イエバエ技術の有機肥料でブランドいちごを生産 ムスカと遊士屋が実証実験

三重県伊賀市の農園でブランドイチゴを生産し、国内外への販売を行う遊士屋株式会社と、昆虫テクノロジー企業 株式会社ムスカが、『イエバエ技術で作られた有機肥料を用いた生産実証実験』をスタートした。ムスカのイエバエによる有機肥料を用いて、

イエバエ技術で作られた有機肥料を施肥したイチゴ株

高級イチゴ生産ブランド「BERRY」

遊士屋株式会社は、高級イチゴ生産ブランド「BERRY」の生産と販売を手がけるアグリスタートアップ企業。
2017年に設立され、現在はECサイトの運営や、農産物のブランディング、プロデュースも行っている。

国内はもとより、タイやシンガポール、台湾、香港への輸出も行っており、過去にはイギリス王室御用達のテーブルウェアブランド「ウェッジウッド」の260周年記念キャンペーンや、世界的なパティスリー「モンサンクレール」にも同社の「BERRY」が使用された実績を持つ。

遊士屋株式会社のブランドイチゴ「BERRY」

代表取締役の宮澤大樹氏

昆虫テクノロジー企業 株式会社ムスカ

「イエバエを使った肥料と食糧の自給」の技術・研究を継承

株式会社ムスカは、旧ソ連が行っていた「イエバエを使った肥料と食糧の自給」の技術と研究を継承したテクノロジー企業である。
旧ソ連が計画していた火星への有人宇宙飛行では、食糧の確保と排泄物の処理が重要な課題だったという。
同国では、その課題を解決するために「イエバエを使った肥料と食糧の自給」の研究を開始したが、1991年の崩壊により研究の継続が困難になったそうだ。

ロシアの技術者から種やノウハウを

創業者である串間充崇氏は、ロシアの技術者から種やノウハウを買い付けてきた亡き先代の意志を継ぎ、2016年に同社を起業したという。
研究を引き継いだ同社では、約50年間1,200世代の選別交配による、サラブレッド化された種を保有しているそう。
ムスカのイエバエは過密空間でのストレスに強く、高い生産能力を持つとのこと。

ムスカのバイオマスリサイクル技術

同社のバイオマスリサイクルは、約50年に及ぶ選別交配を重ねたイエバエの幼虫を用いるもので、家畜が出す排せつ物や有機廃棄物を1週間という早さで「堆肥化」でき、幼虫を乾燥させれば「飼料」の生産も可能だそうだ。

ムスカのバイオマスリサイクル

2018年に代表取締役CEOに就任した流郷綾乃氏

『イエバエ技術で作られた有機肥料を用いた生産実証実験』

今回の実証実験は、ムスカ社のイエバエ技術で作られた有機肥料を用いて、イチゴ株の生育比較と収穫量、食味値の比較調査を行い「持続可能な過程で作られた肥料からどのような成果が得られるのか?」をリサーチするものだという。

実験は、三重県伊賀市にある遊士屋株式会社の農園で行われており、設計と検証は京都大学大学院 農学研究科在学中から農業資材の研究・開発に携わってきた、株式会社AGRI SMILEの代表取締役である中道貴也氏が行っている。実験後は実ったイチゴの試食会も予定しているとのこと。

株式会社AGRI SMILEの代表取締役 中道貴也氏

今回の実験にあたり、ムスカ社の代表取締役CEO 流郷綾乃氏は、
私たちの子どもや孫の世代が生きる時代にも豊かな食生活を残していくためには、今よりも環境負荷の少ない 持続的な循環システムをつくっていく必要がある。
とコメントしている。

<参考リンク>
遊士屋 株式会社
株式会社ムスカ
株式会社AGRI SMILE
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WRITER LIST

  1. 福田浩一
    ふくだこういち。東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。現在は主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。http://www.ijas.co.jp/
  2. 中村圭佑
    なかむらけいすけ。明治大学農学部卒業後、日本農薬株式会社に約7年勤務。その後、大手経営コンサルティング会社を経て、FOOD BOX(現在登記準備中)を2019年7月に起業。Facebook:https://www.facebook.com/foodboxjp/、Instagram:https://www.instagram.com/foodbox_jp/
  3. 百花繚乱
    趣味は料理、漫画、読書のミドルの男です。商社勤務で全国や海外を転々しているうちに、故郷に哀愁を覚え、約10年前に地元の農業関連会社にとらばーゆ。
  4. さわちん
    2児の父。あるきっかけにより農業のイメージを変えたいと考え、16年間のサラリーマン生活にピリオドを打つことを決意。2020年春、家族で田舎に移住し、新規就農を目指す。自身が「移住×就農のモデルケース」となるために、いろんな方面へ向けて奮闘中。
  5. 藤本一志
    ふじもとかずし。大学・大学院の6年間を通して地域づくりと農業の活動に関わる。1年間のサラリーマン生活の後、学生時代から活動していた地域に移住し、2拠点居住を開始する。移住支援を通じた地域づくり活動に取り組む傍ら、兼業農家として稲作に取り組む。