約半数の農家がアルバイトを雇用、「農業アルバイトに関する現状と意識調査」発表

マイナビ農業は、農家697名、消費者1936名に調査を行った「農業アルバイトに関する現状と意識調査」の集計結果を発表した。

また、農業の人手不足問題の解決を目指すため、マイナビ農業が運営する人材マッチングアプリ「農mers」は、住友化学株式会社が運営する農業関連の総合情報サービス「つなあぐ」とのユーザーID連携を開始した。


消費者の多くが「農業バイトに興味がある」と回答


農業バイトについて調査を行ったところ、「興味はあるが経験がない」が61.2%、「興味がありアルバイトをしたことがある」16.3%となり、消費者のうち77.5%の人が農業バイトに「興味がある」と回答した。

経験がない理由については、「体力に自信がない(20.3%)」が最も多く、「周りに農家がおらず、縁遠い印象がある(19.5%)」、「農業経験がなく、仕事が務まるか自信がない(19.4%)」という意見もあがったという。


一方、農家に対する調査では、57.7%が「アルバイト雇用をしている」と回答。農家がアルバイトを採用する際に大切にしていることについては、「真面目、熱心に取り組んでくれそう(26.7%)」と回答した人が多く、次に「挨拶など最低限のマナーがある(17.9%)」という回答が見られた。これにより、経験よりも意欲とマナーを重視していることがわかったという。


調査に関するコメント
マイナビ農業事業責任者 横山拓哉氏



「本調査結果から、消費者の7割以上が農作業に興味があることがわかりました。農家がアルバイトを採用する際に大切にしていることは真面目さや挨拶などの最低限のマナーが上位となり、必ずしも経験や知識を求めているわけではないようですが、消費者は体力に自信がなく、農業バイトの探し方もわからないため応募に至っていないと考えられます」

さらに、マイナビ農業が運営する、人手不足に悩む農家と農作業を手伝いたい人をマッチングするアプリ「農mers」は、農業界の人手不足問題を解決することを目指し、住友化学が提供する農業関連の総合情報サービス「つなあぐ」と、ユーザーIDおよびポイントの連携を開始した。

農mersは、メッセージのやりとりを通じて農家と農作業を手伝いたい人をつなぐ人材マッチングアプリだ。農家は手伝ってほしい作業内容を登録し、農業を始めたい人は希望条件や自分のスキルを登録する。

つなあぐは、農業ニュースやコラムの掲載、病害虫のAI判定や青果市況の閲覧など、複数のアプリを組み合わせたデジタルプラットフォーム。情報閲覧や機能利用でポイントが貯まるサービスもあり、貯めたポイントは電子ギフトや日用品などに交換できる。



農業界では人手不足が深刻な課題となっており、住友化学もこの課題に強い問題意識を持っているという。両社はそれぞれの理念に共感し、互いの強みを活かしながら連携することで、共通の課題解決に向けた取り組みが実現した。

今回の連携により、農mersの利用者とつなあぐを活用する全国の農家がスムーズにつながり、農作業への参加機会が広がるとしている。今後は、農mersの利用や農作業の受け入れ実績に応じてポイントを付与する機能の開発や、機能改善も視野に入れていき、農業への新たな関わり方を創出していく。


マイナビ農業
https://agri.mynavi.jp/

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  1. 福田浩一
    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
  2. 北島芙有子
    北島芙有子
    トマトが大好きなトマト農家。大学時代の農業アルバイトをきっかけに、非農家から新規就農しました。ハウス栽培の夏秋トマトをメインに、季節の野菜を栽培しています。最近はWeb関連の仕事も始め、半農半Xの生活。
  3. 柏木智帆
    柏木智帆
    米・食味鑑定士/お米ライター/ごはんソムリエ神奈川新聞の記者を経て、福島県の米農家と結婚。年間400種以上の米を試食しながら「お米の消費アップ」をライフワークに、執筆やイベント、講演活動など、お米の魅力を伝える活動を行っている。また、4歳の娘の食事やお弁当づくりを通して、食育にも目を向けている。プロフィール写真 ©杉山晃造
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    鈴木かゆ
    1993年生まれ、お粥研究家。「おかゆ好き?嫌い?」の問いを「どのおかゆが好き?」に変えるべく活動中。お粥の研究サイト「おかゆワールド.com」運営。各種SNS、メディアにてお粥レシピ/レポ/歴史/文化などを発信中。JAPAN MENSA会員。
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    田牧一郎
    日本で15年間コメ作りに従事した後、アメリカに移り、精米事業、自分の名前をブランド化したコメを世界に販売。事業売却後、アメリカのコメ農家となる。同時に、種子会社・精米会社・流通業者に、生産・精米技術コンサルティングとして関わり、企業などの依頼で世界12カ国の良質米生産可能産地を訪問調査。現在は、「田牧ファームスジャパン」を設立し、直接播種やIoTを用いた稲作の実践や研究・開発を行っている。
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