持続可能な農業に取り組む団体を表彰する「GAP Japan アワード 2026」受賞者が決定

一般財団法人日本GAP協会は、GAP(Good Agricultural Practices)の普及を一層推進し、持続可能な農業の未来を切り拓く、優れた取り組みを表彰する「GAP Japan アワード 2026」の受賞者を決定した。受賞者は、2026年11月20日(金)に開催されるシンポジウム「GAP Japan 2026」で表彰される。



GAPを活用・普及推進させる優れた取り組みを表彰


GAPとは「Good Agricultural Practices」の頭文字を取ったもので、農産物を生産するうえで生産者が守るべき取り組みのことを指す。日本語では「良い農業の取り組み」と訳される。

日本GAP協会が運営するJGAP/ASIAGAPは、食品安全、環境保全、労働安全、農場管理、人権の尊重、家畜衛生やアニマルウェルフェア(動物福祉)の取り組みを基礎とした農場の認証制度であり、持続可能な農業の実現、SDGsの推進に貢献するものだ。

「GAP Japan アワード」は、年に一度、GAPの普及を推進し、持続可能な農業の未来を切り拓く、優れた取り組み事例を表彰するもの。今年度は、一般部門としてイシハラフーズ株式会社(宮崎県)、株式会社ヨークベニマル(福島県)、株式会社One(石川県)、教育部門として三重県立農業高校5校の受賞が決定した。

イシハラフーズ株式会社「畑から食卓、そして地域へ。JGAPを軸に進化するイシハラフーズの農業経営」




【活動概要】
イシハラフーズは、宮崎県都城市で、自社農場における野菜の生産から急速冷凍加工、冷凍野菜の販売までを行っており、2020年にJGAP認証を取得している。作業管理アプリや二次元コードを活用して圃場や作業情報を一元管理し、大規模な農場の効率的な管理やトレーサビリティの強化につなげている。

また、農業未経験者の育成や動画を活用した教育、資格取得支援などの人材育成を進めるほか、視察や勉強会、収穫体験などを通じて、地域へのGAP普及にも取り組んでいる。

【受賞のポイント】
経営改善や人材育成を行うため、JGAPを農場経営の基盤として活用。食品メーカーでありながら自ら大規模な農業生産を行い、JGAPを軸にDX、食品安全、働き方の改善などを一体的に進めている点が評価された。さらに、農場だけで完結せず、加工・販売、消費者への情報発信、地域との連携まで取り組みを広げ、食品メーカーによる農場経営の一つの方向性を示している。


株式会社ヨークベニマル「産地・消費者をつなぐ、ヨークベニマルのGAP推進」



【活動概要】
ヨークベニマルは、スーパーマーケット事業を行う企業で、福島県を中心に宮城県、山形県、栃木県、茨城県の5県に広く店舗展開している。2017年に「GAP取組み計画」を策定し、青果担当者を中心にJGAP指導員を育成。2026年8月までに社員、生産者、取引先等125人が基礎研修を受講し、認証取得を目指す産地にはJGAP上級指導員を派遣している。

2023年にプライベートブランドである「三ツ星農産物」の基準にJGAP認証を加え、2025年度には三ツ星農産物に占める認証農産物の割合が30%を超えた。また、JGAP認証野菜を使用した商品開発やGAPフェア、店頭での販売・情報発信を通じて、消費者への周知にも取り組んでいる。

【受賞のポイント】
社員がJGAPを理解したうえで産地に出向き、認証取得を支援するとともに、産地のJGAPへの取組を実際の調達・販売につなげている点が高く評価された。認証取得を産地に求めるだけでなく、人材育成や産地への支援から、認証農産物の調達・商品化・販売、消費者への情報発信まで一体的に進めており、産地と消費者をつなぐ小売業ならではのGAP推進を実践している。


株式会社One「AIと現場の力で進化するGAPマネジメント」




【活動概要】
石川県金沢市でれんこんなどを生産しているOneは、新しい持続可能な農業モデルの確立を目指して「面積を増やさず収益を上げる」を掲げており、JGAPの管理点や自社のリスク評価表を汎用AIに学習させ、リスクの洗い出しや対策の検討に活用。品目ごとにリーダーを置き、季節に応じて役割を交代する体制も導入している。

農福連携にも取り組むほか、行政等と連携した講演や視察受け入れを計18回、延べ1111人に実施し、地域や次世代へのGAP普及にも取り組んでいる。

【受賞のポイント】
JGAPを農業経営の基盤として、AIなどの新しい技術を取り入れながら、現場の従業員が自ら考え、改善を進める“人”中心のGAPマネジメントの実践が評価された。経営者から現場への権限委譲によるボトムアップ型の組織づくりとGAPを結びつけ、新しい技術と現場の力を生かした農業経営のあり方を示している。


三重県立農業高校5校(三重県)「農業高校5校がつながり拓く、持続可能な農業の未来」



【活動概要】
四日市農芸、久居農林、相可、明野、伊賀白鳳の県立農業高校5校が連携し、米、茶、豚肉、日本なし、ぶどうなど多様な品目でGAP認証を取得。「総合実習」「課題研究」等の授業を通じて、生徒が農場でGAPを実践している。

GAP食材を使った料理や商品開発、販売実習、県産業教育フェアでのPRなど、生徒が主体となってGAPの価値を消費者や地域に伝える活動にも取り組んでいる。

【受賞のポイント】
県立農業高校全5校が、県農林水産部や県教育委員会と連携し、持続可能なGAP教育を推進する体制を構築している点が高く評価された。学校や担当する教員が変わっても継続できる体制のもと、生徒がGAPを学び、実践することで、課題解決力やコミュニケーション能力を養う学習体制を充実させ、県全体で次世代へつなぐ農業教育の仕組みを構築している。


選考委員(五十音順)
齋藤 一志氏(公益社団法人 日本農業法人協会会長)
田口 光弘氏(農研機構 中日本農業研究センター 経営支援研究部 次世代経営体育成グループ長)
針原 寿朗氏(一般財団法人 日本GAP協会 評議員/元農林水産省 農林水産審議官)
福井 栄治氏(一般社団法人 日本野菜ソムリエ協会 理事長)


シンポジウム「GAP Japan 2026」で表彰式を開催



受賞者の表彰式と記念講演は、2026年11月20日(金)に開催されるシンポジウム「GAP Japan 20026」にて行われる。なお、オンラインでの参加も可能となっている。

同シンポジウムでは、表彰式・記念講演の他、実業家の堀江貴文氏を迎え、基調対談や講演、同協会からの発表も行うとしている。シンポジウム終了後には、懇親会を開催。会場参加者は自由に参加可能で、JGAP認証の農畜産物を使用した料理の提供も行われる。

【講演プログラム(予定)】
「これからの農政とGAPの役割」
農林水産省 大臣官房 生産振興審議官(兼農産局) 秋葉 一彦氏
「JGAPの次なる展開 ― DX・基準改定・GHGへの挑戦」
一般財団法人 日本GAP協会 代表理事専務 荻野 宏氏
基調対談「ホリエモンと考える、日本農業の次の一手」
堀江 貴文氏

開催概要

「GAP Japan 2026 ~GAPと農業の未来を語ろう~」
日時:2026年11月20日(金)13:00~17:30
場所:有明セントラルタワーホールA(東京都江東区有明3-7-18)/オンライン参加
料金:会場参加 【日本GAP協会会員】3,000円 【一般】6,000円 /オンライン参加無料
申込:https://jgap.jp/gapjapan2026/index.html
〆切:2026年11月9日(月)


一般財団法人日本GAP協会
https://jgap.jp/ 
イシハラフーズ株式会社
https://www.ishihara-foods.com/
ヨークベニマル株式会社
https://yorkbenimaru.com/
株式会社One
https//www.one2013.com/
SHARE

最新の記事をFacebook・メールで
簡単に読むことが出来ます。

RANKING

WRITER LIST

  1. 福田浩一
    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
  2. 北島芙有子
    北島芙有子
    トマトが大好きなトマト農家。大学時代の農業アルバイトをきっかけに、非農家から新規就農しました。ハウス栽培の夏秋トマトをメインに、季節の野菜を栽培しています。最近はWeb関連の仕事も始め、半農半Xの生活。
  3. 柏木智帆
    柏木智帆
    米・食味鑑定士/お米ライター/ごはんソムリエ神奈川新聞の記者を経て、福島県の米農家と結婚。年間400種以上の米を試食しながら「お米の消費アップ」をライフワークに、執筆やイベント、講演活動など、お米の魅力を伝える活動を行っている。また、4歳の娘の食事やお弁当づくりを通して、食育にも目を向けている。プロフィール写真 ©杉山晃造
  4. 鈴木かゆ
    鈴木かゆ
    1993年生まれ、お粥研究家。「おかゆ好き?嫌い?」の問いを「どのおかゆが好き?」に変えるべく活動中。お粥の研究サイト「おかゆワールド.com」運営。各種SNS、メディアにてお粥レシピ/レポ/歴史/文化などを発信中。JAPAN MENSA会員。
  5. 田牧一郎
    田牧一郎
    日本で15年間コメ作りに従事した後、アメリカに移り、精米事業、自分の名前をブランド化したコメを世界に販売。事業売却後、アメリカのコメ農家となる。同時に、種子会社・精米会社・流通業者に、生産・精米技術コンサルティングとして関わり、企業などの依頼で世界12カ国の良質米生産可能産地を訪問調査。現在は、「田牧ファームスジャパン」を設立し、直接播種やIoTを用いた稲作の実践や研究・開発を行っている。