LAND INSIGHT、衛星データ×AIを用いた中山間地域の農地維持支援を栃木県で開始

LAND INSIGHT株式会社は、栃木県内18市町を対象に、中山間地域の農地維持に向けたデータ分析および可視化ツールの提供事業を開始する。

同事業では衛星データや地形データをAIで分析し、中山間地域支援事業の交付対象となり得る農地を可視化することで、制度が適用されているまたはされる可能性がありながら、交付を受けていない地域を特定。これにより、栃木県内から集落への制度活用の働きかけを支援するとともに、対象農地の確認や申請に伴う行政業務の負担軽減を目指す。


栃木県内の中山間地域

衛星データ×AIを活用し、栃木県の農業課題解決を推進


LAND INSIGHTは、福島県南相馬市で宇宙関連事業に関する各種コンサルティング業務、調査・研究・普及活動支援などを行う企業。農業行政の現地調査を効率化するサービス「圃場DX」を全国218以上の自治体に展開している。

中山間地域等の農業生産条件が不利な地域を対象とした国の「中山間地域等直接支払制度」は、法律で定められたエリアが中心となっており、実質的に厳しい営農環境にありながら制度の対象から外れている集落が存在する。支援の必要性を客観的に評価し、県が独自判断で支援対象を広げる「特認地域」の指定制度があるものの、ここ5~10年の変化をとらえた最新のデータが十分に整理されていなかった。

また、近年、全国的にもどの農地でどのような作物が作られていたか、あるいは作れるかといった実態を把握できず、農地が放置される事態が生じている。鳥獣被害の深刻化や防災機能の低下といった地域課題への波及も懸念されていることから、LAND INSIGHTは農地の実態を客観的に可視化するデータインフラが必要だと考えた。

今回の事業では、データ基盤を構築することで、条件不利な地域をより正確に把握し、条件不利な地域や県内集落の実態を、客観的なデータに基づいて把握するための分析を行う。


衛星データとAIを組み合わせることで、従来の調査手法では見落とされていた新たな事実の発見につながる可能性があるという。通常の統計データや地図化にとどまらず、衛星画像とAIを活用して過去約20年間の土地利用の変化を実際に測定することで、これまで自治体や農家からの自己申告に依存しがちだった統計データと実態とのギャップを可視化・補正し、支援が必要な地域の見極めに高い客観性と根拠を持たせるとしている。

また、これまで農地区画に関する情報は、アナログな手法を中心に管理されてきた。同社が前年度に栃木県内で実施した「現況農地区画のデータ化・地図可視化」の実証事業では、県内全25市町村を対象に70万筆の農地区画のデータ化に関する業務を受注。そこで培ったデータ整理の実績や地域特性に関するノウハウをダイレクトに活かし、迅速かつ高精度な事業推進の実現を目指す。

具体的な取り組み内容は以下のとおり。

1.詳細な過去データを整理
栃木県内18市町を対象に、人口・農家数・耕作放棄地などの各種統計データを、現在の市町村区分よりさらに細かい「旧市町村単位」まで遡って集計・整理する。

2.データ可視化ツールを構築
集計したデータを基に、県職員自身が「どの集落が条件不利な状況にあるか」を確認・比較できるツールを構築する。

3.地形データ等を組み合わせた将来推計
統計データに加え、地形データや地理情報を掛け合わせることで、対象地域の5年後・10年後の営農環境や耕作放棄の発生予測を算定する。


栃木県農村振興課 担当職員のコメント
小さな集落ほど、草刈作業や共同活動の仕組みが農村風景やコミュニティの維持に直結する面があり、中山間地域等直接支払制度は重要な支援策の1つです。各種の中山間地域対策は、統計データを踏まえて対象地域を設定していますが、ここ10年間の変化と将来予測により、きめ細かな対応を検討し、より迅速に対象エリアや農地が判別できることが目指されます。 同時に、住民側も自治体側も限られた人員で集中して取り組むべきことは何か、将来的な議論も大切です。そのため、過疎化や高齢化のマイナスイメージにとらわれず、衛星データと経営構造を組み合わせた解析により、栃木県の中山間地域の強みとなるビジネスや人の流れを見い出す事業となることを期待しています。

 

LAND INSIGHT 代表取締役社長 遠藤嵩大氏

LAND INSIGHTは、今回の実証を通じて、栃木県内の条件不利地域や人口減少が進む集落の実態を、客観的なデータに基づいて把握できる仕組みを構築し、県や市町職員が支援の必要性を検討する際の材料をより正確に整えることを目指す。

また将来的には、栃木県で培ったデータ整理・分析の手法を、同様の課題を抱える全国の中山間地域へ展開し、農地の維持・管理や担い手不足といった課題の解決を支援していきたいとしている。


LAND INSIGHT株式会社
https://landinsight.space/
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  1. 福田浩一
    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
  2. 北島芙有子
    北島芙有子
    トマトが大好きなトマト農家。大学時代の農業アルバイトをきっかけに、非農家から新規就農しました。ハウス栽培の夏秋トマトをメインに、季節の野菜を栽培しています。最近はWeb関連の仕事も始め、半農半Xの生活。
  3. 柏木智帆
    柏木智帆
    米・食味鑑定士/お米ライター/ごはんソムリエ神奈川新聞の記者を経て、福島県の米農家と結婚。年間400種以上の米を試食しながら「お米の消費アップ」をライフワークに、執筆やイベント、講演活動など、お米の魅力を伝える活動を行っている。また、4歳の娘の食事やお弁当づくりを通して、食育にも目を向けている。プロフィール写真 ©杉山晃造
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    鈴木かゆ
    1993年生まれ、お粥研究家。「おかゆ好き?嫌い?」の問いを「どのおかゆが好き?」に変えるべく活動中。お粥の研究サイト「おかゆワールド.com」運営。各種SNS、メディアにてお粥レシピ/レポ/歴史/文化などを発信中。JAPAN MENSA会員。
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    田牧一郎
    日本で15年間コメ作りに従事した後、アメリカに移り、精米事業、自分の名前をブランド化したコメを世界に販売。事業売却後、アメリカのコメ農家となる。同時に、種子会社・精米会社・流通業者に、生産・精米技術コンサルティングとして関わり、企業などの依頼で世界12カ国の良質米生産可能産地を訪問調査。現在は、「田牧ファームスジャパン」を設立し、直接播種やIoTを用いた稲作の実践や研究・開発を行っている。