山梨県、「有機薄膜太陽電池」を活用したぶどう栽培で着色向上
山梨県は、世界初となる「有機薄膜太陽電池をぶどう棚で活用した、県オリジナル品種『サンシャインレッド』の着色を向上させる実証実験」の現地説明会を2025年8月27日(水)に開催した。

山梨県では、農業分野における地球温暖化の抑制対策を図るため、同県の強みであるグリーン水素や再生可能エネルギー等の地域資源を活用したエネルギーの自給自足システムの確立に向けた取り組みを行っている。
2025年7月から開始された今回の実証実験は、ぶどう園の簡易雨よけに「有機薄膜太陽電池」を設置。有機薄膜太陽電池によって発電した電力を活用して山梨県が開発した赤ぶどうのオリジナル品種「サンシャインレッド」の着色向上を図るものだ。

これまではぶどうを着色させるために樹の下に白色のマルチを敷き、果房に光を反射させていた。
実証実験では、有機薄膜太陽電池により昼間に発電した電力をバッテリーに蓄電し、夜間にLEDライトの光をぶどうに照射。また、有機薄膜太陽電池は光を通す素材でできているため、太陽光をぶどうにあてることもできる。透過した太陽光と、有機薄膜太陽電池によって得られた電力を使った夜間のLEDライト照射の両方によりぶどうの着色が向上した。
従来の太陽電池は黒く光を通さない素材で柔軟性に乏しいことから、農地での使用に適していなかったが、有機薄膜太陽電池は透明度が高く、光を通すため植物の生育を妨げずに発電と栽培を両立できる特性を有している。さらに、透過する光の種類を制御できるため、農業分野における応用が期待されている。
【実証で使用した有機薄膜太陽電池の仕様】
・面積:6平方メートル (1.0m×0.3m×20枚)
・厚さ:0.3mm(発電層は数百ナノメートル)
・重さ:0.4kg/平方メートル
・発電量・効率:日射量により変動(実証中)

現地説明会では、有機薄膜太陽電池のぶどう畑での活用や発電の仕組みについて、共同研究者である公立諏訪東京理科大学の渡邊康之教授による説明が行われたほか、ほ場の視察としてLED照射区と非照射区を比較し、参加者が照射区のぶどう着色状況について確認した。また、有機薄膜太陽電池を活用して着色が向上したサンシャインレッドの試食も行われた。

公立諏訪東京理科大学 渡邊康之教授のコメント
「今回の実証は『発電』と『農業栽培』の両立を目的として『サンシャインレッド』の栽培を行った。従来の『ソーラーシェアリング』とは異なり、『ソーラーマッチング』という独自の概念を採用している。有機薄膜太陽電池は、色の選択性と再現性に優れており、軽量で光を透過できることが特徴だ。ペロブスカイト太陽電池と混同されることがあるが、この技術は有機物を使用し、鉛やスズを含まないため安全性が高い。果樹での実証は初の試みであり、少し心配もあったが今日の様子を見る限り、うまくいったようで安心している。有機薄膜太陽電池は農業分野で非常に期待が高い技術で、山梨県とタッグを組んで、取り組んでいきたい」

山梨県長崎知事コメント
「より良い農業・生産システムを構築するという意味では、本当に有望である。ぶどうについては、雨よけとして設置した有機薄膜太陽電池の電力を利用し、LEDを照射することで着色を向上させ、単価を上げることができる。このようにして、ぶどうの高付加価値化が図られる。最終的には、ビニールハウス全体をこの技術で覆い、そこで発電した電力を用いて水素を製造し、その水素をハウス内の加温に利用することで、カーボンフリーはもちろん、エネルギー自体を自給する農業体系の構築を目指す。原油価格の高騰など、さまざまな状況においても農家経営にとってプラスとなり、安定的な経営につながるよう、ひとつひとつ着実に取り組みを進めていきたい」
同実証は2027年まで継続し、実用化につなげていく予定。山梨県では、今回の実証実験に加え、水素を活用した農業用ハウスでの加温試験の実証にも取り組んでおり、今後はこれらの取り組みを通じて、カーボンフリー農業の先進県として脱炭素社会への貢献モデルの構築を目指すとしている。
山梨県
https://www.pref.yamanashi.jp/

山梨県オリジナル品種「サンシャインレッド」の着色が向上
山梨県では、農業分野における地球温暖化の抑制対策を図るため、同県の強みであるグリーン水素や再生可能エネルギー等の地域資源を活用したエネルギーの自給自足システムの確立に向けた取り組みを行っている。
2025年7月から開始された今回の実証実験は、ぶどう園の簡易雨よけに「有機薄膜太陽電池」を設置。有機薄膜太陽電池によって発電した電力を活用して山梨県が開発した赤ぶどうのオリジナル品種「サンシャインレッド」の着色向上を図るものだ。

山梨県のオリジナル品種「サンシャインレッド」
これまではぶどうを着色させるために樹の下に白色のマルチを敷き、果房に光を反射させていた。
実証実験では、有機薄膜太陽電池により昼間に発電した電力をバッテリーに蓄電し、夜間にLEDライトの光をぶどうに照射。また、有機薄膜太陽電池は光を通す素材でできているため、太陽光をぶどうにあてることもできる。透過した太陽光と、有機薄膜太陽電池によって得られた電力を使った夜間のLEDライト照射の両方によりぶどうの着色が向上した。
従来の太陽電池は黒く光を通さない素材で柔軟性に乏しいことから、農地での使用に適していなかったが、有機薄膜太陽電池は透明度が高く、光を通すため植物の生育を妨げずに発電と栽培を両立できる特性を有している。さらに、透過する光の種類を制御できるため、農業分野における応用が期待されている。

【実証で使用した有機薄膜太陽電池の仕様】
・面積:6平方メートル (1.0m×0.3m×20枚)
・厚さ:0.3mm(発電層は数百ナノメートル)
・重さ:0.4kg/平方メートル
・発電量・効率:日射量により変動(実証中)

現地説明会では、有機薄膜太陽電池のぶどう畑での活用や発電の仕組みについて、共同研究者である公立諏訪東京理科大学の渡邊康之教授による説明が行われたほか、ほ場の視察としてLED照射区と非照射区を比較し、参加者が照射区のぶどう着色状況について確認した。また、有機薄膜太陽電池を活用して着色が向上したサンシャインレッドの試食も行われた。

公立諏訪東京理科大学 渡邊康之教授のコメント
「今回の実証は『発電』と『農業栽培』の両立を目的として『サンシャインレッド』の栽培を行った。従来の『ソーラーシェアリング』とは異なり、『ソーラーマッチング』という独自の概念を採用している。有機薄膜太陽電池は、色の選択性と再現性に優れており、軽量で光を透過できることが特徴だ。ペロブスカイト太陽電池と混同されることがあるが、この技術は有機物を使用し、鉛やスズを含まないため安全性が高い。果樹での実証は初の試みであり、少し心配もあったが今日の様子を見る限り、うまくいったようで安心している。有機薄膜太陽電池は農業分野で非常に期待が高い技術で、山梨県とタッグを組んで、取り組んでいきたい」

山梨県長崎知事コメント
「より良い農業・生産システムを構築するという意味では、本当に有望である。ぶどうについては、雨よけとして設置した有機薄膜太陽電池の電力を利用し、LEDを照射することで着色を向上させ、単価を上げることができる。このようにして、ぶどうの高付加価値化が図られる。最終的には、ビニールハウス全体をこの技術で覆い、そこで発電した電力を用いて水素を製造し、その水素をハウス内の加温に利用することで、カーボンフリーはもちろん、エネルギー自体を自給する農業体系の構築を目指す。原油価格の高騰など、さまざまな状況においても農家経営にとってプラスとなり、安定的な経営につながるよう、ひとつひとつ着実に取り組みを進めていきたい」
同実証は2027年まで継続し、実用化につなげていく予定。山梨県では、今回の実証実験に加え、水素を活用した農業用ハウスでの加温試験の実証にも取り組んでおり、今後はこれらの取り組みを通じて、カーボンフリー農業の先進県として脱炭素社会への貢献モデルの構築を目指すとしている。
山梨県
https://www.pref.yamanashi.jp/
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