農研機構、植物性食品の食味向上に向けた官能評価法を開発

農研機構は、不二製油グループ本社株式会社、不二製油株式会社と共同で、動物性食品と植物性食品のおいしさの違いを明らかにすることを目的に、動物性・植物性のとんこつ(風)スープに適用可能な新たな官能評価法を開発した。

これにより、「物足りない」と言われがちな植物性食品の満足感向上のために必要な要素が明らかとなり、動物性食品に近い味の再現やおいしさを訴求した植物性食品の創出に貢献する。

動物性・植物性とんこつ(風)スープのおいしさの違いを明らかに


持続可能な食料生産システムに対する関心や消費者の健康志向の高まりなどを背景に、植物性食品の需要が拡大している。しかし、代替食品としての植物性食品は、動物性食品と比べ、「おいしくない」、「物足りない」と評価されることが多いため、植物性食品と動物性食品のおいしさの違いや、物足りなさの原因を解明することが求められている。

これを受け農研機構では、不二製油グループ本社株式会社、不二製油株式会社と共同で、植物性食品と動物性食品のおいしさの違いを明らかにすることを目指し、2021年より研究を開始した。

研究では、動物性・植物性のとんこつ(風)スープを試料に採用。典型的な動物性食品の1つであり、海外からの人気も高いとんこつラーメンは、宗教上や健康上の理由から植物性の代替食品の需要が高まっており、インスタントやカップラーメン、業務用など、さまざまなバリエーションのとんこつスープおよびとんこつ風スープが市場に流通している。

食品の官能評価の流れ
出典:https://www.naro.go.jp/PUBLICITY_REPORT/press/laboratory/nfri/159699.html

今回、開発した新たな官能評価法は、食品のおいしさを測定する方法のひとつで、人が実際に食品の匂いを嗅いだり食べたりしたときに感じる香りや味などを測定する官能評価という手法で培った知見を生かしたもの。

研究では、33種類の市販の動物性・植物性とんこつスープについて、訓練を受けた熟練のパネリストが実際に匂いを嗅いだり食べたりして、その特徴を言葉で表現。その後、パネリストが表現した289語の言葉を整理し、動物性・植物性のとんこつスープの特徴を表現する33語の評価用語を決定した。

次に、決定した評価用語を使用して、熟練のパネリスト7名が代表的な12種類の市販の動物性・植物性のとんこつスープの官能評価を実施し、その結果に対し、主成分分析という解析手法を適用して、各とんこつスープの香りや味の特徴を視覚的に表現。

その結果、動物性のとんこつスープからは油脂感、獣臭、しょうゆの香りなどの言葉で表現される特徴が感じられ、植物性のとんこつ風スープからは、しょうがの風味、野菜の風味、鶏がらスープの香りなどの言葉で表現される特徴が感じられることが示されたという。

動物性・植物性のとんこつ(風)スープ12種の特徴
出典:https://www.naro.go.jp/PUBLICITY_REPORT/press/laboratory/nfri/159699.html

さらに、一般の消費者がとんこつスープのおいしさにおいて何を重視するのかを調べるため、男女12名に対して、動物性・植物性とんこつスープ各2種類の実食を伴うインタビュー調査を実施。とんこつスープのおいしさや物足りなさと関連する要因として「濃さ」、「複雑さ」、「動物っぽさ」というキーワードが得られた。

最後に、とんこつスープの「動物っぽさ(動物感)」に着目し、一般消費者34名が動物性・植物性とんこつスープ各2種類の動物感の強さを評価。「全体的な味が濃いと動物感を強く、味が薄いと動物感を弱く感じるパターン」や「醤油や味噌の香りや風味が感じられると動物感を強く、スパイシーさが感じられると動物感を弱く感じるパターン」など、個人差が大きいものの、動物感のとらえ方には複数のパターンがあることが確認できたとのこと。

動物感のとらえ方のパターン例
出典:https://www.naro.go.jp/PUBLICITY_REPORT/press/laboratory/nfri/159699.html


今後は、各とんこつスープの特徴と、消費者が実際に食べた時に感じる動物感やおいしさを、個人差を考慮しながら照らし合わせ、とんこつスープの味や香りをどのように制御すれば消費者一人ひとりにより高い満足感を与えられるか具体的にわかるようにしていくとのこと。


農研機構
https://www.naro.go.jp/
不二製油グループ本社株式会社
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不二製油株式会社
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  1. 田牧一郎
    田牧一郎
    日本で15年間コメ作りに従事した後、アメリカに移り、精米事業、自分の名前をブランド化したコメを世界に販売。事業売却後、アメリカのコメ農家となる。同時に、種子会社・精米会社・流通業者に、生産・精米技術コンサルティングとして関わり、企業などの依頼で世界12カ国の良質米生産可能産地を訪問調査。現在は、「田牧ファームスジャパン」を設立し、直接播種やIoTを用いた稲作の実践や研究・開発を行っている。
  2. 福田浩一
    福田浩一
    東京農業大学農学部卒。博士(農業経済学)。大学卒業後、全国農業改良普及支援協会に在籍し、普及情報ネットワークの設計・運営、月刊誌「技術と普及」の編集などを担当(元情報部長)。2011年に株式会社日本農業サポート研究所を創業し、海外のICT利用の実証試験や農産物輸出などに関わった。主にスマート農業の実証試験やコンサルなどに携わっている。 HP:http://www.ijas.co.jp/
  3. 加藤拓
    加藤拓
    筑波大学大学院生命環境科学研究科にて博士課程を修了。在学時、火山噴火後に徐々に森が形成されていくにつれて土壌がどうやってできてくるのかについて研究し、修了後は茨城県農業総合センター農業研究所、帯広畜産大学での研究を経て、神戸大学、東京農業大学へ。農業を行う上で土壌をいかに科学的根拠に基づいて持続的に利用できるかに関心を持って研究を行っている。
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    大槻万須美
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    川島礼二郎
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