神戸市、肥料価格高騰対策として再生リンを配合した「こうべハーベスト」の購入支援を開始

神戸市は、東灘区にある下水処理場で回収した汚泥の中に含まれるリン成分「こうべ再生リン」を活用して、環境保全型農業の推進や肥料価格高騰の影響を受ける農業者の支援に取り組む「KOBEハーベストプロジェクト」を開始した。

「KOBEハーベストプロジェクト」の概要図

「こうべ再生リン」は、神戸市と水ing株式会社が確立したリン回収の手法を用いて抽出したリン酸マグネシウムアンモニウム。化学肥料に含まれるリン成分と同様、植物の発芽や開花、結実を促す効果があるのが特長で、肥料の原料としては元より、単体で使用しても効果を発揮する。

東灘処理場にあるリン回収設備

東灘処理場の汚泥の中から抽出した「こうべ再生リン」

「こうべハーベスト」の購入費用を補助


「KOBEハーベストプロジェクト」は、「神戸市農業生産資材高騰緊急対策支援事業」の一環で実施する農業者向けの支援策である。

詳細は以下の通り。

1)対象者
・市内の農業生産者等(集落営農組織、農業法人農福連携法人)
・神戸市の学校給食用米「きぬむすめ」を出荷販売する農業生産者
2)支援内容
作付面積10アール当たり8袋に相当する金額を上限に、「こうべ再生リン」を20%使用した園芸用肥料「こうべハーベスト10-6-6-2」の購入費用を補助。(1袋20kg3270円)


・作付面積10アール当たり2袋に相当する金額を上限に、「こうべ再生リン」を15%使用した水稲用肥料「こうべハーベスト水稲一発型」の購入費用を補助。(1袋20kg3720円)


3)その他
・「こうべハーベスト」の利用拡大に向けたPR・取り組みの支援。
4)申し込み先
・北区在住の方(JA兵庫六甲神戸北営農総合センター又は北区の各支店)
・北区以外に在住の方(JA兵庫六甲神戸西営農総合センター又は西区、須磨区、垂水区の各支店)
5)申し込み期間
・2022年8月24日(水)~2022年9月30日(金)

日本は化学肥料の原料のほぼすべてを輸入に頼っているが、全国の下水処理場から排出される汚泥には、国内の農業で使用するリン成分の約2割に相当する約5.1万トンのリン成分が含まれているという。

神戸市は今回のプロジェクトを通じ、地域資源を活用した農業生産への移行を促していきたい考えだ。


神戸市農業生産資材高騰緊急対策支援事業
https://www.city.kobe.lg.jp/a67688/202206hosei.html
水ing株式会社
https://www.swing-w.com/
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  1. 田牧一郎
    田牧一郎
    日本で15年間コメ作りに従事した後、アメリカに移り、精米事業、自分の名前をブランド化したコメを世界に販売。事業売却後、アメリカのコメ農家となる。同時に、種子会社・精米会社・流通業者に、生産・精米技術コンサルティングとして関わり、企業などの依頼で世界12カ国の良質米生産可能産地を訪問調査。現在は、「田牧ファームスジャパン」を設立し、直接播種やIoTを用いた稲作の実践や研究・開発を行っている。
  2. 福田浩一
    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
  3. 石坂晃
    石坂晃
    1970年生まれ。千葉大学園芸学部卒業後、九州某県の農業職公務員として野菜に関する普及指導活動や果樹に関する品種開発に従事する一方で、韓国語を独学で習得する(韓国語能力試験6級取得)。2023年に独立し、日本進出を志向する韓国企業・団体のコンサル等を行う一方、自身も韓国農業資材を輸入するビジネスを準備中。HP:https://sinkankokunogyo.blog/
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    川島礼二郎
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    堀口泰子
    栄養士、食アスリートシニアインストラクター、健康・食育シニアマスター。フィットネスクラブ専属栄養士を経て独立。アスリートの食事指導や栄養サポートの他、離乳食から介護予防まで食を通じて様々な食育活動を行う。料理家としても活動し、レシピ提案、商品開発も担う。食事は楽しく、気負わず継続できる食生活を伝えることを信条とする。スポーツの現場ではジュニアの育成、競技に向き合うための心と体の成長に注力している。HP:https://eiyoushiyakko.jimdofree.com/
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