スマート農業ベンチャー「AGRIST」、農産物のAI自動収穫ロボットを開発

宮崎県児湯郡新富町のスマート農業ベンチャーであるAGRIST(アグリスト)株式会社が、AIを活用した農産物の自動収穫ロボットを開発した。ピーマンの収穫からスタートし、2020年4月の発売を目標としている。

農産物の自動収穫ロボット

安価でシンプルな自動収穫ロボットを

AGRIST(アグリスト)株式会社は、農業の人手不足と高齢化の課題解決を目指すロボットベンチャー企業だ。一般財団法人こゆ地域づくり推進機構と新富町が開設した、農業生産者とAI・IoT関連ベンチャーを結ぶコミュニティ・ワーク施設「新富アグリバレー」内に本社を構えている。

2019年初頭から、ロボット開発のベンチャーである合同会社Next Technology(福岡県北九州市)と共同で研究開発を開始。地元での農業収穫ロボットの需要の高まりをうけ、2019年10月24日に事業を法人化し、AGRIST株式会社を設立した。

同社は、農家にとって最も大きな解題である「収穫の際の人手不足」の解決するため、地元のピーマン農家への調査を実施。農家が本当に使える「安価でシンプルなロボット」を追求したという。

同社の自動収穫ロボットの必要性を調査をした結果、
「野菜を収穫する人手が足りないために規模拡大へ踏み切ることができない。ロボットが収穫してくれればもっと稼げるようになる。安価でシンプルで、目に見えるところだけでも収穫できる精度があれば、すぐに購入を検討したい。」
という声もあったそうだ。

2020年の1月からは、宮崎県新富町でピーマンを栽培する施設園芸場での運用が予定されており、データ分析や耐久性の改善を行いながら、2020年4月以降には生産・販売を開始したい考えだ。

「スマート農業サミット in 宮崎」で実演


同社の自動収穫ロボットは、2019年11月10日に新富アグリバレーで開催された「スマート農業サミット in 宮崎」にも出展され、取締役COOである高橋慶彦氏が実演。ピーマン5個の連続収穫に成功した。

「スマート農業サミット in 宮崎」で自動収穫ロボットのデモを披露するアグリスト取締役社長COOの高橋登壇する高橋慶彦 取締役COO

「スマート農業サミット in 宮崎」に来場された農家からは応援と購入希望が多数
当日は「どのぐらいの精度まで仕上げていくのか」「いつから発売するのか」など購入に前向きな感想が多数あったそう。

100年先も続く農業の実現を目指して


同社が本社を置く、宮崎県児湯郡新富町(人口約17000人)は、農業のデジタルトランスフォーメーションを推進しており、地方創生の優良事例にも選ばれている。

同社では今後「100年先も続く農業の実現」を目指し、産学官での連携も深めながら、収穫のほか気温や湿度などハウス内環境データの収集・分析、AIを活用した収量の最適化や病気の早期発見など、農業のデジタルトランスフォーメーションに貢献していく方針だ。


AGRIST(アグリスト)株式会社
https://agrist.co/
合同会社Next Technology
http://www.next-tech.co.jp/

一般財団法人こゆ地域づくり推進機構
https://koyu.miyazaki.jp/

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  1. 福田浩一
    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
  2. さとうまちこ
    さとうまちこ
    宮城県の南の方で小さな兼業農家をしています。りんご農家からお米と野菜を作る農家へ嫁いで30余年。これまで「お手伝い」気分での農業を義母の病気を機に有機農業に挑戦すべく一念発起!調理職に長く携わってきた経験と知識、薬膳アドバイザー・食育インストラクターの資格を活かして安心安全な食材を家族へ、そして消費者様に届けられるよう日々奮闘中です。
  3. 北島芙有子
    北島芙有子
    トマトが大好きなトマト農家。大学時代の農業アルバイトをきっかけに、非農家から新規就農しました。ハウス栽培の夏秋トマトをメインに、季節の野菜を栽培しています。最近はWeb関連の仕事も始め、半農半Xの生活。
  4. 川島礼二郎
    川島礼二郎
    1973年神奈川県生まれ。筑波大学第二学群農林学類卒業。フリーラインスの編集ライターとして、テクノロジーをキーワードに、農業雑誌・自動車雑誌などで執筆・編集活動中。
  5. 柏木智帆
    柏木智帆
    米・食味鑑定士/お米ライター/ごはんソムリエ神奈川新聞の記者を経て、福島県の米農家と結婚。年間400種以上の米を試食しながら「お米の消費アップ」をライフワークに、執筆やイベント、講演活動など、お米の魅力を伝える活動を行っている。また、4歳の娘の食事やお弁当づくりを通して、食育にも目を向けている。プロフィール写真 ©杉山晃造
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