NTT東日本、ローカル5Gによる「スマート農機の遠隔監視制御等の実証実験」を北海道岩見沢市でスタート

NTT東日本は、総務省が実施する「地域課題解決型ローカル5G等の実現に向けた開発実証」および農林水産省が推進する「スマート農業実証プロジェクト(ローカル5G)」で構築が完了した「ローカル5G Sub6・SA方式」を活用した「スマート農機の遠隔監視制御等の実証実験」を北海道岩見沢市北村地区で開始した。

最先端技術を活用したスマート農業普及へ


農業の労働力減少が加速している中、生産性の向上や農業者一人当たりの圃場面積拡大の切り札ともなるスマート農業への期待が高まっている。

産学官および先進農業者を中心に岩見沢市スマート・アグリシティ実証コンソーシアム(以下、コンソーシアム)※を構成、5G の技術特性である「超高速・超低遅延・多数同時接続」を用いたロボットトラクター等スマート農機の「遠隔監視制御」実現に向けた安全性の確立等を実証するほか、これら最先端技術を用いた「スマート農業」の社会実装を促すための地域環境づくりや整備した通信環境を農村地域の防災や生活領域にも利活用する検討に取り組むなど農村地域における Society5.0 実現を目指しています。

NTT東日本ほか産学官および先進農業者等で構成された岩見沢市スマート・アグリシティ実証コンソーシアムでは、5Gの技術特性である「超高速・超低遅延・多数同時接続」を用いて、ロボットトラクター等の遠隔監視制御の安全性を実証し、スマート農業の実装を促進する通信環境の整備と農村地域におけるSociety5.0の実現を目指している。

出典:NTT東日本 北海道事業部|岩見沢市におけるローカル5Gの実証
ローカル5Gとは、敷地内等をカバーエリアに、事業者が独自のエリアを構築できる5Gネットワークを指す。
ローカル5Gではミリ波と呼ばれる28GHz帯を利用したNSA(ノン・スタンド・アローン)方式が一般的とされているが、4Gと5Gの2つの無線規格を使う必要があることから、コスト面においての課題が指摘されていた。

ローカル5Gを活用した実証実験の内容


今回の実証試験で活用されているローカル5Gは、伝播範囲が広く遮蔽物にも強い、5Gのみを使用したSA(スタンド・アローン)と呼ばれる方式のものとなる。実証内容およびコンソーシアムのメンバーは下記の通りだ。

実証内容
・ローカル5Gを用いた高精細かつ低遅延の映像伝送により、ロボットトラクタ等、無人の自動運転農機を圃場から約10km離れた遠隔監視センタにて適切に運用・遠隔監視・制御する実証

・自動運転農機や圃場に設置する各種センサーから取得される生育データ等ビッグデータの送受信・集積等に関する実証

・既存BWAや最新のLPWA(802.11ah)など多様な通信ネットワークとの組み合わせによる幅広い領域で最適なネットワークを利活用する実証(映像やセンサーを用いた排水路監視、スマートウェアによる健康管理)

・ルーラル環境における4.7GHz 帯の屋外利用実現に向けた遮蔽物に対する性能評価、ローカル5Gとキャリア5Gの準同期運用を含めた共用検討

・スマート農機の地域実装を促進するための環境形成・ビジネスモデル検討

コンソーシアムのメンバー(※順不同)
・岩見沢市・国立大学法人北海道大学
・大学院農学研究院
・株式会社クボタ
・株式会社日立ソリューションズ
・株式会社スマートリンク北海道
・株式会社はまなすインフォメーション
・いわみざわ農業協同組合
・いわみざわ地域ICT(GNSS等)農業利活用研究会
・有限会社西谷内農場
・株式会社只野農園
・有限会社谷本農場
・NTT
・株式会社NTTドコモ
・NTT東日本

今後は、スマート農業技術および農村地域を支える通信ネットワーク基盤の実装に向けた課題を明らかにすると同時に、同様の課題を抱える他地域への横展開を加速するパッケージングに取り組む方針を示している。
同社らは、今回の実証実験を契機に、サスティナブルな社会を実現するスマートシティ化による地方創生に貢献していく考えだ。


NTT東日本
https://www.ntt-east.co.jp/
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  1. 田牧一郎
    田牧一郎
    日本で15年間コメ作りに従事した後、アメリカに移り、精米事業、自分の名前をブランド化したコメを世界に販売。事業売却後、アメリカのコメ農家となる。同時に、種子会社・精米会社・流通業者に、生産・精米技術コンサルティングとして関わり、企業などの依頼で世界12カ国の良質米生産可能産地を訪問調査。現在は、「田牧ファームスジャパン」を設立し、直接播種やIoTを用いた稲作の実践や研究・開発を行っている。
  2. 福田浩一
    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
  3. 石坂晃
    石坂晃
    1970年生まれ。千葉大学園芸学部卒業後、福岡県の農業職公務員として野菜に関する普及指導活動や果樹に関する品種開発に従事する一方、韓国語を独学で習得(韓国語能力試験6級)。退職後、2024年3月に玄海農財通商合同会社を設立し代表に就任、日本進出を志向する韓国企業・団体のコンサルティングや韓国農業資材の輸入販売を行っている。会社HP:https://genkai-nozai.com/home/個人のブログ:https://sinkankokunogyo.blog/
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    川島礼二郎
    1973年神奈川県生まれ。筑波大学第二学群農林学類卒業。フリーラインスの編集ライターとして、テクノロジーをキーワードに、農業雑誌・自動車雑誌などで執筆・編集活動中。
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    堀口泰子
    栄養士、食アスリートシニアインストラクター、健康・食育シニアマスター。フィットネスクラブ専属栄養士を経て独立。アスリートの食事指導や栄養サポートの他、離乳食から介護予防まで食を通じて様々な食育活動を行う。料理家としても活動し、レシピ提案、商品開発も担う。食事は楽しく、気負わず継続できる食生活を伝えることを信条とする。スポーツの現場ではジュニアの育成、競技に向き合うための心と体の成長に注力している。HP:https://eiyoushiyakko.jimdofree.com/
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