バンダイナムコと農研機構、ドローンとAIによるマメ科牧草の植生評価法を開発

農研機構と株式会社バンダイナムコ研究所は共同で、ドローンとAIを用いてマメ科牧草の被度を推定する新たな植生評価法を開発した。

出典:https://www.naro.go.jp/publicity_report/press/laboratory/harc/153395.html#zu2

現在、北海道の牧草地帯では、タンパク質やミネラルなど良質な栄養を多く含む牛乳を多く生産するため、イネ科牧草とマメ科牧草の種子を混ぜて播種する混播草地で栽培した牧草を飼料にしている。

マメ科の植物は土壌の中で窒素を作り出せるため、施肥量を減らすことが可能になるだけでなくイネ科の植物の生育を助ける効果があるが、これらの効果はマメ科牧草の比率によって決定されるため、混播草地を撮影した空撮画像の中からマメ科の比率を計算して適正な割合 (約30%)を維持していく必要があるという。

マメ科牧草の被度を約2.5秒で算出


両者が開発した技術は、ドローンで撮影した空撮画像とAIの深層学習(ディープラーニング)を活用して、イネ科牧草とマメ科牧草が混播する広大な牧草地の中からマメ科牧草の被度を推定するもの。

開発に至る研究では、上空から撮影したイネ科牧草とマメ科牧草が混播する試験草地の画像の中から、マメ科牧草の占める領域を人間の手で塗り分け、学習のためのデータセットを作成し、空撮画像の断片からマメ科牧草被度を推定するAIモデルを生成。

イネ科牧草とマメ科牧草の混播草地の空撮画像(左)と、マメ科牧草領域を人間の手で塗り分けた画像(右)。
出典:https://www.naro.go.jp/publicity_report/press/laboratory/harc/153395.html#zu2

その後、複数の検証用画像を対象に、生成したAIモデルを用いてみたところ、人間では1㎡あたり3時間以上かかる被度の推定が約2.5秒で算出できたという。

検証用画像に対するAI推定結果の例。
出典:https://www.naro.go.jp/publicity_report/press/laboratory/harc/153395.html#zu2

人間の手で塗り分けて求めたマメ科牧草被度と、AI推定によって求めたマメ科牧草被度の比較。
出典:https://www.naro.go.jp/publicity_report/press/laboratory/harc/153395.html#zu2

両社は、今回開発した新たな植生評価法を活用することで、精密な草地管理やマメ科牧草の品種育成の効率化を実現したい考えだ。


農研機構
https://www.naro.go.jp/index.html
株式会社バンダイナムコ研究所
https://www.bandainamco-mirai.com/
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  1. 福田浩一
    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
  2. 北島芙有子
    北島芙有子
    トマトが大好きなトマト農家。大学時代の農業アルバイトをきっかけに、非農家から新規就農しました。ハウス栽培の夏秋トマトをメインに、季節の野菜を栽培しています。最近はWeb関連の仕事も始め、半農半Xの生活。
  3. 柏木智帆
    柏木智帆
    米・食味鑑定士/お米ライター/ごはんソムリエ神奈川新聞の記者を経て、福島県の米農家と結婚。年間400種以上の米を試食しながら「お米の消費アップ」をライフワークに、執筆やイベント、講演活動など、お米の魅力を伝える活動を行っている。また、4歳の娘の食事やお弁当づくりを通して、食育にも目を向けている。プロフィール写真 ©杉山晃造
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    鈴木かゆ
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    田牧一郎
    日本で15年間コメ作りに従事した後、アメリカに移り、精米事業、自分の名前をブランド化したコメを世界に販売。事業売却後、アメリカのコメ農家となる。同時に、種子会社・精米会社・流通業者に、生産・精米技術コンサルティングとして関わり、企業などの依頼で世界12カ国の良質米生産可能産地を訪問調査。現在は、「田牧ファームスジャパン」を設立し、直接播種やIoTを用いた稲作の実践や研究・開発を行っている。
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