AIアプリで米の異品種混入を判別する「RiceTagプロジェクト」の実証実験が成功

青森県で総合米穀卸業を展開する株式会社KAWACHO RICEと東北地方に本拠を置く株式会社ヘプタゴンは、「AIを活用した米の銘柄判定アプリ」の実現を目指した「RiceTagプロジェクト」の実証実験に成功した。

この実証実験は、米の流通過程における異品種混入を防止するために両社が開発を進める「米の銘柄判定アプリ」の精度を確認したもの。両社は2019年の着手からおよそ1年をかけてこのアプリを開発したという。

KAWACHO RICEは、青森県三沢市を本拠に米穀の集荷事業や卸売事業を手がける地域企業。米穀の集荷業務を担う事業所は、浪岡支店(青森県)と能代支店(秋田県)の2か所で、「すべては米からはじまる」という経営理念のもと、生産から消費までの米流通に関わる事業を展開している。

同社では、検査米や備蓄米、輸出米等の集荷実績によるノウハウを活用して、米作りにおけるリスクヘッジを第一に考えた栽培プランの提案や支援も実施。消費者のニーズに合わせた商品開発および販売活動も進める。

一方、ヘプタゴンは、東北地方に本拠を置く企業が提供する各種サービスのクラウド化やデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進する企業で、本社はKAWACHO RICEと同じ青森県三沢市にある。
同社は、「世界中の顔を知らない100万人よりも自分たちの身近な100人をクラウドで幸せにする」を経営理念に、ビジネスの地産地消という新しいビジネスモデルを展開している。

米の流通過程における異品種の具体的データも収集


現在、米の流通過程における異品種混入は、専門の資格を保有する検査員の目視によって厳しくチェックされているが、混入していた異品種に関する具体的なデータについては示すことができない状況にある。

実証実験では青森県産の米4銘柄および秋田県産の米4銘柄を対象に、無作為に抽出した複数の米粒を両社が開発したスマートフォンアプリで撮影。実験の結果では、銘柄チェックの資格を保有する検査員よりも高い正解率が確認できたという。

実証実験に使用されたサンプリング米
アプリに表示された判定結果
KAWACHO RICE代表取締役社長の川村 靜功氏は、主食の多様化がもたらした米離れの影響を受けた業界の動向についてコメントした。

「業界では、商習慣や流通システム、検査方法などの見直しが始まっております。いろいろな事例を聞いているうちに思いついたのが、お米の銘柄を判別するAIのアイデアでした。しかも、専用のアプリを起動し、スマホのカメラで撮影するだけで判定が可能な簡易システムです」

今回の実証実験の結果を受け、安全・安心かつ銘柄のブランドが保証されたお米を消費者に届けるため、引き続き関係各社と共にプロジェクトを展開していく考えだ。今後は、検査員の負担減および流通過程における実用化に向けた開発を進める方針だ。


株式会社KAWACHO RICE
https://kawachorice.co.jp/
株式会社ヘプタゴン
https://heptagon.co.jp/
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  1. 田牧一郎
    田牧一郎
    日本で15年間コメ作りに従事した後、アメリカに移り、精米事業、自分の名前をブランド化したコメを世界に販売。事業売却後、アメリカのコメ農家となる。同時に、種子会社・精米会社・流通業者に、生産・精米技術コンサルティングとして関わり、企業などの依頼で世界12カ国の良質米生産可能産地を訪問調査。現在は、「田牧ファームスジャパン」を設立し、直接播種やIoTを用いた稲作の実践や研究・開発を行っている。
  2. 福田浩一
    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
  3. 石坂晃
    石坂晃
    1970年生まれ。千葉大学園芸学部卒業後、福岡県の農業職公務員として野菜に関する普及指導活動や果樹に関する品種開発に従事する一方、韓国語を独学で習得(韓国語能力試験6級)。退職後、2024年3月に玄海農財通商合同会社を設立し代表に就任、日本進出を志向する韓国企業・団体のコンサルティングや韓国農業資材の輸入販売を行っている。会社HP:https://genkai-nozai.com/home/個人のブログ:https://sinkankokunogyo.blog/
  4. 川島礼二郎
    川島礼二郎
    1973年神奈川県生まれ。筑波大学第二学群農林学類卒業。フリーラインスの編集ライターとして、テクノロジーをキーワードに、農業雑誌・自動車雑誌などで執筆・編集活動中。
  5. 堀口泰子
    堀口泰子
    栄養士、食アスリートシニアインストラクター、健康・食育シニアマスター。フィットネスクラブ専属栄養士を経て独立。アスリートの食事指導や栄養サポートの他、離乳食から介護予防まで食を通じて様々な食育活動を行う。料理家としても活動し、レシピ提案、商品開発も担う。食事は楽しく、気負わず継続できる食生活を伝えることを信条とする。スポーツの現場ではジュニアの育成、競技に向き合うための心と体の成長に注力している。HP:https://eiyoushiyakko.jimdofree.com/
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