Hacobuの青果物の物流効率化に向けた実証実験、2年目は生産者と首都圏市場まで拡大

企業間物流を最適化するロジスティッククラウドサービス「MOVO」を提供する株式会社Hacobuが、秋田トラック協会や国土交通省らが共同で取り組む「首都圏向け青果物の物流効率化実証実験」に2年連続で参画する。


日本の青果物流通は、全国の産地で生産された農産物を輸送するトラックドライバーによって支えられているが、長時間労働による健康リスク等への懸念から就労を希望する人が少なく、慢性的な人手不足に悩まされている。

特に秋田県から首都圏に向けての輸送は、各JAが設けている集出荷拠点の距離が離れているため、集荷に多くの時間を費やさなければならず、トラックドライバー1人当たりの労働時間が増えている状況にある。

このような状況を背景に、国は2024年4月から施行する働き方改革関連法の中で、トラックドライバーの時間外労働時間の上限を年間960時間までとする規制を設けているが、少子高齢化などを理由にさらなる人手不足が予想されている。

青果サプライチェーン全体を最適化


「首都圏向け青果物の物流効率化実証実験」は、トラック車両の経路、位置情報、運行時間等を把握し、最適なルートの構築・実績管理をサポートする「MOVO」を活用して、秋田県から首都圏に向けて青果物を輸送するトラックドライバーの負担軽減と秋田県農業の持続的発展に取り組む官民連携のプロジェクト。

2021年11月に実施した1回目の実証試験では、首都圏輸送向けのハブ拠点(中継点)を設け、集荷輸送と幹線輸送を分離した結果、トラックドライバーの総労働時間を約25%、トラック車両の総活動時間を約22%削減できたという。

2回目となる今回の実証試験の概要と主な参画団体は以下の通り。

実証実験の概要
日程
・2022年9月4日(日)~2022年9月10日(土)
対象
・秋田県~首都圏(各市場)間のトラック輸送
内容
・生産者出荷量の事前把握
・各JA内での出荷物集約
・隣県を含めた出荷体制の連携
・首都圏市場への取り組み

参加団体
協力荷主・運送事業者
・全国農業協同組合連合会 秋田県本部
・全農物流株式会社 秋田支店
・羽後運輸株式会社
・川連運送株式会社
トラック輸送における取引環境・労働時間改善
・秋田県協議会 事務局
・東北運輸局 秋田運輸支局
・秋田労働局 労働基準部監督課
・公益社団法人秋田県トラック協会
アドバイザリーボード
・国土交通省 自動車局 貨物課
・国土交通省 東北運輸局 自動車交通部 貨物課
実証実験オブザーバー
・秋田県産業労働部 商業貿易課
実証実験コンサルタント
・株式会社Hacobu



同社は、今回の実証試験を通じ、生産者や首都圏の卸売市場、他県も巻き込んだ取り組みを実施していくことで、青果サプライチェーン全体の最適化を目指す考えだ。


ロジスティッククラウドサービス「MOVO」
https://movo.co.jp/
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  1. 田牧一郎
    田牧一郎
    日本で15年間コメ作りに従事した後、アメリカに移り、精米事業、自分の名前をブランド化したコメを世界に販売。事業売却後、アメリカのコメ農家となる。同時に、種子会社・精米会社・流通業者に、生産・精米技術コンサルティングとして関わり、企業などの依頼で世界12カ国の良質米生産可能産地を訪問調査。現在は、「田牧ファームスジャパン」を設立し、直接播種やIoTを用いた稲作の実践や研究・開発を行っている。
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    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
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    石坂晃
    1970年生まれ。千葉大学園芸学部卒業後、九州某県の農業職公務員として野菜に関する普及指導活動や果樹に関する品種開発に従事する一方で、韓国語を独学で習得する(韓国語能力試験6級取得)。2023年に独立し、日本進出を志向する韓国企業・団体のコンサル等を行う一方、自身も韓国農業資材を輸入するビジネスを準備中。HP:https://sinkankokunogyo.blog/
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    川島礼二郎
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    堀口泰子
    栄養士、食アスリートシニアインストラクター、健康・食育シニアマスター。フィットネスクラブ専属栄養士を経て独立。アスリートの食事指導や栄養サポートの他、離乳食から介護予防まで食を通じて様々な食育活動を行う。料理家としても活動し、レシピ提案、商品開発も担う。食事は楽しく、気負わず継続できる食生活を伝えることを信条とする。スポーツの現場ではジュニアの育成、競技に向き合うための心と体の成長に注力している。HP:https://eiyoushiyakko.jimdofree.com/
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