中越パルプら、セルロースナノファイバーを活用した病害防除資材を試験販売

中越パルプ工業株式会社と丸紅株式会社は、ACCセルロースナノファイバー「nanoforest(R)」を使用した農業資材「nanoforest-S 【アグリ】」の法人向け試験販売を開始した。

中越パルプ工業が製造するACCセルロースナノファイバー「nanoforest(R)」

ACCセルロースナノファイバー(CNF)とは、水中対向衝突法(ACC法)という方法を用いて、食物繊維の主成分であるセルロースをナノサイズまで微細化し解かすことで得られる木質バイオマス資源のことである。

水と結びつきやすい親水基と油と結びつきやすい疎水基の両方を持ち合わせた両親媒性が特徴で、中越パルプ工業、丸紅、筑波大学の3者が実施した共同研究では、葉面感染を原因とする病害に対して効果を示すメカニズムが解明された。

病害予防専用の葉面散布材


現在世界の農業現場では、病害虫の被害を軽減するため化学農薬を使用した防除が行われているが、既存の農薬に強い耐性を示す病原菌の出現や環境保全型農業への転換を背景に、化学農薬を使用しない新たな防除方法を求める声が増えているという。

「nanoforest-S 【アグリ】」は、セルロース繊維と水のみを使用した病害予防専用の葉面散布材である。

セルロースナノファイバー(CNF)の葉面散布による葉面感染防止のメカニズム

「nanoforest-S 【アグリ】」の効果

1.マスク効果
微細なセルロース繊維の網(防菌ネット)が葉面を網状に覆うことで病原菌の侵入を物理的に防ぐ。


2.カモフラージュ効果
セルロースナノファイバーの特徴である両親媒性を生かし、病原菌が葉表面を認識できなくなるようにカモフラージュする。


殺虫・殺菌に効果がある薬用成分を一切含んでいないため、「みどりの食料システム戦略」が推進する総合的病害虫・雑草管理(IPM)の「物理的防除」にも適合する。





両社は、今回の試験販売を通じて得たニーズを参考に、使用方法の確立に向けた圃場試験や研究開発を重ねていく予定だ。


中越パルプ工業株式会社
https://www.chuetsu-pulp.co.jp/
丸紅株式会社
https://www.marubeni.com/jp/
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  1. 福田浩一
    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
  2. さとうまちこ
    さとうまちこ
    宮城県の南の方で小さな兼業農家をしています。りんご農家からお米と野菜を作る農家へ嫁いで30余年。これまで「お手伝い」気分での農業を義母の病気を機に有機農業に挑戦すべく一念発起!調理職に長く携わってきた経験と知識、薬膳アドバイザー・食育インストラクターの資格を活かして安心安全な食材を家族へ、そして消費者様に届けられるよう日々奮闘中です。
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    北島芙有子
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    川島礼二郎
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    柏木智帆
    米・食味鑑定士/お米ライター/ごはんソムリエ神奈川新聞の記者を経て、福島県の米農家と結婚。年間400種以上の米を試食しながら「お米の消費アップ」をライフワークに、執筆やイベント、講演活動など、お米の魅力を伝える活動を行っている。また、4歳の娘の食事やお弁当づくりを通して、食育にも目を向けている。プロフィール写真 ©杉山晃造
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