【令和8年最新版】 ネギ農業を取り巻く環境と現状──周年出荷から新品種まで、知っておきたい栽培と経営のこと
鍋の名脇役から、香る薬味、香ばしく甘い焼きネギまで──。ネギは日本の食卓に欠かせない存在です。春先の青々としたネギ、冬の甘みが乗った太いネギ、地域ごとに個性豊かな品種が作られ、一年を通して食卓を彩っています。
ネギは生命力が強く、古くから日本の農業を支えてきた作物です。しかし、近年の猛暑やゲリラ豪雨、防除の難しさ、そして何より「収穫・調製の重労働」に、日々頭を悩ませている生産者の方も多いのではないでしょうか。「面積を広げたいが、体が持たない」「収益を安定させる決定打が欲しい」と考える農家の方も多いのではないでしょうか。
この記事では、ネギ栽培の現状から品種との向き合い方、栽培や出荷の工夫、最近話題のスマート農業まで、幅広くご紹介していきます。負担の大きい日々の農作業を客観的に見つめ直し、収益性や効率化を高めるヒントを見つけていただければ幸いです。

ネギは日本全国で栽培されている野菜で、直近の統計(2024年/令和6年)によると全国の収穫量は約40万トン、作付面積は約2万ヘクタールとなっています(出典:農林水産省 「令和6年産野菜生産出荷統計」)。また、「2020年農林業センサス」によると、ネギ農家1経営体あたりの平均栽培面積は約0.26haで、最大産地は茨城県(1,363ha)。関東・東山地域が全国最大のネギ産地となっています(出典:農林水産省「2020年農林業センサス 確報 第2巻(総括編)」表21「販売目的の野菜類の作物別作付(栽培)経営体数と作付(栽培)面積」より編集部にて算出)
主な産地は千葉県、埼玉県、茨城県といった関東エリアですが、北海道の夏ネギ、九州の冬ネギなど、各地で気候を生かした作型が組まれています。たとえば、北海道では夏の冷涼な気候を生かして本州の端境期に出荷し、九州では温暖な気候で冬でも太く甘いネギが育ちます。こうした産地ごとの特色が、年間を通してネギが安定供給される理由になっています。
経営の状況を見ると、家族経営を中心としながら、パートや臨時雇用を組み合わせて栽培している産地が多く見られます。最近では、機械化を進めて面積を広げている農家や、直売所やネット販売で独自ルートを開拓している方も増えてきています。それぞれの地域や経営体の状況に合わせた工夫が重ねられているのが、ネギ栽培の特徴といえるでしょう。
ネギの栽培面積は10年で横ばいですが、リタイアする農家が増え、1戸あたりの面積は拡大傾向にあります。つまり、これからのネギ農家には、より効率的でタフな経営が求められるフェーズに入っています。
一方で国内需要は安定しているため、新規農家でも比較的参入しやすく、通年供給やブランド化で収益性を高めやすい作物とも言えます。
既存農家にとっても、経験に基づく栽培技術や流通ルートを強みに、省力化・機械化を進めることで持続可能な経営につなげられる余地はあります。
ネギ栽培の面白いところは、品種と作型の組み合わせ次第で、ほぼ一年中出荷できることです。春ネギ、夏ネギ、秋冬ネギを組み合わせれば、収穫時期をずらして労働のピークを分散できますし、価格が下がる時期と上がる時期をうまく捉えられます。
一例として、夏ネギでは耐暑性が高く、葉先枯れが出にくい品種が調製の負担を減らしやすいとされています。秋冬ネギでは軟白部が長く太りの良い品種が市場評価を得やすい傾向があります。
さらに、「下仁田ねぎ」のような地域限定のブランド品種や、「深谷ねぎ」のような産地ブランドなどは、地域ぐるみでの生産者やブランドの知名度もあり、人気を集めています。

どの品種で栽培するか考えるときは、自分の圃場の特性や出荷先のニーズをじっくり見極めることが大切です。ネギは一見どれも同じように見えても、暑さへの強さや太り方、軟白部の伸び、病気への耐性など、品種によって性格が大きく異なります。
たとえば、夏場の暑さが厳しい地域では耐暑性の高い品種を選ぶことで、葉が傷みにくくなり、収量や品質が安定しやすくなります。最近は「葉先が枯れにくい品種」も増えており、調製作業のロスが減って負担が軽くなったという声も聞かれます。こうした品種選びは、単なる収量だけでなく、作業時間の短縮にもつながります。
また、出荷先によって求められるネギの姿も変わります。市場出荷では「太くて白い部分が長いネギ」が評価されやすい一方、加工・業務用では多少の曲がりやサイズ違いが許容される場合もあります。契約栽培の場合は、品種以上に「規格(太さ・長さ・出荷時期)」が重視されることもあるため、事前に出荷先と条件をすり合わせておくことが重要です。

軟白部が長く育つ品種、太く育つ品種、成長が早い品種など、それぞれの特徴を理解したうえで、自分の圃場と販路に合った品種を選ぶことが、結果的に経営の安定につながります。とはいえ、いきなり多くの品種に手を広げると管理が難しくなるため、最初は1〜2品種に絞って試験的に育ててみるのも良い方法です。
畑の一角を使って少量ずつ試しながら、自分の地域と経営に合うネギを探していくプロセスも、ネギ栽培の楽しさの一つと言えるでしょう。
ネギ農業は、特定の産地や作型だけで成り立っているものではありません。全国各地の気候や立地条件を生かした産地の役割分担と、春・夏・秋冬ネギを組み合わせた作型、そして品種選びの工夫によって、一年を通じた安定供給が支えられてきました。
また、平均栽培面積は大きくないものの、作型を組み合わせやすく、需要も安定していることから、ネギは「続けやすさ」を持つ作物とも言えます。家族経営を軸にしながら、地域や経営規模に応じた工夫が積み重ねられてきた点も、ネギ農業の大きな特徴です。
根気のいる土づくりから、腰を据えて取り組む調製作業まで、ネギ農業を支えるのは、こうした現場の「当たり前」の積み重ねです。しかし、その「当たり前」を少し変えるだけで、経営はもっと楽に、もっと強くなるかもしれません。
後編では、ベテラン農家ほど見落としがちな“見えにくい工夫”や、経営を安定させるための具体策、そしてスマート農業の活用方法について、より踏み込んで見ていきます。
ネギは生命力が強く、古くから日本の農業を支えてきた作物です。しかし、近年の猛暑やゲリラ豪雨、防除の難しさ、そして何より「収穫・調製の重労働」に、日々頭を悩ませている生産者の方も多いのではないでしょうか。「面積を広げたいが、体が持たない」「収益を安定させる決定打が欲しい」と考える農家の方も多いのではないでしょうか。
この記事では、ネギ栽培の現状から品種との向き合い方、栽培や出荷の工夫、最近話題のスマート農業まで、幅広くご紹介していきます。負担の大きい日々の農作業を客観的に見つめ直し、収益性や効率化を高めるヒントを見つけていただければ幸いです。
全国で作られるネギ、それぞれの産地の特色
ネギは日本全国で栽培されている野菜で、直近の統計(2024年/令和6年)によると全国の収穫量は約40万トン、作付面積は約2万ヘクタールとなっています(出典:農林水産省 「令和6年産野菜生産出荷統計」)。また、「2020年農林業センサス」によると、ネギ農家1経営体あたりの平均栽培面積は約0.26haで、最大産地は茨城県(1,363ha)。関東・東山地域が全国最大のネギ産地となっています(出典:農林水産省「2020年農林業センサス 確報 第2巻(総括編)」表21「販売目的の野菜類の作物別作付(栽培)経営体数と作付(栽培)面積」より編集部にて算出)
主な産地は千葉県、埼玉県、茨城県といった関東エリアですが、北海道の夏ネギ、九州の冬ネギなど、各地で気候を生かした作型が組まれています。たとえば、北海道では夏の冷涼な気候を生かして本州の端境期に出荷し、九州では温暖な気候で冬でも太く甘いネギが育ちます。こうした産地ごとの特色が、年間を通してネギが安定供給される理由になっています。
経営の状況を見ると、家族経営を中心としながら、パートや臨時雇用を組み合わせて栽培している産地が多く見られます。最近では、機械化を進めて面積を広げている農家や、直売所やネット販売で独自ルートを開拓している方も増えてきています。それぞれの地域や経営体の状況に合わせた工夫が重ねられているのが、ネギ栽培の特徴といえるでしょう。
ネギの栽培面積は10年で横ばいですが、リタイアする農家が増え、1戸あたりの面積は拡大傾向にあります。つまり、これからのネギ農家には、より効率的でタフな経営が求められるフェーズに入っています。
一方で国内需要は安定しているため、新規農家でも比較的参入しやすく、通年供給やブランド化で収益性を高めやすい作物とも言えます。
既存農家にとっても、経験に基づく栽培技術や流通ルートを強みに、省力化・機械化を進めることで持続可能な経営につなげられる余地はあります。
品種との向き合い方と作型の工夫──周年出荷で安定経営を目指す
ネギ栽培の面白いところは、品種と作型の組み合わせ次第で、ほぼ一年中出荷できることです。春ネギ、夏ネギ、秋冬ネギを組み合わせれば、収穫時期をずらして労働のピークを分散できますし、価格が下がる時期と上がる時期をうまく捉えられます。
一例として、夏ネギでは耐暑性が高く、葉先枯れが出にくい品種が調製の負担を減らしやすいとされています。秋冬ネギでは軟白部が長く太りの良い品種が市場評価を得やすい傾向があります。
さらに、「下仁田ねぎ」のような地域限定のブランド品種や、「深谷ねぎ」のような産地ブランドなどは、地域ぐるみでの生産者やブランドの知名度もあり、人気を集めています。
圃場条件と出荷先から考える品種選び
どの品種で栽培するか考えるときは、自分の圃場の特性や出荷先のニーズをじっくり見極めることが大切です。ネギは一見どれも同じように見えても、暑さへの強さや太り方、軟白部の伸び、病気への耐性など、品種によって性格が大きく異なります。
たとえば、夏場の暑さが厳しい地域では耐暑性の高い品種を選ぶことで、葉が傷みにくくなり、収量や品質が安定しやすくなります。最近は「葉先が枯れにくい品種」も増えており、調製作業のロスが減って負担が軽くなったという声も聞かれます。こうした品種選びは、単なる収量だけでなく、作業時間の短縮にもつながります。
また、出荷先によって求められるネギの姿も変わります。市場出荷では「太くて白い部分が長いネギ」が評価されやすい一方、加工・業務用では多少の曲がりやサイズ違いが許容される場合もあります。契約栽培の場合は、品種以上に「規格(太さ・長さ・出荷時期)」が重視されることもあるため、事前に出荷先と条件をすり合わせておくことが重要です。
軟白部が長く育つ品種、太く育つ品種、成長が早い品種など、それぞれの特徴を理解したうえで、自分の圃場と販路に合った品種を選ぶことが、結果的に経営の安定につながります。とはいえ、いきなり多くの品種に手を広げると管理が難しくなるため、最初は1〜2品種に絞って試験的に育ててみるのも良い方法です。
畑の一角を使って少量ずつ試しながら、自分の地域と経営に合うネギを探していくプロセスも、ネギ栽培の楽しさの一つと言えるでしょう。
ネギ農業を支えるのは「産地×作型×品種」の組み合わせ
ネギ農業は、特定の産地や作型だけで成り立っているものではありません。全国各地の気候や立地条件を生かした産地の役割分担と、春・夏・秋冬ネギを組み合わせた作型、そして品種選びの工夫によって、一年を通じた安定供給が支えられてきました。
また、平均栽培面積は大きくないものの、作型を組み合わせやすく、需要も安定していることから、ネギは「続けやすさ」を持つ作物とも言えます。家族経営を軸にしながら、地域や経営規模に応じた工夫が積み重ねられてきた点も、ネギ農業の大きな特徴です。
根気のいる土づくりから、腰を据えて取り組む調製作業まで、ネギ農業を支えるのは、こうした現場の「当たり前」の積み重ねです。しかし、その「当たり前」を少し変えるだけで、経営はもっと楽に、もっと強くなるかもしれません。
後編では、ベテラン農家ほど見落としがちな“見えにくい工夫”や、経営を安定させるための具体策、そしてスマート農業の活用方法について、より踏み込んで見ていきます。
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