておきましょう。
野菜などの高温対策については、それぞれの品目ごとに紹介されています。
作物の生育や出荷見通しでは、3月31日に公表された「野菜の生育状況及び価格見通し(令和8年4月)について」に注目しました。
農水省によると、4月の価格はばれいしょ、たまねぎ等が平年を上回る一方で、キャベツ、レタス等は平年を下回る見込みとされました。背景には、冬から春先にかけての少雨や低温、その後の降雨や気温上昇による生育回復があり、品目ごとの差がはっきり現れています。
たとえばキャベツは、愛知県産や千葉県産で天候回復により生育が戻り、4月下旬以降は春作の増量が見込まれています。レタスも少雨の影響で一時的に生育が後ろ倒しになったものの、その後は回復傾向です。
一方、ばれいしょ(じゃがいも)は前年夏の高温・干ばつや冬季の降雪の影響が残り、たまねぎも高温・乾燥・低温の影響で出荷量が平年を下回る見通しとされています。
ここで大事なのは、「全体として持ち直している」と見るのではなく、回復した品目と、まだ遅れや不足感が残る品目を分けて見ることです。4月下旬は、生育回復によって防除、追肥、収穫、出荷調整が重なりやすく、むしろ作業が集中しやすいタイミングでもあります。天候回復がそのまま作業余裕につながるとは限らないため、圃場ごとの優先順位付けをあらためて確認しておきたいところです。

制度・技術面では、3月27日に「『農業機械の自動走行に関する安全性確保ガイドライン』の一部改正が伝えられました。
今回の改正では、遠隔監視により圃場等で使用するロボット農機としてコンバインが追加され、あわせてロボット農機の公道走行に関する制度の概要も盛り込まれました。ロボット農機の活用領域が少しずつ広がっていることに加え、耕起や播種などに使うトラクターから、収穫に使うコンバインまで、実際の運用を見据えた制度整備が進んでいることがうかがえます。
遠隔監視による自動走行では、使⽤者が搭乗しない状態で、⾃動⾛⾏や作業等を行うことができ、異常等が発⽣した際にも、モニター等による遠隔監視で適切に処理できるものと規定されています。これにより、ひとりのオペレーターが複数の農機を扱うことができ、作業効率も大幅に改善できます。そのために製造業社、販売会社、導入業社、そして使用者それぞれに、必要な情報なども盛り込まれています。
今すぐすべての現場で完全自動化が進むわけではありませんが、今後は人手不足対策を考えるうえで、単純な省力化だけでなく、遠隔監視、自動走行、共同利用、外部サービス活用まで含めた選択肢が広がっていきそうです。
5月のゴールデンウィークを含む春先の時期は、全国的に気温が上昇し、農産物の生育が進み始めるからこそ、現場の作業が一気に詰まりやすくなる時期でもあります。
気象や病害虫の情報を「読む」だけで終わらせず、巡回、防除、収穫、作業分担まで落とし込めるかどうかが、その後の遅れ防止につながるでしょう。
参照記事
令和8年度病害虫発生予報第1号」の発表について
「令和7年地球温暖化影響調査レポート(速報)」の公表について
野菜の生育状況及び価格見通し(令和8年4月)について
「農業機械の自動走行に関する安全性確保ガイドライン」の一部改正について
今回は、農林水産省の公表資料から、5月上期に備えた情報をピックアップしました。
参照期間:2026年3月下旬〜2026年4月中旬公表分
参照元:農林水産省 報道発表資料
参照アーカイブ:https://www.maff.go.jp/j/press/arc/2603.html
補足参照:https://www.maff.go.jp/j/press/
参照元:農林水産省 報道発表資料
参照アーカイブ:https://www.maff.go.jp/j/press/arc/2603.html
補足参照:https://www.maff.go.jp/j/press/
(1)病害虫情報:2026年度最初の発生予報が発表 ハダニ、カメムシ等が増加か

まず確認しておきたいのが、4月15日に公表された「令和8年度病害虫発生予報第1号」です。
今回の予報では、麦の赤かび病が東海、四国、北九州の一部地域で多くなると見込まれたほか、野菜・花きではいちごのハダニ類、果樹では果樹カメムシ類、そのほかかんきつのハダニ類やきゅうりのべと病などについて、地域によって発生量が多くなる可能性が示されました。
5月上期は、圃場によって生育の進み方に差が出やすく、病害虫の発生タイミングもばらつきやすい時期。だからこそ、発生してから対応するのではなく、巡回頻度を上げながら、地域の予察情報とあわせて早めに手を打てるかがポイントになります。防除が遅れると、その後の管理や収穫にも影響しやすいため、今の時期は「様子見」より「初動確認」を優先していきましょう。
(2)栽培関連:水稲における異常気象対策として、高温耐性品種への転換、水管理が効果的

次に注目したいのが、高温や異常気象の傾向です。3月27日に公表された「令和7年地球温暖化影響調査レポート(速報)」では、2025年夏の日本の平均気温偏差が+2.36℃となり、1898年以降で最も高かったことが示されました。レポートでは、高温が農作物に与えた影響だけでなく、現場で有効だった適応策や、農作業時の熱中症対策についても整理されています。
水稲に関しては、高温による白未熟粒の発生割合(作付面積)は3〜4割、西日本では5〜6割、東日本では3〜4割の地域に影響が見られました。また、夏季のカメムシ被害は、北日本の2〜3割の地域で影響が出ました。
白未熟粒の発生対策としては、高温耐性品種の導入が有効とされています。実際、水稲の高温耐性品種の作付面積は24.8万haとなり、主食用米に占める割合が18.2%に上昇したことも紹介されています。高温リスクは一時的な話ではなく、品種や作業体系の見直しが着実に進んでいることがわかります。
同時に、肥培管理、水管理などが最も効果が上がったとも言われています。4月下旬は真夏ほどの暑さではないとはいえ、ハウス内作業、防除、定植、除草など、日中の負荷が上がりやすい場面が増えてきます。昨年の高温傾向を踏まえると、今年も「暑くなってから対策する」のでは遅く、今のうちから作業時間の見直し、水分補給、休憩動線、無理のない人員配置を考えておきましょう。
野菜などの高温対策については、それぞれの品目ごとに紹介されています。
(3)出荷見通し:生育状況+適期作業の遅れを懸念
作物の生育や出荷見通しでは、3月31日に公表された「野菜の生育状況及び価格見通し(令和8年4月)について」に注目しました。
農水省によると、4月の価格はばれいしょ、たまねぎ等が平年を上回る一方で、キャベツ、レタス等は平年を下回る見込みとされました。背景には、冬から春先にかけての少雨や低温、その後の降雨や気温上昇による生育回復があり、品目ごとの差がはっきり現れています。
たとえばキャベツは、愛知県産や千葉県産で天候回復により生育が戻り、4月下旬以降は春作の増量が見込まれています。レタスも少雨の影響で一時的に生育が後ろ倒しになったものの、その後は回復傾向です。
一方、ばれいしょ(じゃがいも)は前年夏の高温・干ばつや冬季の降雪の影響が残り、たまねぎも高温・乾燥・低温の影響で出荷量が平年を下回る見通しとされています。
ここで大事なのは、「全体として持ち直している」と見るのではなく、回復した品目と、まだ遅れや不足感が残る品目を分けて見ることです。4月下旬は、生育回復によって防除、追肥、収穫、出荷調整が重なりやすく、むしろ作業が集中しやすいタイミングでもあります。天候回復がそのまま作業余裕につながるとは限らないため、圃場ごとの優先順位付けをあらためて確認しておきたいところです。
(4)スマート農業:ロボット農機の公道走行に関する法整備

制度・技術面では、3月27日に「『農業機械の自動走行に関する安全性確保ガイドライン』の一部改正が伝えられました。
今回の改正では、遠隔監視により圃場等で使用するロボット農機としてコンバインが追加され、あわせてロボット農機の公道走行に関する制度の概要も盛り込まれました。ロボット農機の活用領域が少しずつ広がっていることに加え、耕起や播種などに使うトラクターから、収穫に使うコンバインまで、実際の運用を見据えた制度整備が進んでいることがうかがえます。
遠隔監視による自動走行では、使⽤者が搭乗しない状態で、⾃動⾛⾏や作業等を行うことができ、異常等が発⽣した際にも、モニター等による遠隔監視で適切に処理できるものと規定されています。これにより、ひとりのオペレーターが複数の農機を扱うことができ、作業効率も大幅に改善できます。そのために製造業社、販売会社、導入業社、そして使用者それぞれに、必要な情報なども盛り込まれています。
今すぐすべての現場で完全自動化が進むわけではありませんが、今後は人手不足対策を考えるうえで、単純な省力化だけでなく、遠隔監視、自動走行、共同利用、外部サービス活用まで含めた選択肢が広がっていきそうです。
本格的な農作業開始に向けて、準備と早期対応を
5月のゴールデンウィークを含む春先の時期は、全国的に気温が上昇し、農産物の生育が進み始めるからこそ、現場の作業が一気に詰まりやすくなる時期でもあります。
気象や病害虫の情報を「読む」だけで終わらせず、巡回、防除、収穫、作業分担まで落とし込めるかどうかが、その後の遅れ防止につながるでしょう。
参照記事
令和8年度病害虫発生予報第1号」の発表について
「令和7年地球温暖化影響調査レポート(速報)」の公表について
野菜の生育状況及び価格見通し(令和8年4月)について
「農業機械の自動走行に関する安全性確保ガイドライン」の一部改正について
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