AI×ドローンで上空から稲や麦の作付状況を確認 オプティムが長崎県五島市で実証事業

株式会社オプティムは、長崎県五島市において、日本で初めて※1、農地作付確認業務に固定翼ドローン「OPTiM Hawk」とAIによる判別を使用した実証事業を開始する。この事業は、内閣府地方創生推進交付金・五島市ドローンi-Landプロジェクトの一環として実施される。

オプティムは、2018年に佐賀県白石町における日本初※2となる固定翼ドローンを用いた空撮による麦の作付確認を、同年農水省プロジェクト※3としての佐賀県佐賀市におけるAIによる作付確認実験を、2019年には前年に引き続き白石町において麦の作付確認を実施しており、今回は水稲、麦、牧草を対象としている。

今回の事業では、対象作物を水稲類(7月期)、及び麦類・牧草類(2月・3月期)とし、それぞれの作付け後、数週間程度~数カ月経過後に農地の作付け状況を固定翼ドローン「OPTiM Hawk」を用いて画像で取得。取得した画像を確認用のAIエンジンを用いて解析し、作物が間違いなく作付けされているかの判別を対象農地区画ごとに行う。


これまで作付け確認担当者が現地まで足を運び、範囲の判別や記録していた作物の作付け情報をまとめていた。当該地域の農家との連絡がつかないケースなどもあり、単純に確認するという作業ながら、非常に人員と時間のかかる作業だった。しかし、ドローンで記録してAIが判別することにより、人が行うのはAIの解析結果から精査が必要と判断された農地に限定して、取得画像を用いて詳細な確認を実施するだけとなる。

AIを用いた作付確認イメージ

具体的には、以下のような目標を掲げて取り組む。
  • 人による現地確認作業がドローン及びAIに置き換えられた場合の業務効率向上の効果測定
  • 本格導入に向けたコストメリット及び法規制等の課題整理
  • AIによる判別精度の検証
  • 保存された農地確認画像記録の再確認業務への活用の検証

この事業を通じて、可能な限り現地確認作業をドローンおよびAIが実施し、人が行うべきサービスに人員をより多く拡充できるよう、効率化の推進を進めていくとしている。


※1 2018年5月28日時点、オプティム調べ。経営所得安定対策等推進業務において、ドローンを活用して麦の作付確認を行う試みとして。
※2 農林水産省より委託をうけている戦略的プロジェクト研究推進事業委託事業「ドローン等を活用した農地・作物情報の広域収集・可視化及び利活用技術の開発」にて得られた成果の一部を本実証に活用する予定。
※3 2019年6月28日時点、オプティム調べ。ドローン空撮による農作物作付確認において、AIによる自動判別を取り入れる実証を「事業」として行う試みとして。


<参考URL>
スマート農業アライアンス
スマートアグリフードプロジェクト
ピンポイント農薬散布テクノロジー

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  1. 福田浩一
    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
  2. さとうまちこ
    さとうまちこ
    宮城県の南の方で小さな兼業農家をしています。りんご農家からお米と野菜を作る農家へ嫁いで30余年。これまで「お手伝い」気分での農業を義母の病気を機に有機農業に挑戦すべく一念発起!調理職に長く携わってきた経験と知識、薬膳アドバイザー・食育インストラクターの資格を活かして安心安全な食材を家族へ、そして消費者様に届けられるよう日々奮闘中です。
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    北島芙有子
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    川島礼二郎
    1973年神奈川県生まれ。筑波大学第二学群農林学類卒業。フリーラインスの編集ライターとして、テクノロジーをキーワードに、農業雑誌・自動車雑誌などで執筆・編集活動中。
  5. 柏木智帆
    柏木智帆
    米・食味鑑定士/お米ライター/ごはんソムリエ神奈川新聞の記者を経て、福島県の米農家と結婚。年間400種以上の米を試食しながら「お米の消費アップ」をライフワークに、執筆やイベント、講演活動など、お米の魅力を伝える活動を行っている。また、4歳の娘の食事やお弁当づくりを通して、食育にも目を向けている。プロフィール写真 ©杉山晃造
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