農業ビジネスでアフリカの若者雇用創出を加速 国連など官民連携で支援

2019年8月28日~30日に横浜で開催された第7回アフリカ開発会議(TICAD7)で、国際連合工業開発機関(UNIDO)や国連食糧農業機関FAO)、アフリカ連合(AU)などによる、”アフリカ農業・アグリビジネス振興による若年層雇用の加速化に向けた旗艦イニシアティブ”が発足した。


イニシアティブ発足の目的


このイニシアティブは、発展途上国を技術面と経済面による包括的な支援を目的とした「南南・三角協力の原則」に基づき、アフリカの若者の雇用や機会の創出を通したビジネス・エコシステムの向上を目的としたものである。

主に農業のバリューチェーンに関わる若者を対象に発足されたもので、農業に関する技術支援や能力開発、知識の共有、農村地域の開発や農業投資、農村間の格差の縮小に向けた取り組みを官民連携で行う予定だ。

アフリカの若者の失業問題対策において、農業とアグリビジネスは、大変貴重で限りない可能性を秘めていますアフリカは世界の中で最も若年層の割合が高く、労働人口市場における若年層の人口は6億人にものぼる

関係機関によるコメント


発足に際し、FAO事務局長である屈冬玉氏は
「私たちがアフリカの人的資源の可能性について話すときは、特に若者のことを指しています。アフリカのアグリビジネスは、2030年までに1兆米ドルに達すると予想されているため、若者の失業問題対策において、そのようなアフリカの農業とアグリビジネスは、大変貴重で限りない可能性を秘めています。情報通信技術(ICT)の普及により、若者の能力をさらにいかして新しいビジネスを開発し、立ち上げることができます。これらの技術は小規模農家を市場に結び付け、取引コストを削減し、リスクを軽減するとともに、遠隔地の農村地域での教育と技術研修の実施への新しい可能性を生み出します。」
と述べた。

UNIDO事務局長であるリー・ヨン氏は
「アフリカ『アジェンダ2063』は、特に女性と若者の持つ可能性によって推し進められる包摂的かつ持続可能な成長に基づき、公平な繁栄を達成することを目指しています」
と強調し、

さらに
「農業とアグリビジネスに若者を統合することは、包括的アフリカ農業開発プログラム(CAADP)の実施における重要な優先事項です」
と続けた。

国際連合工業開発機関(UNIDO)と国連食糧農業機関(FAO)は関係機関に対し、持続可能な開発目標に対するグローバルなコミットメントによる、パートナーシップの構築や資源動員を目指したプラットフォームの実施など、さらなる連携強化のための行動を求めていく考えだ。

<参考リンク>
第7回アフリカ開発会議(TICAD7)
国際連合工業開発機関(UNIDO)
国連食糧農業機関(FAO)
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  1. 福田浩一
    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
  2. 北島芙有子
    北島芙有子
    トマトが大好きなトマト農家。大学時代の農業アルバイトをきっかけに、非農家から新規就農しました。ハウス栽培の夏秋トマトをメインに、季節の野菜を栽培しています。最近はWeb関連の仕事も始め、半農半Xの生活。
  3. 柏木智帆
    柏木智帆
    米・食味鑑定士/お米ライター/ごはんソムリエ神奈川新聞の記者を経て、福島県の米農家と結婚。年間400種以上の米を試食しながら「お米の消費アップ」をライフワークに、執筆やイベント、講演活動など、お米の魅力を伝える活動を行っている。また、4歳の娘の食事やお弁当づくりを通して、食育にも目を向けている。プロフィール写真 ©杉山晃造
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    鈴木かゆ
    1993年生まれ、お粥研究家。「おかゆ好き?嫌い?」の問いを「どのおかゆが好き?」に変えるべく活動中。お粥の研究サイト「おかゆワールド.com」運営。各種SNS、メディアにてお粥レシピ/レポ/歴史/文化などを発信中。JAPAN MENSA会員。
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    田牧一郎
    日本で15年間コメ作りに従事した後、アメリカに移り、精米事業、自分の名前をブランド化したコメを世界に販売。事業売却後、アメリカのコメ農家となる。同時に、種子会社・精米会社・流通業者に、生産・精米技術コンサルティングとして関わり、企業などの依頼で世界12カ国の良質米生産可能産地を訪問調査。現在は、「田牧ファームスジャパン」を設立し、直接播種やIoTを用いた稲作の実践や研究・開発を行っている。
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